JURASSIC WORLD: DOMINION - 4K UHD BLU-RAY | 2022 | 147 min | 160 min | BD-100
| HEVC / H.265 | Native 4K | Dolby Vision | HDR10 | 2.00:1 | DTS:X | Universal Studios | Aug 16, 2022
| $49.98(amazon.com: $29.96 )

『ジュラシック・パーク』シリーズ三部作に続く『ジュラシック・ワールド』シリーズ最終章。登場する恐竜は過去最高の35種類を数え、レギュラー陣に加えて旧三部作の顔ぶれも勢揃い、もはや豪華大盛り海鮮丼感覚。そのぶんシリーズが内包するテーマ性が薄らいだ気もするが、技術面の進化に呆れんばかり、力のこもった出来栄えだ。147分劇場公開版と160分エクステンデッド版を収録。

35mm/スーパー35方式撮影。一部35mm純正ビスタビジョン/水平輸動方式撮影、65mm/パナビジョン・スーパー70方式撮影、8K REDCODE RAW収録。DIファイルは4K。アスペクト比は2.00:1(※)。粒子感は淡味。現代に現れたジュラ紀世界は広範囲にわたってCG/VFX処理されているため、期待通りの解像感を得られていないショットも多い。

HDRはいくぶん控えめで抑制気味のコントラストバランスを提供。それでも白はクリーンで鮮明。黒レベルはビロードのような厚みを有している。ドルビービジョンHDRは陰影をより画面奥深くまで浸透させ、低照度ショットの視認性も向上する。支配的なウォームトーン。オレンジや琥珀色の濃淡も優秀。 原色は的確にレンダリング。

サウンドデザイン/音響編集監修は、スリリングで超弩級な音響体験なら任せとけと言わんばかり、『トップガン マーヴェリック』のアル・ネルソンが担当する。近ごろ寡作となったDTS:Xだが、本作のサウンドトラックは力のこもった仕上がり、シリーズ最強とも言える激空間シネソニックを披露。サウンドステージは精妙にバランスが取れており、ダイアローグ、効果音、音楽の浸透力もエリートクラス。ミニマルな効果音や微かなアンビエントの再現力も目覚ましい。

アクションがトップギアに入ると、全チャンネル全開で映像を補完、広大なハーフドーム・サウンドステージを生成。優れた明瞭度と解像度を提供するミッドレンジに加え、堅牢で強靭なローエンドが聴覚スペクタクルを増幅する(いくつかのシークエンスでは5Hzにまで及ぶ)。

UHD PICTURE - 4.5/5  SOUND - 5/5

4K SCREEN CAPTURE
映像平均転送レート 47035 kbps(HDR10)| 5685 kbps(Dolby Vision /10.78%)
音声平均転送レート 3805 kbps(DTS:X) | 48kHz | 24bit)

※ 2.00:1アスペクト比
現在2.00:1 アスペクト比は、長編映画、ストリーミング シリーズ、テレビコンテンツ、さらにはコマーシャルまで、急速に成長しているフォーマットである。

2.00:1アスペクト作品は、RKO が最初にスーパースコープ形式を導入した1953年に遡り、1954年西部劇『ヴェラクレス』が第1作となる。だが撮影技術上のさまざまな制限によって、スーパースコープが使用されたのはほんの一握りの映画に限られた。また、パラマウント開発のアナモフィックレンズを採用していたが、レンズの精度が低く、短命に終わった一因と言われている。その後スーパースコープは、ネガの上下をトリミングして2.35:1スコープ画面を生成するスーパースコープ235方式に変更。スーパースコープ235はスーパー35方式の前身である。

その後1998年に、ヴィットリオ・ストラーロがユニビシウム方式を提案、2.00:1 アスペクト比を復活させている。当時、家庭用テレビ市場では16:9 /HDTV が間近に迫っており、ストラーロは映画鑑賞に大きな変化が起きようとしていることを認識していた。そこでストラーロは「映画は家庭用テレビでも見映えすることが必要であり、すべての映画は実質的に妥協点となるアスペクト比で撮影するべきだ」と提案した。その妥協点となるアスペクト比を、ストラーロは2.00:1 と定めたのである。

現在、海外メディアは「ストラーロは時代を先取りしていた」と評価しているものの、残念ながら何年もの間、2.00:1 での撮影を検討したフィルムメーカーはほとんどなかった。映画では 1.85:1 または 2.39:1、HDTV では 1.78:1。それが主要なアスペクト比とされていたからである。

だがストリーミングサービスが登場、さらにiPhone、ソーシャルメディアが登場すると、標準的なアスペクト比の概念を完全に解体することになる。アスペクト比は映像作家にとってクリエイティブな選択肢となり、実験的な選択肢も見られるようになるが、そのなかでNetflix の台頭はもっとも重要な出来事であった。Netflix は厳格な技術基準で知られており、視覚的ガイドラインもそのひとつ。Netflix はスコープ等のアスペクト比 (2.39:1 など)を使用する作品を制限してはいないが、技術ガイドで次にような声明を出している。
アスペクト比が 2.00:1 を超える(2.39:1など)場合は、評価・承認のための協議を必要とするー。

『ジュラシック・ワールド』3部作では、シリーズ第1作『ジュラシック・ワールド』で2.00:1アスペクト比を採用。これはストリーミングサービスを念頭に入れたものであった。また「画面に映し出される恐竜のサイズにスペクタクル性を持たせる」ために1.85:1アスペクト比(ビスタサイズ)を主張したスピルバーグと、監督コリン・トレヴォロウと撮影監督ジョン・シュワルツマンが主張する2.39:1アスペクト比(スコープサイズ)との妥協点を探った結果でもあった。

第2作『ジュラシック・ワールド/炎の王国』では(旧作3部作を含む)シリーズ初の全編大判センサーによるデジタル撮影を敢行、最終的に2.39:1アスペクト比を採用した(6.5K/3.4Kオープンゲートモード=受光センサー面全域でデータを記録するモードで撮影、上下をトリミングしてスコープ画面を生成/IMAX上映サイズにも比較的容易に対応できる)。だが関係者の間で賛否が分かれ、『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』ではふたたび2.00:1アスペクト比に立ち返っている。

「2.00:1のフレーミングというと、スペクタクル性が弱まるのではないかと考える映画ファンも多い。だが実はワイドスクリーンにとってのポジティブな効果が数多くあり、その理由のひとつはレンズ選択の幅が広がることにある。『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』では膨大な量のビジュアルエフェクトが組み込まれており、恐竜の数も登場場面も豊富なバリエーションとなっている。俳優との絡みもより複雑なものになっていて、アングルやフレーミングを決定する際に多様なレンズが役立っている」(撮影監督ジョン・シュワルツマン)