先日まで開催されていたAmazon(アマゾン)のブラックフライデー。そこでは「Fire TV Cube」や「Fire TV 4K MAX」などがお安くなっていることが話題を集めた。どちらもPrime VideoやDisney+、NETFLIXの動画コンテンツを最大4Kやドルビーアトモスで楽しむことができ、もちろんAmazon Music HDなどの音楽配信も再生可能。このチャンスに配信デビューを果たした方も多いのではないだろうか。

 そんなFire TVシリーズユーザーに、ワンランク上の使い勝手を提供してくれるのが、「Alexa対応音声認識リモコン Pro」(¥3,980、税込)だ。付属リモコンと同等の機能を備え、さらによく使う機能をメモリーできる「カスタムボタン」や、リモコンが見つけやすくなる「リモコンを探す」、「バックライト」といったスペックが追加されている。

「Alexa対応音声認識リモコン Pro」。リモコン上部右側に「ヘッドホンボタン」が、下から3段目に「カスタムボタン」が追加されている

 対応モデルはFire TV Cube(第2世代)、Fire TV Cube(第3世代)、Fire TV Stick 4K Max、Fire TV Stick 4K、Fire TV Stick(第2世代)、FireTV Stick(第3世代)、Fire TV(第3世代)の7つ。

 今回はAlexa対応音声認識リモコン Pro とFire Tv Cube(第3世代)を組み合わせて、使い勝手を確認した。Fire TV Cubeの「設定」→「コントローラーとBluetoothデバイス」→「Amazon Fire TVリモコン」でAlexa対応音声認識リモコン Proを認識、登録すれば、すぐに使えるようになる。

 なおリモコンのサイズはFire TV 4K MAXとFire TV Cubeの付属リモコンの中間くらいで、若干厚みがある。どちらかというとしっかりした作りで、クリック感も明瞭。片手でも快適に操作できる。

 ボタンの数は先述のふたつよりも増えていて、一番の違いが上記のカスタムボタンだろう。これは配信サービスのダイレクト呼び出しボタンの上側に追加されたもので「1」「2」のそれぞれに好みのアプリやAlexaコマンドが登録できる。

左から「Fire TV 4K MAX」「Fire TV Cube(第3世代)」の付属リモコンで、右端が「Alexa対応音声認識リモコン Pro」。サイズはもちろん、ボタンの数や配置がそれぞれ異なる

 例えばデフォルトの配信サービス(今回はPrime Video、NETFLIX、ABEMA、amazon music)以外のアプリを登録すればワンタッチで呼び出せるようになるし、ボタンを押して「電気をつける」「スマートホームカメラの映像の確認」といった操作も可能だ。

 機能を登録したいカスタムボタンを長押しすると、画面上に設定メニューが出てくるので、ここから「マイアプリ」を選んで、必要なアプリを指定すれば、次からはそのボタンを押せばすぐにアプリが立ち上がる。今回はカスタムボタン「1」にDisney+を、「2」にsilkブラウザを登録している。

 プロジェクターを起動し、リモコンのホームボタンを押すとメニュー画面が映し出された。Prime Videoのコンテンツならここから再生すればいいので、ここはいつも通りの操作手順。しかし今までのFire TV Cube付属リモコンでは、たとえば『キャシアン・アンドー』を見ようと思ったら画面上でDisney+のアプリを起動する必要があったのだが、Alexa対応音声認識リモコン Proならカスタムボタン「1」を押すだけでOK。このショートカットは快適でとても嬉しい。

Bluetoothヘッドホンのペアリング画面。複数のBluetoothデバイスを登録しておくと、ヘッドホンボタンを押した際にそのどれを使うかも画面上で選択できる

 また新たに搭載された「ヘッドホンボタン」も、深夜の視聴時に活躍しそうだ。このボタンを押すと、再生中の音声がFire TV CubeとペアリングしたBluetoothデバイスから流れるようになる。ペアリング作業はFire TV Cubeの「設定」→「コントローラーとBluetoothデバイス」→「その他のBluetoothデバイス」と選んでいくだけで簡単に終了する。音量調整はAlexa対応音声認識リモコン Proのボリュウムボタンで可能。

 実はこれまでも配信コンテンツをBluetoothイヤホンでチェックすることがあり、AVセンターのヤマハ「CX-A5200」にBluetooth送信機をつないでいたのだが、この機能が搭載されたおかげでワンタッチでイヤホン試聴ができるようになったのは有り難い(Bluetooth送信機も不要になった)。

 今回は「echo buds(第2世代)」とつないで試聴したが、Prime Videoの再生中にリモコン右上のヘッドホンボタンを押すだけで音が切り替わってくれる(事前にイヤホン側はBluetooth待機状態にしておく)。この状態でPrime Videoから『トップガン』を再生してみると、セリフも聞き取りやすいし、音楽もなかなかにクリアーだ。低音感はさすがに寂しいが、イヤホン試聴としては妥当なレベルだろう。

左が明るい環境での「Alexa対応音声認識リモコンPro」で、右が暗室環境でリモコンを揺らした場合。すべてのボタンが点灯し、視認性も高い

 『ブルース・ブラザーズ』のアレサ・フランクリン歌唱シーンでリップシンクも確認したが、音の遅れが気になることもない。echo budsのようなアクティブノイズキャンセリング機能を備えたイヤホンを使えば、リビングでも周りの生活音を気にしないで映画を楽しめるはずだ。

 なお、Bluetoothデバイスは複数登録可能で、イヤホンの他にBluetooth対応スピーカーやサウンドバーもペアリングしておき、必要に応じて切り替えて楽しんでもいいだろう。ただし一度に接続できるBluetoothデバイスはひとつのみで、2台のイヤホンで同時に音を聴くといったことはできない。

 最後に、わが家のシアター環境で一番嬉しかったのが「バックライト」の搭載だった。暗い環境でリモコンを持ち上げるとボタンが自動点灯してくれるので、プロジェクターを見ている場合でも使いやすい。これまでは手元ライトでいちいちボタンを確認していたので、その手間がないだけでも作品に対する集中度が格段に高まる。地味ながら、ホームシアターファンの気持ちをわかった “大きな進歩” と呼びたい。(取材・文:泉 哲也)