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 Mojoはコード・エレクトロニクスのなかでももっとも小さなD/Aコンバーター。その後継機となるのがMojo 2だ。外観はほとんど変わらないが、FPGAで構成されるDACなどは大幅に刷新されている。独自のWTAフィルターは従来の38896タップから40960タップとなり、タイミング精度を向上させたことをはじめとして、歪みやノイズの低減も果たしている。

 そして、新たにフルトランスペアレント型ロスレスDSPの「UHD DSP」を搭載し、高精度な音量調整を実現。音質の向上にも貢献するほか、4つの帯域で18段階の調整ができるイコライザー機能、4段階のクロスフィード機能を持たせている。

 また、従来と同じくネットワーク再生機能やファイル再生機能を担うPolyとの連結も可能で、接続時はRoon Ready端末として使用することもできる。今回の取材でもMojo 2+Polyの状態で試聴を行なっている。

 まずは基本的な音質の確認。Polyをトランスポートとして使いDLNAによるネットワーク再生とmicroSDカードに保存したファイル再生で音を聴いた。DLNA再生では汎用のプレーヤーアプリとして「8 player」を使用、イヤホンは手持ちのテクニクスEAH-TZ700としている。

 森口博子のガンダムソングカバー集第3弾から「ターンAターン」を聴いたが、和楽器バンドによる尺八などの伝統的楽器の音色が自然かつリアル。歌唱を芯の通った音で力強く再現し、バックの演奏も実にクリアーに描き分けるなど、クラスを超えた分解能の高い表現力だと感じた。

 『BADモード/宇多田ヒカル』を聴くと、シンセベースのリズムを力強く鳴らしているのが印象的。ヴォーカルは厚みのある音像で実体感を持って目の前に浮かびあがる。このあたりの低音の力強さと反応のよさは上位機のHugo 2にも迫るものがある。包まれるように響く伴奏のメロディも開放感のある広がり方で実に気持ちのいい鳴りだ。

 クラシックの『チャイコフスキー:交響曲第6番〈悲愴〉』でも、ホール感を豊かに描きながら、個々の楽器の音も粒立ちよく正確な音色で再現する。弦楽器が合奏するパートでも各楽器の音がきれいに分離し、そのうえでハーモニーの美しさがしっかりと出る。小型モデルとは思えない雄大なスケール感は驚異的。

ポータブルモデルのリファレンスになりうる音

 ここで、イコライザー機能を試してみた。調整ポイントは低音域(20Hz)、中低音域(125Hz)、中高音域(3kHz)、高音域(20kHz)となる。EAH-TZ700自体が低音域の再現性が優秀で人によっては低音が過剰と感じるほどなので、試しに低音域を調整してみた。もちろん低音楽器やドラムなどのリズムの音量は下がるが、エネルギー感や反応のよさは失われない。音質的な変化はまったく感じず好ましい低音量に調整できた。もちろん、これらの調整値の組合せをメモリーできるので、使用するイヤホンやヘッドホンに合わせて使い分けることも可能。自分のお気に入りのイヤホン/ヘッドホンがより好みの音で楽しめる。

 そして、スピーカー再生に近い音場感を再現するクロスフィード機能は、オフの状態が半円形に音場が展開するイメージだとすると、角度を狭めて扇形に近い音場で再現するように感じた。センター付近の奥行が増し、ヴォーカルも凝縮されたような密度感が出てくるため
、音の前後感も際立つ。いわゆる頭外定位を意識した仮想サラウンド的な音場とはまるで違って不自然さはなく、前方に音楽が浮かぶような音場となる。個人的には効果を最大とすると横方向の広がり感が狭いとも感じたが、最小や中程度ならばヴォーカルとじっくりと向き合うような聴き方ができて面白かった。もちろん、音質的な変化はまったく感じない。

 4つの球形ボタンは、音量、イコライザー調整量、メニューのモードなどをすべてボタンの色の変化で示すので、最初は戸惑う部分もある。だが、ボリュウムのプラスとマイナスのボタンでの操作が主体で簡単なのですぐに慣れてしまうはず。Polyとの組合せで音楽プレーヤーとして使えるようになることも含めて、ポータブルなD/Aコンバーターの枠を超えた機能性と音質のよさには脱帽だ。ひじょうに優れたポータブルDACとして、リファレンスとなるモデルといえよう。

CHORD
Mojo 2
79,980円(税込)

●接続端子:デジタル音声入力4系統(USBタイプC、マイクロUSB、光、同軸)、ヘッドホン出力2系統(3.5mmステレオミニ×2)
●最大サンプリング周波数/量子化ビット数:〜768kHz/32ビット(PCM)、11.2MHz(DSD)
●寸法/質量:W83mm×H62mm×D22.9m/約185g
●問合せ先:(株)アユートhttps://www.aiuto-jp.co.jp/

デジタル入力端子は従来からの光、同軸、マイクロUSBから、新たにUSBタイプCが追加された。給電は充電専用のマイクロUSBから行ない、その下のLEDの色で充電状態を表示する

ヘッドホン出力は2系統あり、同時に再生が可能

4つのボタンは、左からメニュー、音量マイナス、音量プラス、電源。従来通り電源ボタンの点灯色で楽曲のレゾリューションを表示する。今回新たに加わったメニューボタンでクロスフィード機能やイコライザーを操作する


Polyは、Mojo/Mojo 2にmicroSDの音楽データを再生する機能と、DLNAやAirPlay、Roonでのネットワークプレーヤー機能をもたらす専用のオプションモジュール
直販価格 69,980円(税込)

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