一般社団法人放送サービス高度化推進協会(以下、A-PAB)は、12月1日、都内で「ボーっと見ないで! 新4K8K衛星放送A-PAB記者発表会」を開催。NHKおよびBS民放5局による、年末へ向けての新4K8K衛星放送の共同キャンペーンについて発表した。

 冒頭、主催者を代表してA-PABの相子宏之理事長が登壇。新4K8K衛星放送がスタートしてこの4年を振り返り、下記のようにコメントしていた。

 10年前の2012年、情報通信審議会の提案を受け、総務省において「放送サービスの高度化に関する検討会」がスタートしました。「スマートテレビ」「ケーブル・プラットフォーム」と併せ、これ以降、「4K8Kスーパーハイビジョン」という呼称で検討が本格化しました。

 この10年間のメディア環境の変化は、放送通信技術の進展、スマートフォン・テレビ受像機の高機能化等により、放送サービスのみならず、様々な映像配信サービス等が開始され、最近では、日本に限らず、世界的に、コネクティッドTVの普及とともに、サービスも多様化し、ユーザーの選択肢も大きく広がり、この3年間のコロナ禍がこの変化を加速させる形になりました。

 「4K8Kスーパーハイビジョン」は、4年前の2018年12月1日、新4K8K衛星放送としてスタートし、今日でちょうどまる4年。4K8K放送は、視聴者、ユーザーの皆様にとっては、まだ積極的に視聴するメディアとはなっていないかもしれませんが、A-PABが実施した調査では、さらなるチャンネル数の増加、4K8Kコンテンツの増加を望む声が多く聞かれます。

 このような要望が出るということは、視聴者の皆様に伝わっていない部分もあるかとも感じています。「新4K8K衛星放送で見ようよ!キャンペーン」や4Kコンテンツを、出来るだけ多くの方にご覧いただけるよう、メディア各社の皆様にご協力をいただき、視聴者の皆様に知っていただくことが大変重要と考えます。

 A-PABは、「パリ五輪までに2500万台普及」という目標を掲げており、今回のキャンペーンでギアを入れ直し、さらなる普及を図ってまいります。

 次いで、本会の趣旨である、NHKとBS民放5局(BS日テレ・BS朝日・BS-TBS・BSテレ東・BSフジ)による12月の共同キャンペーン「新4K8K衛星放送で見ようよ!」の紹介が行なわれた。

 今回は、NHKの「チコちゃんに叱られる!」の人気キャラクターであるチコちゃんをキャンペーンナビゲーターに迎え、各局のラインナップする特番を紹介していくそうで、「こんチコは~。チコでーす。永遠の5歳です。よろしくお願いしま~す。」と、元気よく舞台に登場していた。

 まずは、MCの結川愛寿加に、「結川ちゃんは、新4K8K衛星放送のこと知ってるのかしら?」と軽いジャブの後、チコちゃんと岡村隆史が出演する「チコちゃんに叱られる!新4K8K衛星放送キャンペーン特別編」について紹介。この番組は「なーんとNHK BSだけでなく、BS民放5局でも放送されるんですって!」、というコメントののち、ダイジェスト版が上映された。チコちゃんいわく「たくさんの人に見ていただきたいわ~」とのことだ。

 続いて、BS編成担当者会議の主査でビーエスフジ常務取締役荒井昭博氏も登壇し、今回、NHKとBS民放5局で一緒に番組を作ることになった経緯を説明してくれた。

 「2018年12月1日に放送開始した新4K8K衛星放送を現在受信できる視聴可能機器台数は10月末現在、約1440万台まで順調に普及しております。もっとたくさんの視聴者の方々に、4K8Kの繊細で迫力ある魅力的な映像コンテンツを見て、テレビ視聴時間をより充実したものにしていただくために、NHKと民放5社が力を合わせてキャンペーンを行なっているのです。その普及のために、現在国民的アイドルのチコちゃんに協力してもらい、視聴者の皆様に4K8K放送の魅力をお伝えいただき、世界的にも先進的な4K8K視聴環境を作り、視聴者おひとりおひとりが、ハッピーになっていただければと思っているのです。」

 今回の上映はダイジェスト版だったため、チコちゃんからは、「今日はそのスゴい部分まで全部お見せできなかったので、みなさん、放送を楽しみにしてくださいね!」とコメント。最後にチコちゃんから荒井氏に質問。「ねえねえ荒井ちゃん! 4K8K放送ができるようになるまで進化したテレビだけど、画面が昔より横に長くなってるわよね。ハイビジョンは16対9になってるけど、なんで画面は横に長くなったの?」これに対して荒井氏からの「んん・・・総務省の偉い人が決めたとか???」の回答に、「ボーっと生きてんじゃねえ~よ!」の洗礼が。

 正解は「迫力がでるから~~」。チコちゃんから、「アナログテレビの時代からハイビジョンを日本の研究所が研究してきたんだけど、その過程で横と縦の比が 5:3か6:3の画面がもっとも迫力を感じることがわかったそうよ。このデータを元にして、ハイビジョンの国際規格が決まったんだって。みんなわかったかしら?」との詳しい説明が行なわれた。

 なお、キャンペーンの共同制作番組は、12月9日から順次、6つの局で順次放送の予定。放送スケジュールおよびキャンペーン期間中の目玉番組についての詳細は下記を参照のこと。

「チコちゃんに叱られる! 新4K8K衛星放送キャンペーン特別編」 抜粋
12/10(土) NHK BS8K「迫力のマルチ画面! 指揮なしのオーケストラ第9に挑む」
12/25(日) NHK BS4K「釣りびと万歳スペシャル」
12/27(火) BS日テレ4K「にっぽん和菓子探訪」
12/27(火) BSフジ4K「辻井伸行in富士山河口湖ピアノフェスティバル2022」
12/28(水)/29(木) BS朝日4K「無用庵隠居修行3~6」
12/28(水) BSテレ東4K「神々の庭へ 石狩川源流紀行」
12/31(土) BS-TBS4K「吉田類の年またぎ酒場放浪記」

 続いて、WOWOWの山本均取締役常務執行役員が登壇して、12月のWOWOW 4Kの特別編成についてのプレゼンテーションを行なった。

 2021年3月に開局したWOWOW 4Kは、対放送時間に占めるピュア4K比率は、概ね50%を超える編成を行なっています。画質や中身にこだわる有料加入のお客様からも大変好評です。3年目を控える年越しは、レギュラー編成に加え、ドラマ、スポーツ、音楽などを強化した編成となっています。オリジナルドラマは、看板の1時間枠「連続ドラマW」を全て4K制作、30分枠も4K制作を強化しており、2Kチャンネルのファーストランと常時サイマルで放送中です。

 さらにスポーツでは「全米オープンテニス2022男女決勝」や「スペインサッカーラ・リーガ伝統の一戦クラシコ」を4Kで再放送します。幅広いジャンルで世界中から選りすぐったWOWOWならではの4Kコンテンツ。4K左遷の視聴環境をお持ちで、WOWOWにご加入中の方なら、追加料金不要でご覧いただいているので、視聴者の更なるご満足のためにも、引き続きサービス拡充に努めますので、今後もWOWOW4Kにご期待いただければと思います。

 次のブロックでは、A-PAB事務局から、2022年度に実施した各種施策についての説明となり、広報・企画部の重森万紀部長から「新4K8K衛星放送の魅力を伝えるために」と題した調査の結果報告が紹介された。

 A-PABでは、今年度前半に、これまでも実施しているWEB調査に加えて、アンケート調査、グループインタビュー調査も実施。これらの結果を総合した内容が報告された。

(1)新4K8K衛星放送視聴した人からの評価、魅力ポイント
グループインタビュー調査では、必ずしも全員が4Kを絶賛、ということではなかったものの、「最初に見た番組に、4Kならではの魅力を感じられた」という人は、その後の4K視聴に広がりが見られました。「画質・臨場感」満足度についてのWEB調査結果では、過去3回の結果を見ても、常に9割近い人から「満足」の回答が得られ、非常に高い評価となっています。

(2)新4K8K衛星放送視聴後の「気持ちへの好影響」、「行動の変化」
地域の情報に関する番組などを4Kで見た人たちは、視聴後に、心境や行動にどんな影響を受けたのかを見てみると、4K視聴者アンケートでは、「名所を訪れてみたい」「特産品やグルメを食べに行きたい」「情報をもっと詳しく知りたい」気持ちが高まった、など、非常に高い割合で、心境に好影響があったと回答しています。

 また、情報を検索したり調べたりした人は、70%と、実際に行動を起こした人も一定の割合いることがわかりました。また、スポーツ、映画、音楽などの番組でも、「検索したり調べたりした」が、ほぼ4割、「友人や知人に4K画質で見ることを勧めた」が 26%、「実際に会場や劇場に行った」が1割、と行動の変化が見られました。

 グループインタビューでは、「4Kの違いを感じた人たちは、心境や行動に影響があった」と答える傾向が見られ、臨場感ある精細な映像を見ることにより、「自分の目で見てみたいという気持ちになる」という言葉が得られました。

 4K放送は、臨場感や質感が伝わる映像で見せることにより、2K番組と比べても、さらに情報を知りたい、自分の目で見てみたい、という気持ちにさせる効果があることがわかりました。

(3)新4K8K衛星放送の認知・理解度の推移とその理由
一方で、WEB調査では、新4K8K衛星放送についての認知、理解度が放送開始以降、増加していないという結果が得られています。9月の結果では、「現在、4K8K放送が見られることを知っていた」と回答したのは、37.4%、チューナー内蔵テレビが販売されていることについては、20.2%となっており、理解度の数値は増加していません。

 また、同じ WEB調査で、4K8Kテレビ所有者のうち、テレビについて不満足と回答した人に理由を聞いた結果、「おもしろい番組がない」が27.6%、「4K8K画質の番組が少ない」が24.4%と、上位に上がりました。

 グループインタビューでも、不満点として、「チャンネルや4K番組が少ない」という発言が多く、4Kならではという価値を感じづらいものがある、という点も挙げられました。

 (3)についてまとめますと、不満の理由として、4K番組が少ない、いつ4K番組を放送しているのかわかりづらい、という意見もあり、独自番組や4Kならではの番組でないと人に推奨するのが難しいという発言もありました。

 全ての調査結果から、より多くの方に、新4K8K衛星放送の魅力を認知、理解、そして視聴していただくためには、とにかく最初に見たときに「価値を理解してもらう」ことが肝要です。4Kらしさが伝わりやすいのは、色鮮やかな映像、水滴の光など光が美しく細かいところまで見える映像、臨場感のある映像。また、4Kならではの魅力がある番組がたくさんあること。独自番組であれば、口コミで伝わりやすいと考えられます。そして、4K制作の番組の選択肢を増やし、かつ、2K放送からの誘導など、わかりやすく番組の情報を伝えていくことです。これらを参考にして、A-PABとして、今後も新4K8K衛星放送の推進活動をしてまいります。

 最後に、受信環境推進部の宇佐美雄司統括部長より、マンション管理組合向け動画についての説明が行なわれた。

 「2019年以降の新築マンションは、ほぼ左旋対応していますが、既設マンションには課題が多い状況です。そこで、既設マンションの受信設備の老朽化に伴う『計画修繕工事』の際に、新4K8K衛星放送の全局受信が出来るよう、マンション管理組合向けの解説動画を制作しました」と説明した上で、マンション管理組合向けのプロモーション動画の冒頭約1分を上映。「老朽化によって故障のリスクが大きくなるし、全局受信できることによってマンションの資産価値の維持に繋がる」とマンションが行なう「計画修繕工事」の際に全局受信を推奨すると、熱く語りました。

 本編はトータル9分ほどの動画で、A-PABのホームページやYouTubeの公式ページで公開中。

 また、「今後とも動画の構成にもご協力いただいた、マンション管理業協会様とも連携し、様々な展開を図っていく他、マンション管理会社向けの研修用動画も制作しており、近々、公開予定だ」と力強くアピールした。