1980年代、日本でもアイドル的に親しまれた女優といえばソフィー・マルソー、ブルック・シールズ、フィービー・ケイツあたりだろうか。「そういえば、どうしているのだろう?」と思った方は、ぜひ『すべてうまくいきますように』を観てほしい。往時の面影を残しつつ、すっかり歳月を重ねて、渋みのある女性になったソフィー・マルソーに出会うことができる。監督・脚本は名匠フランソワ・オゾン、2021年度のカンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品作品でもある。

 テーマは「安楽死(尊厳死)」だから、相当に重厚な物語展開になるし、こちらの倫理観が問われているような気分にもなる。ソフィーが扮するエマニュエルは小説家。ある日、父親のアンドレが脳卒中で倒れ、意識を失う。どうにか一命をとりとめたが、不自由になってしまった身体に耐えられない。私の人生を終わらせるのを手伝ってくれないか・・・さあ、エマニュエルはどう対処するか。彼女のきょうだい、友人、知り合いはどう受け止めたらいいのか。

 フランスでは「安楽死(尊厳死)」は合法ではない。だがアンドレは、どんどん、目に見えてよぼよぼになっていくのに、「人生を終わらせたい」という気持ちだけは強く澄み渡るばかりなのだ。自分の親やきょうだいがこう言ったら、自分はどうすればいいのだ? 不自由な状態に苦しんでいる人に、それでも「生きろ」と言うことこそ非道なのでないか? 問いかけの嵐に包まれることだろう。2月3日から東京・ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、Bunkamuraル・シネマ他で公開。

映画『すべてうまくいきますように』

2月3日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、Bunkamuraル・シネマ ほか公開

監督・脚本:フランソワ・オゾン
出演:ソフィー・マルソー、アンドレ・デュソリエ、ジェラルディーヌ・ペラス、シャーロット・ランプリング、ハンナ・シグラ
提供:木下グループ
配給:キノフィルムズ
2021|フランス・ベルギー|フランス語・ドイツ語・英語|113分|カラー|アメリカンビスタ|5.1ch| 原題:Tout s‘est bien pass? |字幕翻訳:松浦美奈
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