今年の5月に公開され注目を集めた劇場作『シン・ウルトラマン』。小学生の頃からウルトラシリーズを始めとする円谷作品の洗礼を受け、最近では『シン・ゴジラ』に感動した身としては、もちろん劇場にもはせ参じたわけです。

 自主制作のDAICONFILM時代から『ウルトラマン』(帰ってきた、だったけど……)をモチーフにしていた庵野さんが現代の『ウルトラマン』をどう仕上げるのか、また樋口監督の特撮愛はどこまで発揮されるのか? われわれ世代としては見逃せません。結果、劇場体験での作品の濃度としては『シン・ゴジラ』の方が好みだったけど、あちこちに込められたマニア心をくすぐる趣向に、大いに楽しんだ次第です。

「Fire TV Cube(第3世代)」の本体はファブリック仕上げになった。左は付属リモコン

 そんな『シン・ウルトラマン』が、11月18日からPrime Videoで配信をスタートするということで、ホームシアターでの上映準備を整えて待っていました。具体的には、9月末に発売された「Fire TV Cube(第3世代)」を準備し、再生環境から万全を期した次第です。

 第3世代となったFire TV Cubeは2.0GHzオクタコアプロセッサーを搭載して処理速度を向上、よりスムーズなアプリの起動や操作性を実現したモデル。Wi-Fi 6にも対応済みで、安定した4Kストリーミングを楽しめるとのこと。

 背面にはHDMI入出力が各1系統と、USB Type-A、LAN端子を装備。HDMI入力が初搭載されたことで、テレビ等のHDMI入力が足りないという場合でも追加しやすいのは嬉しい(最大4K/60p入力に対応)。なおHDMI出力はeARC対応なので、対応テレビとつなげばPrime Videoなどのドルビーアトモスコンテンツも手軽に楽しめるはず。

本体はW86×H77×D86mmのサイコロ型で、天面にボリュウムやマイクミュートスイッチを配置。背面にはHDMI入出力やUSB、LAN端子等を備えている

 わが家でのFire TV Cubeのセットアップは簡単で、HDMI出力をAVセンターのヤマハCX-A5200につなぎ、メニューの指示に従って設定していくだけですんなり完了した。なおネットワークは有線LAN接続で、アプリ等の設定はこれまで使っていた「Fire TV 4K MAX」から引き継いでいる。

 なお、映画コンテンツをよく見るという方は、本体の「設定」を開き「ディスプレイとサウンド」で以下の項目を変更しておくことを薦めする。

・「オリジナルのフレームレートに合わせる」→オン
・「ダイナミックレジの設定」→自動調整

 こうすることで、24pで配信されている映画作品はオリジナルのフレームレートで楽しめるし、SDRも変換なしで再生できるので、個人的にはこの状態を選んだわけです。

 ちなみに、先にFire TV Cubeは処理速度が向上していると書いた通り、IDやパスワードの入力作業の際のレスポンスが快適で、もたつきを感じることがなかった。メニュー表示等でもストレスを感じないのは、日常使いで嬉しい進歩と言えるだろう。

「設定」→「ディスプレイとサウンド」から「オリジナルのフレームレートに合わせる」をオンにし、「ダイナミックレジの設定」を自動調整に変更している

 設定が終わったところでコンテンツを再生する。ちなみに『シン・ウルトラマン』の詳細スペックはPrime Videoのメニュー画面には書かれていないが、映像はプロジェクターのソニー「VPL-VW1100ES」に4K/24pで、音声はリニアPCM5.1chでCX-A5200に入力されていた。一方有機ELテレビのTVS REGZA「55X9400S」では時間表示のバーの横に「HD」の文字が出ており、音声はドルビーデジタルプラス/サラウンドになっている。

 推測するに、映像は2K/24p、音声はドルビーデジタルプラス5.1chで配信されており、Fire TV Cube側で再生機器に応じて4Kアップコンバートしたり、リニアPCMデコードされているのではないだろうか。

 まずは110インチスクリーン+リニアPCM 5.1chサラウンドでチェック。冒頭のロゴが鮮やかで、色のグラデーションも滑らかだ。それに続く、禍特対設立の経緯解説とメロンガ登場のシークエンスでは、ヘリのコックピットや、アップになる「SSSP」と書かれた腕章のディテイルが細かく、前線基地での隊員の迷彩色の制服なども細部まで描き分けられている。なおVPL-VW1100ESの映像モードは「リファレンス」に微調整を加えている。

ソニー「VPL-VW1100ES」で入力信号を確認したところ、4K/24pで映像が入力されていた

 有機ELテレビの55X9400Sでも確認したが(映像メニューは『映画プロ』)、こちらは自発光ということもあり、いっそうクリアーな映像として再現された。画面全体で輝度やコントラスト感が向上し、ベータカプセルのメタル感、クライマックスのゼットンが自己増殖するシーンにも目が奪われる。

 ウルトラマンのCGも、(オリジナル作品へのオマージュとして)登場初期はやや顔の造型が粗く、物語が進行するに連れて整っていくわけだが、その描き込みなどは55X9400Sの方がわかりやすい気もした。ある意味エネルギー感溢れる映像で、こちらの絵を好む方も多いだろう。

 サウンド面では、メロンガの放電やミサイル発射の爆音は重さを伴って再現されている。さらにウルトラマン登場(飛来)時の重低音もインパクト充分で、サブウーファーがいい仕事をしている。セリフも劇場よりも聞き取りやすく、盛り込まれた技術用語にひっかかることもない。正直劇場で観たときよりも作品への没入感は高まった印象だ。

ヤマハ「CX-A5200」の音声信号情報。なぜリニアPCMで入力されているかは不明……

 試しにこれまで使っていたFire TV 4K MAXでも『シン・ウルトラマン』を再生してみた(イーサネットアダプターを使い有線LANで接続)。映像についてはVPL-VW1100ES、55X9400Sのどちらもディテイルまでしっかり再現されるし、人物の肌や衣装の質感も自然に描かれている。ここは五角と言っていい。

 音については、わずかながらFire TV Cubeの方が低音の力感が出ていると感じた。これは筐体の構造や電源などの差に由来するのかもしれない。

 Fire TV CubeではPrime VideoやAmazon Musicなどに加えて、アプリによる各種ストリーミングサービスにも対応済み。さらにUSBストレージからの音楽や動画・静止画再生も可能とのことだ。かなり使いこなし甲斐のあるアイテムなので、少しずつトライしてみたいと思う。(取材・文:泉 哲也)

TVS REGZAの「55X9400S」で確認したところ、音声はドルビーデジタルプラスで入力されている