SONOSジャパンは同ブランドの新製品として、小型サウンドバー「Sonos Ray」(価格未定だが4万円前後、今秋発売予定)と、ポータブルスピーカー「Sonos Roam」のカラーバリエーション(¥23,800、税込、今夏発売予定)を発表した。

Rayは横幅559mmのコンパクトサイズ。リアパネルには光デジタルとLAN端子を装備する。ネットワーク接続は、LANの他にWi-Fiでの接続も可能

 RayはW559×H71×D95mm、重さ1.95kgのコンパクトなサウンドバーだ。同社ではサウンドバー製品としてドルビーアトモス再生に対応したトップモデル「Arc」と、同じくドルビーアトモス対応の「Beam(Gen2)」を発売している。

 Rayはそれらの弟機という位置づけで、ドルビーアトモスには非対応だが、より手軽にSonosクォリティを手に入れられる製品となる。同社オーディオエンジニアリング シニアディレクターのクリス・デイビス氏によると、Rayは「Sonosホームシアターの裾野を広げる」製品として「精緻なバランスの取れた音」を目指して開発されたとのことだ。

 ちなみにクリス氏にRayの使用環境について質問してみたところ、画面サイズは最大55インチほどで、部屋の広さは18畳、視聴距離は2.5〜2.8m前後を想定しているようだ。それを超える場合はBeam(Gen2)やArcを選んで下さいとのことだった。

 スピーカーのスペックとしては、本体両サイドにトゥイーターを2基、中央寄りにミッドウーファーを2基搭載した2.0ch構成(アンプは4基搭載)。トゥイーター部にカスタム設計されたアシンメトリーウェーブガイドを備えて、高域を左右の壁に向けて放射、その反射を利用して広がりのある音場を創出する。

ホワイトとブラックの2色をラインナップ

 他のSonosスピーカー同様に音楽界や映画界の第一人者からなるサウンドチームのチューニングによって、バランスの取れたサウンドを実現しているという。スマホを使った音場補正機能の「Trueplay」も搭載済みで(iOSのみ対応)、部屋に応じたカスタマイズも可能だ。

 テレビとの接続端子は光デジタル入力1系統で、音声フォーマットはリニアPCM、ドルビーデジタル/DTSの5.1chに対応する。これらの信号を入力し、独自処理を加えて上記のスピーカーで再生する仕組みだ。2ch信号も5.1ch信号もすべてサラウンドとして再生され、サラウンドモードの切り替え等は準備されていない。

 ちなみに地デジやBSデジタル放送のAAC圧縮音声には非対応なので、あらかじめテレビ側のデジタル音声出力をリニアPCMに設定しておくこと。SONOSジャパンではこの点について認識しており、本国にリクエストを出しているとのことなので、ファームアップ等での対応を期待したい。

 なお光デジタル入力だとボリュウム調整が別途必要と思われるかもしれないが、Rayは赤外線レシーバーを搭載し、テレビのリモコンでボリュウム調整ができるようになっている。これは日常使いには嬉しい配慮だ(アプリで設定)。

新製品発表会は飯倉にあるポニーキャニオンエンタープライズのビーズスタジオで行われた。ここではドルビーアトモス音源の検証用にSonos Arcも常設している

 Rayの製品発表会で、デモ機のサウンドを体験することができた。リニアPCM2ch音楽や、ドルビーデジタル5.1chの映画コンテンツを光デジタル経由でRayに入力、正面2.5mほどの位置に座って音を確認した。

 先述のように2ch音楽も内部処理したサウンドで再現されるが、ヴォーカルが自然に中央に定位し、左右にふわっと音場が広がっている。声のボディ感も充分で、楽器の分離もいいので音にメリハリがある。また、疑似サラウンドにありがちな妙に加工した印象がないのも嬉しい。

 映画コンテンツは画面を音が包み込むイメージで、さすがに5.1chの包囲感とまではいかないが、前後左右の移動感やアクションの臨場感、セリフの聴き取りやすさが好印象だった。

 なおRayは既発売のSonos製品と組み合わせたリアルサラウンド再生が可能で、今回もサブウーファー「Sonos Sub」と、リアスピーカーとして「Sonos One」をつないだシステムが準備されていた(Ray内部の音場処理を切り替えて、サブウーファーやリアスピーカー用の音を創り出す。接続はWi-Fi)。

Sonos Sub(左)とSonos One(右)をワイヤレスでつないだリアルサラウンド再生にも対応する

 この環境にすると、アクション映画ががぜん活き活きとなり、バトルシーンの迫力も格段にアップする。車の疾走感、ブレーキトラブルの緊迫感やクラッシュの爆音など、なかなかに没入できる。Sonosシステムではこれらがすべてアプリで簡単に設定でき、しかもワイヤレスでつながるので設置の手間もない。今回、改めてその恩恵を感じることができた。

 なおRayはWi-Fi経由で各種音楽ストリーミングサービスの再生に対応しており、ハイレゾ・ロスレス音源も再生できる(内部処理で48kHz/24ビットに変換される)。

 その音源も聴かせてもらったが、女性ヴォーカルの伸び、ドラムのキレや迫力がアップしたように感じた。サブウーファーとリアスピーカーを加えた環境でも音楽を臨場感たっぷりに楽しめる。

 ポータブルスピーカーSonos Roamのカラーバリエーションは「オリーブグリーン」「オーシャンブルー」「サンセットオレンジ」の3色展開で、マット調の落ち着いた仕上げだ。いずれも庭園や海辺、夕焼けなどをイメージしているとかで、家の中に限らず屋外にも持ち出して欲しいというコンセプトなのだろう。

 スピーカー等のスペックは既発売モデルと同一で、Wi-FiやBluetooth経由で気持ちいい音を楽しませてくれるはずだ。

Sonos Roamの新色も並んでいた

 また今回、新機能の「Sonos Voice Control」も発表されている。これは音楽を聴くために開発された音声コントロール機能で、Sonos Radio、Apple Music、Amazon Music、Deezer、Pandoraの操作が可能になる。

 海外では音声操作でもプライバシーを気にするユーザーが多く、クラウドにデータを上げるのを嫌がる人も多いそうだ。そこでSonos Voice Controlでは音声の処理はスピーカー内で完結し、ネット上にはプライバシーに関わるデータはアップしないよう設計されている。その恩恵として、操作レスポンスも改善されているとのことだ。

 Sonos Voice Controlはファームウェアアップデートで実装され、今年6月から英語版を、2022年後半にはフランス語版を提供予定だ。日本語版については未定とのことで、しばしお待ちいただきたい。

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