ブルーサウンドは2012年にカナダで創設されたオーディオ・メーカー。ここでレビューするのは、同社が「ミュージックストリーマー」と呼ぶネットワークプレーヤーNODEとプリメインアンプ一体型のPOWERNODEだ。

MUSIC STREAMER/INTEGRATED AMPLIFIER
Bluesound
POWERNODE
オープン価格(実勢価格13万円前後)

●定格出力:80W×2(8Ω)
●接続端子:HDMI出力端子1系統(eARC)、アナログ音声2系統(3.5mm×2)デジタル音声入力端子2系統(光/3.5mm)、LAN1系統、サブウーファー出力1系統
●寸法/質量:W220×H70×D190mm/1.78kg
●問合せ先:(株)PDN TEL. 045(340)5565

POWERNODEの背面。eARC対応のHDMI端子を備えており、これ1台でテレビのサウンド強化が図れる。サブウーファーをつないで2.1ch環境にも対応。なお、アナログとデジタル音声入力は3.5mm端子を兼用する形だ

MUSIC STREAMER
NODE
オープン価格(実勢価格8万5,000円前後)

●接続端子:HDMI出力端子1系統(eARC)、デジタル音声入力1系統(光/3.5mm)、デジタル音声出力3系統(光、同軸、USBタイプA)、アナログ音声出力2系統(RCA、3.5mmステレオミニ)、LAN1系統、サブウーファー出力1系統
●対応サンプリング周波数/量子化ビット数:〜192kHz/24ビット
●寸法/質量:W220×H46×D146mm/1.09kg

NODEの背面。昨年末のアップデートでUSB出力に対応し、より広範なDACと連携できるようになった(POWERNODEは非対応)。POWERNODEと同じく光入力は3.5mmステレオミニ(アナログ入力)とのコンボジャックだ

 2019年にわが国で初めて前モデルが紹介されたときは、それぞれの型番の後ろに2i(実質3世代めだったという)の文字が記されていたが、今回コアプロセッサーが1.8GHzクワッドコア・タイプに進化するというこれまででもっとも大きな変更を受け、初代機と同じモデルネームに戻ったようだ。

 この2モデルで注目すべきは、前モデル同様わが国で正式にサービスインされている高音質音楽ストリーミングサービス「アマゾンミュージックアンリミテッド」のハイレゾ音源に対応していることだろう(TIDAL、スポティファイにも)。また、TIDALで採用されているMQAデコード対応機であり、Roonレディ機でもある。現状でアマゾンミュージックアンリミテッド対応のネットワークオーディオ機器をわが国で販売しているのは、ブルーサウンドのほかデノン&マランツ、ヤマハ、アーカム、サイレントエンジェルとまだまだ少ない。

 写真の通り、オーディオ機器とは思えないジュエリーボックスのような洒落たデザインが印象深いが、これはニューヨークのインダストリアルデザインの専門集団DF-IDの手によるもの(仕上げはホワイトとブラックの2色)。

NODEはUSB出力に対応、DACを替えて聴くと…

 同社の純正操作アプリ「BluOS」をiPadにインストール、NODEのRCAアナログ出力をデノンPMA-SX1リミテッドにつなぎ、モニターオーディオPL300Ⅱでアマゾンミュージックアンリミテッドのハイレゾ音源をいくつか聴いてみた。周波数レンジを欲張らず中低域に充分な力感を持たせた音調、よく弾むリズミックな表現に独自の魅力を感じさせる。8万5000円前後という価格を考えれば、充分合格点を与えられる音質だが、楽曲によっては低域がファットで、もう少し締まりが欲しい印象も。

 本機は最新のアップデートでUSB出力が可能となったので、デノンDCD-SX1リミテッドとUSB接続し、PMA-SX1リミテッドとXLRバランス接続、PL300Ⅱを鳴らしてみると、予想通りの音質向上ぶり。低音の無用なふくらみやにじみが消え、大太鼓の厚みをしっかりと伝えながら、音場がきれいに広がっていく実感が得られた。好みのDACをお持ちの方は本機のUSB出力を活用することをお勧めしたい。

 CDスペック(44.1kHz/16ビット/FLAC)音源の同一楽曲で、アマゾンミュージックとTIDALの音質比較をしてみると、この再生環境下ではTIDALのほうが好ましかった。この高音質音楽ストリーミングサービスのわが国でのサービスインが昨年から噂されているが、ぜひ早い時期に実現してほしいと改めて実感した。

HDMI接続でテレビと連携、ビジュアルソースの音もいい

 では、POWERNODEのインプレッションを述べよう。本機は先述したようにNODE同様のネットワークプレーヤー機能にプリメインアンプを合体させたモデル。駆動部はハイペックス社のクラスD増幅モジュールが採用されているが、前モデルの出力45W+45Wにたいして80W+80Wと大幅なパワーアップが実現されている。また本機は新たにeARC対応のHDMI端子が1系統装備されている点にも注目しておきたい。

 本機はトップパネルに手をかざすことで入力切替えや音量調整が可能だが、タブレットにインストールしたBluOSアプリで操作するほうがスムーズだった。音質は真っ当な帯域バランスを訴求する見事なもの。13万円前後という価格を考えればすばらしい出来だと思う。パナソニックのUHDブルーレイプレーヤーDP-UB9000をつないだ東芝48X9400Sと本機をHDMI接続し、UHDブルーレイ『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』を再生してみたが(UB9000でPCM変換)、腰の座った力強い音調で、2ch再生ながら最新映画音響のダイナミックな音の魅力を十全に浮かび上がらせてくれた。

 デザインと機能の魅力だけに留まらない高音質を備えた2モデル。しかし、なぜこういうチャーミングなオーディオ機器を日本メーカーはつくれなくなったのだろうかとふと残念に思う。

トップに手をかざすとこのような表示があらわれ、本体でボリュウム調節や入力切り替えをタップで操作する

BluOSはブルーサウンドのコントローラーアプリ。TIDALやAmazon Musicなどストリーミングの選曲、再生操作もここで行なう

【 関連記事 】

【 本記事の掲載号は HiVi4月号 】