ネットでの動画配信が主流になりつつある昨今、でもホームシアターで楽しむならやっぱりフィジカルメディア。実際に、ビットレートの有利さや細かな仕様、特典などでそのメリットを感じることも多いはず。本連載では、そんなディスクメディアをホームシアターで再生、そのインプレッションを紹介する。第6回は、『戦国自衛隊』をクローズアップ。先日開催された立川シネマシティでの本作の4K上映イベント終了後に、ご自宅のシアターシステムでUHDブルーレイをじっくり検証してくれた酒井さんのインプレッションを紹介する。

立川シネマシティでのイベントの詳細はこちら → https://online.stereosound.co.jp/_ct/17583132/

『戦国自衛隊4Kデジタル修復 Ultra HD Blu-ray【HDR版】』 ¥18,480(税込)

約190ページにわたるA4ソフトカバー資料集も同梱されている

●DAXA-5873●本編138分+特典113分/4KUltraHD Blu-ray+Blu-ray+特典Blu-ray+CD 計4枚組●カラー/ビスタサイズ●1979年●日本●音声:[UHD]日本語2022Remix Dolby Atmos、日本語 劇場オリジナル4chステレオ、日本語 劇場オリジナル 2chモノラル、[BD]日本語 劇場オリジナル4chステレオ、日本語2.0chステレオ、日本語2005 Remix 5.1chサラウンド、英語 吹替2chモノラル●字幕:日本語字幕●発売・販売:KADOKAWA

今回新たに発見された劇中全楽曲のステレオ音源を収録したCDも特典として付いてくる

 立川シネマシティで観た4K/SDR&4chステレオサウンド版の『戦国自衛隊』は往時の劇場公開を思い起こさせてくれる、なんだか懐かしい雰囲気。そんな印象だったが、自宅でパッケージ版を再生する時にはもっぱら4K/HDR映像とドルビーアトモス音声の組み合わせで楽しんでいる。

 本作の4K/HDRマスターは先の『犬神家の一族』4Kデジタル修復版と同様で、きわめて自然な印象になるようにHDR化されている。その結果、特にナイトシーンの情報量と見え方が大きく変わった。あえて太陽光をフレームに入れた、斎藤光正監督作品らしいイメージカットなども陽光の眩さが際立っている。

 また、色域が広くなったことで画の奥行感の表現力が向上し、SDR版よりもさらに立体的に見える。 “光” が効果的に使われているオープニングから自衛隊のタイムスリップ、メインタイトルが出るまでのシークエンスは従来のHDマスターや4K/SDR版とも見違えるようなトーン。つい何度も観てしまう。ディスクを再生する際にモニター側で色温度を低めに設定すると往年の劇場風に、若干高めに設定するとS/Nのいいデジタルシネマ風に楽しむことが出来ると思う。

 この最新の映像には、やはり音声トラックはイマーシブサウンドが相応しいだろう。Imagica EMSでの制作リポート(関連リンク参照)でもお伝え済みだが、とにもかくにもドルビーアトモス音声の仕上がり具合が実にいい。2chステレオや4chステレオ、5.1chサラウンド版など、これまでの音声トラックがそれぞれ持っている特長が巧く活かされたトーンになっているのだ。

 違和感なく新たに足しこまれたサウンドエフェクトも随所で本作の持つエンタテインメント性を高めている。“青春物語”らしく鮮烈にフレッシュに聴こえるのが劇場公開時の4chステレオサウンド版だとしたら、ドルビーアトモス版は娯楽色が濃厚になり、よりスペクタクルな大作風となるのが面白い。

 『戦国自衛隊』から本格的にスタートした「角川映画UHDプロジェクト」。12月にはこれもまたファンの多い『蘇える金狼』と『野獣死すべし』、そして2023年1月には『化石の荒野』のリリースが控えている。思えば来年は『時をかける少女』や『探偵物語』も劇場公開から40周年を迎える。 “角川三人娘” 出演作品の4Kディスク化も楽しみにしていてもいいかもしれない。

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