Nreal Japan(エンリアル ジャパン)は本日、新製品「Nreal Adapter」の発表会を開催した。価格は¥8,980(税込)で、9月末の発売を予定している。

 同社はスマートグラスの「NrealAir」「NrealLight」や、3D再生用アプリ「Nebula」などを開発・発売するブランドとして大きなシェアを誇っている。NrealLightは2019年6月に、Neral Airは今年2月に登場し、日本ではドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社のキャリアで販売されている。

スマートグラスの「NrealAir」

 新型モデルとなるNrealAirは、サングラスタイプの眼鏡のフレーム上側にフルHD解像度の有機ELパネルを内蔵、内側に設置されたプリズムに投写することで、前方4mの位置に130インチの映像を体感できる。つるの部分にはスピーカーも内蔵され、絵と音を同時に楽しめるのも特長だろう。

 左側のつるの先端部分にUSB Type-Cコネクターを搭載し、ここにスマホをつないで映像や音声信号を伝送する。そのため、これまではアンドロイドスマホとの組み合わせを想定しており、アプリのNebulaもアンドロイド用だけがリリースされていた。

新製品「Nreal Adapter」。右がHDMI端子部で、ここを外して市販のLightningアダプターに差し替えるとiPhoneシリーズもつなぐことができる

 新製品のNreal Adapterは、NrealAirをiPhoneやゲーム機などの様々なデバイスで使えるようにするアイテムだ。W61.4×H23.3×D45.4mmの本体にはUSB Type-CとHDMIコネクターを備えており、ここに再生機のHDMI出力をつなぐことで、NrealAirで視聴できる。またHDMI端子部は着脱可能で、ここに市販のLightning-HDMIアダプターを装着すれば、iPhoneの映像もNrealAirで楽しめるという。

 ちなみにNrealAirはUSB Type-Cから電源を供給する仕様のため、単純なUSB Type-C→HDMI変換アダプターでは映像が再現できない。そのためNreal Adapterはバッテリーを内蔵しており、あらかじめ充電しておく必要がある。フル充電での使用時間はストリーミング動画再生で3時間。

左がNreal副社長兼日本Nreal代表取締役の呂 正民氏で、右が日本Nreal株式会社マーケティング・マネージャー 下高原沙也佳氏

 新製品発表会では、まずNreal副社長兼日本Nreal代表取締役の呂 正民氏が登壇し、概要紹介を行った。

 呂氏によると、デジタルデバイスが普及するにつれ、情報を表示するデバイスは進化していくという。昨今はメタバースも登場し、インターネットプラットフォームも平面(2D)から3Dの考え方に変化していくということだろう。そしてAR技術が進化することで、われわれの生活にも大きな変化があることを確信していると呂氏は語っていた。

Lightningアダプターを使って、iPhoneをつないでみた

 続いて日本Nreal株式会社マーケティング・マネージャー 下高原沙也佳氏が新製品について説明してくれた。

 まずNrealAirは、「高画質・大画面をポータブルで実現する」「人間工学に基づいた、デザイン製」「目への安全性」という3つの特長を備えたスマートグラスとして開発されている。

 上記の通り、再生デバイスとはUSB Type-Cでつなぐ仕組のため電力出力対応のスマホが必要で、組み合わせる機種も限られていた。そのためユーザーからは、iPhone(Lightning)やHDMIで使いたいという声が寄せられていたそうだ。今回のNreal Adapterはそんな希望に応えるための製品ということだろう。

動画ストリーミングの視聴中

 ちなみにiPhoneとつないだ状態では、NrealAirはiPhoneのミラーリングデバイスとして動作するので、視聴できるコンテンツは動画ストリーミングサービスなどが中心となる(iPhone用アプリの開発時期は未定とのこと)。

 発表会の体験ブースでDisney+を視聴してみたところ、『オビ=ワン・ケノービ』の映像が空間に浮かび上がり、確かに大画面映像として楽しむことができた。ただしNrealAirは半透過型デバイスで、映像の後ろには実際の風景が透けて見えている。

NrealAirは、レンズ部の裏側にプリズムが取り付けられており、ここに有機ELパネルの映像が投写される

 そのため背景が白っぽい中で暗いシーンを見ようとすると、黒が浮いた映像になってしまい、やや物足りない。NrealAir自体には映像調整機能はついていない(スマホなどの再生機側で調整する)ので、動画コンテンツを楽しむ場合には、周囲の環境にも注意した方がいいだろう。

 ちなみにNebulaをインストールしたアンドロイド携帯との組み合わせでは、「AR Space」でプリセットされたコンテンツを楽しむことができる。目の前に並んだアイコンから気になるものを選ぶ仕組で、リモコン操作はスマホ側で行うようになっている。

Nebulaをインストールしたアンドロイド携帯との組み合わせでは「AR Space」も体験可能

 質問タイムに、マーケティング・マネージャーの下高原さんにHDMI再生機を拡充する予定があるかを尋ねてみた。すると「現在動作確認ができているのはSwitchだけですが、XboxやPlayStationについても検証を進めています。これらは確認が取れ次第弊社サイトで公開していく予定です」という返事だった。

 オーディオビジュアルファンとしては、ゲーム機だけでなく、BDプレーヤー/レコーダーの再生にも対応してもらいたいし、せっかくなら3Dブルーレイを立体で楽しめるようにしてもらいたい。パーソナルで楽しめる没入型デバイスというニーズはきっとあると思うのだが。

「AR Space」のイメージ。それぞれのアイコンを選ぶことでコンテンツが再生できる

 最後に、3DインタラクティブアプリのNebulaについて、Mac OS対応が発表されている。今まではアンドロイドのハイエンドスマートフォンにしか対応していなかったが、現在Mac OSでも使ってもらえるよう対応バージョンを開発中とのことだ。このアプリを使えば、Mac PCでも同時に最大3画面のブラウザを起動することが可能になり、NrealAirひとつでマルチスクリーンを実現できるとのことなので、Macユーザーも楽しみにお待ちいただきたい。