モンスターパニックの傑作『ジョーズ』、『ジュラシック・ワールド』でおなじみ、ユニバーサル・スタジオの最新作。それだけでド迫力は保証されたも同然だろう。観る者にしっかり恐怖や不安をもたらすなかに、豊かなストーリー展開があり、選りすぐりの俳優たちがアクションも交えながら快演する。しかも舞台はアフリカの広大なサバンナなのだ。そんないわくつきの作品『ビースト』が、この9月9日から全国公開される。

 監督はバルタザール・コルマウクル、主人公ネイト・ダニエルズ医師にはイドリス・エルバ(『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』等)が扮する。撮影は南アフリカのリンポポ州、北ケープ州のケープタウンで敢行された。

 ライオンが人間を襲うのはどんなときか。普通に考えたら空腹のときである。が、このモンスターライオンは腹の状態がどうであろうと人間を見れば怒りをむき出しにして襲いかかる。その根底には何があるのか。恨みだ。この動物がそこまで恨みを持つようになったのはなぜか。その原因は何なのか。物語が進むにつれ、その謎――社会の仕組みにも関わる――が解明されてゆく。

 動物も人間も、血が通っている点では一緒だ。尊厳をないがしろにされれば怒るのも当然だし、どこの誰にも人々の尊厳をぶちこわす権利はない。医師というバックグラウンドを生かしてライオンと闘い、犠牲者の救命にあたるダニエルズ医師が実に凛々しい。

 ライオンと人間の格闘シーンに関しては、音や両者の表情も含めて、これはもう、「百聞は一見に如かず」そのものなのだが、本物のライオンは一切使われていない。現在の常識として、動物にはまったく危害が加えられていないのはいうまでもない。フェラ・クティの楽曲が使われているのも聴きものだ。

映画『ビースト』

9月9日より全国公開

監督:バルタザール・コルマウクル
キャスト:イドリス・エルバ、シャールト・コブリー、イヤナ・ハーレイ、リア・ジェフリーズ
配給:東宝東和
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