カジラボKL-UA01は、高い基本性能を持ちながらリーズナブルな価格のユニバーサル・トーンアームである。本機のベースになったのはポールスター(生産完了品)で、水平回転のスラストベアリングと垂直回転のピボット部分の精度がともに向上しているという。アームパイプを含む各部はアルミニウム製。イケダのトーンアームと同じく、老舗アナログ製品メーカーのアイテイ工業で丁寧に造られる純国産品である。

カジラボ
KL-UA01
¥220,000(税別)

●型式:スタティックバランス型●スピンドル・ピボット間:212mm●オーバーハング:16mm●針圧調整範囲:0g~3g●適合カートリッジ重量:19g~26g、32g/サブウェイト使用時(ヘッドシェル含む)●備考:出力ケーブル/ヘッドシェル付属●問合せ先:(株)カジハラ・ラボ TEL 03(6279)6311

 英国ミッチェルエンジニアリングのターンテーブル、ジャイロデックに搭載されたKL-UA01は、微細な可動部のガタもなく、針圧印可の操作感も良好である。ヘッドシェルも付属しているが、ここでは標準装備のサブウェイトを併用し、マイソニックラボのヘッドシェルSH1RhにフェーズメーションのカートリッジPP2000(MC型)を装着して試聴に臨んでいる。フォノイコライザーアンプは、ウエスギの新製品U・BROS220R LimitedEdition。

アーム支持部を背後から見る。ベースモデルのポールスターPS-UNV2から回転部のベアリングとピボットの精度を向上。内部配線には6NOFCを採用している。インサイドフォースキャンセラーを装備する。

英国ミッチェルエンジニアリングのアナログプレーヤー、GyroDecに搭載して試聴した。

 ステレオサウンドの「小椋 佳」で聴いた「しおさいの詩」は、ライヴ収録らしい空間の広さを感じさせながら、声色の表情の変化に富んだ充実の再生音。音の余韻が消え入るあたりも繊細で、トーンアームの感度が優れていることを伺わせる。ドナルド・フェイゲン「ザ・ナイトフライ」は、応答の俊敏さが印象的。刻まれるリズムも音粒が立って締まっており、楽器の音色が色濃く描かれた。

 使い勝手も良く、総じて完成度の高いトーンアームである。基本性能の確かさに裏付けられた、音質重視の本物志向が嬉しい。

KL-UA01トーンアームを操作する三浦氏。

【本記事の掲載号は 管球王国 Vol.103】