Cartridge

ヴァルテレ
SABRE MM

¥180,000(税別)

●発電方式:MM型●出力電圧:4mV●負荷インピーダンス:47kΩ●負荷容量:100pF〜220pF●適正針圧:1.9g〜2.1g(標準2g)●自重:10.3g●備考:ステンレス製カートリッジ取付けねじ(CARTRIDGE SCREW SS、¥14,000、税別)付属●交換針価格:¥60,000(税別)●問合せ先:(株)タクトシュトック TEL.03(5848)2239

 英国ロクサンの高性能ターンテーブルシステムを開発したことで知られるトラジ・モグハダム氏は、現在ヴァルテレ社を主宰してアナログオーディオの理想を一途に目指している。新製品のセイバー(SABRE)はMM型フォノカートリッジながら、従来のMM型の印象を覆す音を聴かせる注目作だ。

 本機はアルミニウム合金を精密に切削加工した、オレンジ色のボディが特徴。そこに出力ピンまで備えたMM型フォノカートリッジの発電機構を格納し、スパイク形状のビスで合計4ヵ所からリジッドに固定している。こうすることで全体の剛性が高められ、十分な質量も確保したのだろう。MM型の発電回路にはアルニコ磁石が使われているという。カンチレバーはアルミニウムのパイプで楕円形状のダイア針を装着。見たところVMタイプではなさそうだ。ユーザーによる針交換が可能である。

 管球王国試聴室のリファレンスであるグランツ製トーンアームに装着して聴いた。デイヴ・グルーシンのダイレクト盤ではMC型にありがちな表情の硬さは感じられず、少し太めの筆で音を描くようなイメージで解像感に優れた音楽を構築していく。

 ドナルド・フェイゲン「マキシン」は、MM型ならではの4mVという高出力が押しの強さと積極的な音の語り口に貢献している。繊細さもじゅうぶん有しており、音楽ジャンルを選ばない万能タイプの高性能フォノカートリッジという印象だ。

中央の本体部は、アルミ合金切削による外郭のボディからスパイクねじで支えられる構造で不要な機械振動を抑制する。7.5×15.5μmの楕円針を採用、内部インピーダンスは1kΩ。

本機には単売もされるカートリッジ取付けねじCARTRIDGE SCREW SSが付属する。六角レンチやマイナスドライバーを使わずに指で締められて、締め過ぎによる損傷も防げる仕様。ステンレス製で2.5g/個の重量を持つ。

グランツMH1000Sトーンアームを取り付けたテクニクスSL1000Rで試聴した。

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