ソニーの新しい27型の「Spatial Reality Display」(空間再現ディスプレイ)に、深く感動した。2020年のCESで、視線検出方式の15.6型モデルが発表された時も相当、感動したが、今回は、さらにさらに感動が深まった。

27型の「Spatial Reality Display」(空間再現ディスプレイ)

このカメラで両眼の視線を検出する

この直角部分が視覚に働き、立体視を強調するという

 それはまったくもって、画面の大きさから来る感動である。つまり15.6型という小さなサイズでも、びっくりしたのだから、27型という大きな、不思議なサイズに改めて感動しないわけはないではないか。ソニーは平井一夫社長の時代から「感動=英語ではKANDO」を唱え、今でも社是になっているが、なんでそれが感動なんだと怒りたくなるものもあるなかで、これは100%ピュアな感動である。

 2020年のCESでの15.6型(後に『ELF-SR1』として発売)では、空中から会場空間を覗き込むような感覚だった。CGに人物のテクスチャーを貼り付けた男女二人が踊っている。裸眼3Dなのに解像感が高い。しかも見る位置が一定でなくとも、上から、斜め横上からなどの様々な角度からでも、まるでそこに本物の立体物が踊っているようだった。

 今回の開発テーマは「実物感」。CTスキャンした頭部のMRI画像3Dデータ、ヘッドホンの3D CADデータ……など、まさに実物の大きさのオブジェクトが、眼前に立体的に見えるではないか。こんな素晴らしい体験はそう滅多にあることではない。

渋谷上空のCG画面

CTスキャンした頭部のMRI画像3Dデータ

 この第2世代機には、初代のELF-SR1にない機能も加わった。基本的に視線検出型なので、完全におひとりさま専用だ。でも、複数で観たいというニーズが強く、ソニーにもぜひ二人以上で観たいというリクエストが寄せられていた。でも。方式からして2視点つくるには、もの凄い解像度が必要。それも将来の視野に入れていると言うが、現在では無理。そこで切り替えスイッチ(原始的!)で、右の人、左の人が、個別に見られる仕組みを入れる予定。素朴だが、少しの進歩だ。

 昨年12月にソニーの技術展示があり、本方式の55インチの縦型裸眼ディスプレイを体験したが、それはそれは凄いもので、画面の向こうにいる銀行マンが差し出すカタログが、私のところまで、飛び出した。思わずそれを触ったが、現実には何もなかった。そんな凄まじい、結構自然な裸眼3Dは初めてだ。ぜひ民生用テレビに展開して欲しい。何たってブラビア部隊が開発しているのだから。

ソニーのヘッドホンWH-1000XM5のCADデータ

開発者のソニーのシニア XRビジネスプロデューサー・太田佳之氏