一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は、明日(10月18日)から幕張メッセで「CEATEC2022」を開催する。それに先立ち、本日午後からプレスブリーフィングが開催された。

 CEATECは2000年にエレクトロニクスショーとCOM JAPANが統合してスタートした。IoTやライフスタイルに関連した技術やB to Bのデバイス展示が中心で、テレビなどのエンタテインメント機器の展示は影を潜めて居待っているのがちょっと残念だが、それでも近い将来家庭用機器に搭載されたらもっと生活を豊かにしてくれそうな提案も並んでいる。

 以下では、ホール7〜8、トータルソリューションエリアの各ブース注目展示を紹介していきたい。

京セラ(トータルソリューション/ホール8/T004)

 京セラのブースでは、「高精細 空中ディスプレイ」に注目。正面に6インチの黒いパネルがあり、正面に立つとパネルの手前15cmほどの場所に映像が浮かび上がる仕組みだ。

 その本体内部には小型ディスプレイデバイスを搭載し、独自設計のミラーを折りたたむように配置している。その独自設計ミラーで被写体を様々な方向からの光として投写、空中で結像するようにしているわけだ。ちなみに試聴可能な範囲は正面から約30度で、それを外れると映像が見えなくなってしまった。

 さらに本体手前側にはセンサーが搭載されており、映像近辺に指をかざすとそれを認識して反応する。今回の展示では指輪の映像が表示されていたが、それを回転させて360度の範囲で楽しむことができた。また本体先端(パネルから30cmあたり)には別のセンサーが仕込まれており、ここでピンチすると拡大も可能だった。

三菱(トータルソリューション/ホール8/T003)

 三菱電機ブースでユニークだったのは、LiDAR(Light Detection and Ranging=光検出と測距)センサーを搭載したスマホを使った3次元計測アプリだった。最近のiPhoneなどでは、カメラで測定することで人物の身長や離れた場所にある建物の高さを調べるアプリがリリースされているが、このアプリはそういった機能を拡張し、カメラで撮影した画像から3Dモデルを構築、そのデータを使って正確な計測が行えるというものだ。

 例えば水害などで家屋が浸水した場合、その様子をこのアプリを使って撮影すれば、どれくらいの高さまで水が達したのかなどがひとめでわかるようにできるというのだ。実際に会場の展示物をスマホで撮影した3Dデータも表示されていたが、かなり正確に再現できていると感じた。

 ちなみにLiDARカメラについては、iPhone Proクラスに搭載されたものであれば充分実用になるとのことなので、アプリがリリースされれば使ってみたいと思うユーザーは多いだろう。

 上の写真は人の認知特性を活用した進化型遠隔操作サービスプラットフォームという提案で、例えば手の不自由な人でも操作パネルから目(視線)で指示することで、離れた場所にあるマシンを動かすことができるというものだ。直感的な作業で離れた場所のシステムを操作できるので、様々なケースでの応用も期待できそうだ。

東芝(トータルソリューション/ホール8/T002)

 東芝のブースを入るとすぐに目に入るのが、「超軽量・小型・高出力の超伝導モーター」だ。“超電導”とは、特定の金属などをひじょうに低い温度まで冷却することで電気抵抗が「ゼロ」に近づく現象のこと。超電導状態になった物質を超電導体と呼び、それをコイルにした超電導磁石に大きな電流を与えると、他では得られないほど強力な磁場が得られるという。

 これまでの超伝導モーターは液体窒素などでコイルを冷却して超伝導状態を実現していたが、それではモーター本体の小型化が難しかったという。今回展示された超伝導モーターはガス状の窒素で冷却を行っているそうで、この工夫によって従来の10分の1以下の軽量化、小型化が可能になったとのことだ。

 この超伝導モーターは出力2MWで、本体サイズは外径約φ500×全長約700mm(シャフト除く)というもの。この大きさなら航空機や船舶、トラックなどにも搭載可能で、大型モビリティ産業でのCO2排出削減にも大きな効果があると東芝では考えているようだ。

 最近TV CFでも盛んに宣伝されている「パワー半導体」のパッケージも展示されている。パワー半導体は電圧・周波数を変えたり、直流/交流を変換するといった機能を持っている。例えばモーターの回転を高精度に制御したり、太陽電池で発電した電気を送電網に送ったりといった大型システムから、スマホの充電器や無線アダプターの電源など身近なデバイスまで幅広く使われている。

 東芝では近年、SiC(シリコンカーバイド)やGaN(窒化ガリウム)といった素材を使ったパワー半導体の開発・研究を進めてきたが、まずはSiCを採用することで電力損失の抑制を実現、これにより工場などの設備から日常生活まで様々な分野での電力ロスの削減を実現していくという。