「整振」思想を開発理念に掲げているのが、神奈川県逗子にあるコンバックコーポレーションだ。このメーカーは輸出に力を入れていて、国内より海外での評価が高い。製品ジャンルは多岐にわたるが、「ハーモニックス」はその開発理念とともに誕生した中核的なブランドだ。 

 チューニングフットは高密度の木材と金属素材を組み合わせた脚、スパイク、あるいは受け台だ。それらが高音質をもたらす理由は非公開。余分な振動を吸収し、内部の材質と構造によってその振動を無害化し、載せる機器側へ反射する成分を減らし、もっぱら脚部から置台へ消耗させつつ導くという基本的な筋書きがあるのだろう。そこに「整振」が作用するわけで、硬い素材で鮮度感を強調するとか、ゴムやフェルトなどで硬さを和らげるという性格付けの手法でないことはたしかだ。

 製品にはたくさんのバリエーションがあるのだが、今回は2種を試した。

Insulator
ハーモニックス
TU77M Million Maestro
¥195,500(税別、4個セット)

●素材:金属/希少材ハイブリッド●寸法:φ46×H23mm●問合せ先:コンバックコーポレーション TEL.046(872)1119

 TU77Mミリオン・マエストロは、アンプ系とDACなどデジタル機器系を想定している。設置場所がカーペットのように凹む場合は、受け台としてチューニング・インシュレーターTU333EXの併用を推奨している。点支持から徐々に広い面積で受けることで、単位面積当たりの振動エネルギーの密度を下げていくことは振動対策の基本だろう。

 まずはアナログプレーヤーのテクニクスSL1000Rの脚部に介在させる。これはたちまち深閑とした静寂の場が出現し、微振動まで有意なものがより分けられ、音像の彫琢を細密化する。ピアソラの「エル・タンゴ」など弦楽器の打楽器的な破調や弦バスの揺るぎない律動、電気ギターの丸みのある控え目な音色に隠された諧謔味や諦念など表情が明瞭になる。「谷村新司Ⅲ」(ステレオサウンド盤)の声の立体造形も視覚を刺激するように際立ってくる。輪郭明瞭に思えた発声の刹那に、まだ解像すべき成分、微分的な抑揚の綾が浮き彫りになるのだ。 

 つぎにRF808Zミリオン・マエストロに交換すると、いっそう豊潤にして稠密なタッチとなり、音場の3次元座標がよく展望される。相性はこちらの方がいい。 

RF808Z Million Maestro
¥198,640 (税別、4個セット)

●素材:金属/木工製ハイブリッド●寸法:φ50×H33mm

 そこで管球式フォノイコライザーアンプ、ウエスギU・BROS220Rの脚部にTU77Mを使用。するとSL1000Rの場合に感じられた静寂の支配力が加味されていっそう高品位のアナログ世界へと昇格した。時間があればアンプ類の底板に直にこれをあてがい、機器の重心位置を取り囲むように配置するやり方も試したかった。この方法は他の機会に天然無垢木材の小片で試したことがある。機器の四隅が重さのくびきや振動の吹き溜まり傾向から解放されて爽快な音調になるのだ。ただし、機器の脚部の構造的な強度に代替できるような底面の強度が必要なので、自己責任の手法だ。

アナログプレーヤーのテクニクスSL1000RにRF808Zを、フォノイコライザーのウエスギU・BROS220RにTU77Mを用いて試聴。

 ちなみに、同社チューニングフットの大型のタイプは、自宅の床置きプロジェクターの支持に使って威力を発揮している。音の場合と同様というべきか、映像の鮮度や解像感、色の濃淡、密度感が良好になることを確認している。振動対策の成果が目で見えるわけだ。

 振動対策品を忌避している方にも一度試してほしい製品。

接地面は、硬質の木材とリング状の金属が一体化。左がTU77Mミリオン・マエストロ、右がRF808Zミリオン・マエストロで、デザインのコンセプトは共通。

チューニングフットは、上下で2分割してネジで接合され、高さ調整が可能になっている。写真上がRF808Zミリオン・マエストロ、その下がTU77Mミリオン・マエストロ。

設置状態を確認する吉田氏。

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