今年 古希を迎えるジャック・オディアール監督と、近年、躍進著しいセリーヌ・シアマ監督が共同で脚本を手掛け、パリを舞台にしながらも、これまで作品の舞台としてはあまり取り上げられることのなかった“パリ13区”に住む、ミレニアル世代の男女4人が抱える不安や恋愛にまつわる人間模様を、大胆な描写で映像化した『パリ13区』(4月22日公開)。

 4月5日には、その試写会&トークイベントが渋谷のユーロライブで行なわれ、映画監督の枝優花、恋愛相談のマスターと言われるMIYAMU(通称失恋バーのオーナー)が登壇。作中に描かれる恋愛模様を紐解くトークを展開。同時に、会場に集まった観客から募った恋愛に関するエピソード・悩みについても、二人それぞれが自分の経験・感覚でその場で答えるという趣向も展開された。司会は、映画好きYouTuber もっちゃんが担当した。

 まずは、本作を観ての感想を聞かれた枝は、「監督の年齢を感じさせない仕上がりで、今っぽさもあるし、普遍的な恋愛の部分もきちんと押さえられていると思いました。年齢差のあるスタッフが組んだことによって、幅広い世代が共感できる作品になった」と語り、自身も、自分の年齢に近い登場人物たちに共感を得た、と感想を口にしていた。

 また、共同で脚本を担当したシアマについては、「彼女の持っているまなざしというか、作家性が好きで、本作もすごく楽しみにしていたんです。彼女が映画を作る時は、テーマが違っても、何を描きたいのかという根本は一本筋が通っていると思っていて、本作にもきちんとそれが入っているのを感じて、とても楽しかったです」と絶賛。加えて、「登場人物を、人種とか年齢という枠組みを取っ払って、きちんと一人の人間として描くところが好きで、本作でもそれが発揮されていて、観ていて心地よかったです」と笑顔を見せていた。

 一方、恋愛マスターのMIYAMUは、「フランス映画にはそれほど造詣はありませんけど、あまりパリパリしていない、普遍的な共通点とか情景が描かれていて、割とすんなり入ってきましたね。フランス映画になじみのない人にも、(それ)分かるという波がどんどん広がっていくんじゃないかと思える映画になっていました」と感想を語っていた。

 気になるキャラクター(登場人物)について聞かれた枝は、エミリー(ルーシー・チャン)の名を挙げ、「キャスティングしたい、(作品を)撮りたいっていう願望がわきました」とその存在感に言及。新人で、本作で映画初出演というフレッシュな彼女に、「演技初めてですとか、これから頑張ります、あるいは何も知らないからこそ発揮される無敵さみたいな感じが好きなんですよ。だからこそ、どこにでも飛び込めちゃう。エミリーを観ていると、それを感じたし、ベテランのオディアール監督がきちんとコントロールしているなと思い、そういうところに魅力を感じましたね」と、自分なりの見解を口にしていた。

 最後に二人から、これから作品を観るひとへのメッセージを以て、イベントは閉幕となった。

MIYAMU 途中で、カミーユ(マキタ・サンバ)がいなくなりますけど、彼のいた部屋が、ただの部屋から、いなくなった部屋ということを感じる対比というか描写があり、それが自分の体験にもつながり、結果、共感が生まれてきたのかなと思います。皆さんが作品を通して感じたことをぜひ、口コミで広めていってほしいと思います。

枝 フランス映画とか、何々賞を受賞と聞くと、難しい作品なんじゃないかって思うかもしれませんけど、オディアール監督と脚本のシアマさんの作家性がいい感じに化学反応して、楽しめる作品になったと思います。同時に、お二人の過去作をさかのぼるのも、映画の見方の一つとしておススメなので、この作品が、そのきっかけになるといいですね。

映画『パリ13区』

4月22日(金)より新宿ピカデリーほかにて全国公開

出演:ルーシー・チャン、マキタ・サンバ、ノエミ・メルラン、ジェニー・ベス

監督:ジャック・オディアール
脚本:ジャック・オディアール、セリーヌ・シアマ、レア・ミシウス
原作:「アンバー・スウィート」「キリング・アンド・ダイング」「バカンスはハワイへ」エイドリアン・トミネ著(「キリング・アンド・ダイング」「サマーブロンド」収録:国書刊行会)
2021年/フランス/仏語・中国語/105分/モノクロ・カラー/4K 1.85ビスタ/5.1ch/原題Les Olympiades 英題:Paris,13th District/日本語字幕:丸山垂穂/R18+
提供:松竹、ロングライド
配給:ロングライド
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