LINNのMCカートリッジEKSTATIKは、2013年のKANDID以来のフラッグシップモデルだ。内容は超軽量5・7gのKANDIDから一新されている。ボディは7075アルミニウム(超々ジュラルミン)のハニカムカット仕上げのスケルトン。シャーシはDLC(ダイヤモンドライクカーボン)をコーティングして腐食に対策しているもよう。カンチレバーはボロンより剛性のあるサファイヤ製。針先はマイクロリッジ・スタイラス。巻き線は4N銅。自重は7g。3点支持の取り付けネジ穴はアルミニウム・ブロンズ製。試聴では、LINNジャパンから提供された3点取り付け用に加工したヘッドシェルに取り付けた。トーンアームはグランツMH1000Sを使う。

リン
EKSTATIK
¥950,000(税別)

●発電方式:MC型●出力電圧:0.45mV(3.54cm/s)●内部インピーダンス:12Ω●適正針圧:2g●自重:7g●針交換価格:¥680,000(税別)●問合せ先:(株)リンジャパン TEL 0120-126-173

 中森明菜『歌姫』からして、驚きの高分解能と精密な3次元的な定位だ。エコーが音の空域を押し広げ、高密度の減衰振動の行く末をトレースし、それが各パートの表情を豊かにする。声は高純度にして言葉の分節が明快。ピアソラの『エル・タンゴ』は宿命的な律動の重心が低く躍動感がひとしお。各楽器の打楽器奏法が精彩を発揮するし、曖昧になりがちな電気ギターの刻みや音色の変化も克明だ。『ハーリ・ヤーノシュ』はブラスの荘重にして輝かしい咆哮が際立ち、低音管楽器の底力も強大。サックスは哀感が発酵しはじめたように音色操作されて魔法のようだ。

 情報をまるごと掬い取る現代性とともに、誇張を避ける上品さも持ち合わせて、これは音楽的知性が結晶した逸品だ。

ボディは7075アルミニウムを採用。シェルとの接触部分は多数の窪みが設けられたハニカム形状で、3点ネジ止めにも対応する。カンチレバーはサファイヤ製、針先はマイクロリッジで、本機のためにアルミ・ブロンズ(青銅)製の留めネジインサートも開発された。

EKSTATIKをグランツMH1000Sに取り付けて試聴する吉田氏。

試聴に使用したフォノイコライザーアンプ
ウエスギ
U・BROS220R Limited Edition
¥715,000(税込)

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【本記事の掲載号は 管球王国 Vol.103】