ドルビージャパンは、明日1月25日より東京ビッグサイトで開催される「第15回オートモーティブワールド」に、ドルビーアトモスシステムを組み込んだデモ車両「Dolby Atoms for Cars」を出展すると発表。それに先駆けて、1月中旬、都内で報道陣向けの車両試聴会を実施した。

ダッシュボードにもスピーカーが鎮座している

 同展示会に出展する車両は、本サイトでも過去にAuto Sound Webにて報告しているので、詳しくはそちらの記事も見ていただきたいが、かいつまんで紹介すると、トヨタのワンボックスカー「アルファード」に対して、ドルビーアトモスの7.1.6仕様、合計21のスピーカーを搭載したデモカーとなる。報道陣以外の一般の人が体験できる初の展示になるそうだ。

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 さて、本デモカーは、車という環境の中で、ホームシアターのようなエンターテイントを体験できるシステムを訴求したもので、近年、自動車産業の中で広がっている自動運転やコネクテッドカーといった「CASE」(Connectivity Autonomous Service&Shared Electoricの頭文字)を軸にしたトレンドに対し、ドルビージャパンなりの回答を詰め込んだ車、ということができるだろう。

 ドルビーアトモスが体験できる(楽しめる)車ということで、同社では「Dolby Car Experience」の頭文字をとって「DCX」として訴求している(ここではドルビーアトモスカーと表記する)。

 ドルビーアトモスカーは、2021年3月に、米の電気自動車(EV)メーカー ルシード・モータースの「Lucid Air」に初搭載されたのを皮切りに、中国のNIO(蔚来汽車)、Li Auto(理想汽車)、さらにロータス、マイバッハ(メルセデス・マイバッハ)などなど、搭載車種も増えてきている。

 ちなみに、ドルビージャパンでは、ドルビーアトモスカーを2種類想定していて、違いは天井スピーカーの有無。有りを「Configuration A」、無しを「Configuration B」と定義して、システムを提供している。といっても、物理的にアンプやスピーカーを用意するのではなく、ドルビーアトモス信号を処理する部分を提供することになる。核となるのは、ドルビーアトモス信号を解凍するデコード、7.1.4に展開するレンダラーとなり、天井スピーカーのないConfiguration Bシステムについては、天井スピーカーのサウンドをバーチャルで再現するためのバーチャライザーが用意される。なお、ホームシアターでは用意のある、バーチャルドルビーアトモス(アップミックス)=ドルビーサラウンド機能は、搭載しない。また、音場補正機能もなく、あらかじめ搭載車両の音場空間を測定しておき、それに最適化したアルゴリズムを作成、車ごとに適した音場空間が楽しめるようにしている。

 ドルビーアトモスカーにおいて、ドルビージャパンが担うのは、当該の車両に最適化した7.1.4の信号の出力までであり、それ以上のスピーカーの搭載数や、最適試聴ポジションの設定などはメーカーにまかされているそうで、例えばマイバッハでは最適試聴ポジションがいくつか設定されている(運転席、後席など)という。どういう仕様にまとめるかが、今後、メーカーごとの差別化となりそうだ。

デモカーの車内をリアから望む。スピーカーがいっぱい

 前置きが長くなったが、簡潔に試聴のインプレッションをお伝えしたい。コンテンツは、ドルビーアトモス仕様の楽曲と、映画の2種類。試聴ポジションは後席・右となる。まずは天井スピーカーのあるConfiguration Aから。デモカー(アルファード)には21ものスピーカーが搭載されていることもあって、車内空間にあってもきちんと自分の正面・上方・左右・後方に音場空間が創造されるのは心地よいもの。移動感やつながりは素晴らしく、密度感も豊かで、まさに没入感=イマーシブを体験できるものとなっていた。

 次にConfiguration Bを試聴。同じコンテンツを再生しているのだが、天井スピーカーがない分、上方空間の音場が疎となるのはいかんともしがたいのが、有無の比較をしなければ、移動感や密度感は素晴らしく、車内エンターテイメントを充分に楽しめるものとなっていた。

●「第15回オートモーティブワールド-クルマの先端技術展-」
会期:2023年1月25日~27日
会場:東京ビッグサイト 東展示場
ドルビージャパンブース:東5ホール 42-52
出展社数:1100社

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