コニー電子は、米田オーディオ ブランドの新製品として、本体(キャビネット)を紙で製作したスピーカー「Koala A-1」の設計・試作を行ない、10月27日より製品化へ向けたクラウドファンディングを開始する。納品は2023年の夏(8月)の開始が目安で、同年10月には発送完了を見込んでいる。価格は早割で¥48,000~(ペア)。サラウンドシステム用の4本セットも用意されている。

 Koala A-1は、15年以上に渡ってスピーカーの製作を行なってきた米田氏が設計した製品で、近年の環境保護の観点を取り入れつつ、製品価格の廉価と性能の両立を目指して、本体(キャビネット)に紙を使用して試作したスピーカー。アンプ内蔵のパワードモデルであり、同時にBluetooth入力(接続)もサポートするなど、今様な機能も盛り込まれているのが特徴となる。

パワードスピーカーで、電源はUSB-C。モバイルバッテリーでの駆動も可能だ(ケーブル、モバイルバッテリーは別売り)

 もともとの始まりは、本製品に搭載するフォスター製のユニットとの出会いにあるそうで、レスポンスのよいサウンドと、特に人の声の再現性に魅了され、スピーカーシステムとしての開発を思い立ち、それを形にまとめたのがKoala A-1になるという。製作者の米田氏曰く「自然で生々しい音」をキーワードに開発を進め、結果、「ユニットのよさを活かした設計ができた」と、自信のコメントをしていた。

米田氏がほれ込んだフォスター製ユニット

 ターゲットは、オーディオ初心者、あるいはオーディオに興味はあるけど、まだシステムを所有していないユーザー。ということで、きちんと音楽を楽しめるクォリティを持たせつつも、エントリー層を想定した製品にまとめるべく、価格を抑えることも念頭に素材を探し、たどり着いたのが紙になるということだ。

 紙の特徴については、クラファンサイトにも列挙されているが、主なものを挙げれば、素材の特性として響きを出しにくい(共振を抑制できる)という利点に加え、製品を軽くできる、古紙を使うことで環境負荷を低減することができる(古紙利用率95%以上という)、製品表面の手触りも楽しめる(インテリア性を高くできる)、といった特徴を備えた製品にまとめることができる、となる。

 ただ、紙をキャビネットに使うことを思い立っても、その素材選びや、加工を行なってくれるメーカーを探すのに時間がかかり、今回の試作機の完成までには、およそ2年の月日がかかっているということだ。

試作機では左チャンネルの天面に電源・音量ボタンを装備する

 さて、クラウドファンディング開始に向けてその試作機の音を聴く機会を得たので、簡潔にそのインプレッションを記すと、米田氏のいう通り、定位感に優れたサウンドを味わうことができた。帯域は高域までスッと伸びている印象で、音像はスピーカーの間の少し上に定位し、スピーカーの存在が消えてしまうような、点音源的な再現性となっていた。

 ちなみに、電源・アンプは左チャンネルに内蔵し、右チャンネルは通常のパッシブスピーカーであり、左チャンネルから3.5mmケーブルを接続して鳴らすことになる。左右チャンネル(スピーカー)の入れ替えも可能(切り替えスイッチがある)。また、電源ポートはUSB-C(USB-PD対応)なので、(USB-PD対応の)モバイルバッテリーからの駆動も行なえるようになっている。

 なお、搭載アンプをキャンセルして、通常のパッシブスピーカーとしてプリメインアンプからの駆動(接続)も可能だが、その際は、調音(補正)のために、再生機とアンプの間に専用の「イコライザーモジュール」(¥26,000)の挿入が推奨されている。具体的には、高音部を抑制するよう調整されているそうだ。

 また、木製の専用スピーカースタンドも用意されている(¥19,000ペア 高さは26cm)。