デノンから、サウンドバーの新製品「DHT-S217」(市場想定価格¥29,700前後、税込)が5月19日に発売される。大ヒットサウンドバー「DHT-S216」の後継モデルで、ドルビーアトモスに対応したのが一番の進化点。

本体サイズはW890×H67×D120mmとDHT-S216と同じで、テレビの前にも置きやすいスリムデザイン

 DHT-S216は、同社のエントリーモデルとしてピュアサウンドを追求、そのサウンドが大きな評価を集めた。DHT-S217はその後継機として、 “いい音を知っている日本人のためのピュアでストレートなサウンドバー” という基本コンセプトを継承しつつ、新たな高品質化に取り組んでいる。

 その第一がロスレスフォーマットへの対応だ。上記のドルビーアトモスへの対応はもちろん、ドルビーTrueHDやリニアPCM 7.1chの入力が可能となった(DHT-S216はドルビーデジタル対応)。

 そのために、高性能SoC(システム・オン・チップ)を搭載している。これはサウンドバーの上位モデル「DHT-S517」ベースのプラットフォームで、同社AVアンプのハイエンドモデルにも採用されているSoCをブラッシュアップし、より高い処理能力を実現した回路だ。

 電源部も、内蔵されたパワーアンプの出力とは不釣り合いなほどの強力な回路を採用、こちらもDHT-S517と同等のスペックだという。

 45×90mmのトラック型ミッドレンジと25mmトゥイーター+75mmサブウーファーという構成の3ウェイ3スピーカーを、本体左右にそれぞれ搭載。ドルビーアトモスを含めたサラウンド音源は信号をデコードした後にバーチャル処理を加えて再生することになる。

本体脚部の形状も、DHT-S216の直方体(写真上)から、DHT-S217では四角錐(写真下)に変更され、高さもわずかにアップしている

 ユニットや筐体はDHT−S216を継承しているが、音質改善のために細かな改良も加えられている。ユニット前面の開口部は、広く開けすぎるとヌケがよくなる反面、本体の剛性が低くなってしまう。DHT-S217では最適なバランスを探っていったそうだ。

 他にも本体脚部の形状をDHT-S216の角型から四角錐に変更し、脚の高さも20%アップした。さらに本体両端にバスレフポートを設けて、低域の量感とクリアーな再現のバランスを狙っている。

 担当者によると、DHT-S517はトールボーイスピーカーのような迫力のある低域、音楽のダイナミクスを狙っているのに対し、DHT-S217ではブックシェルフスピーカーのような、シームレスで高品位なサウンドを意識したとのことだ。

 その他のスペックとしては、ロスレスフォーマットへの対応に伴ってHDMI入力がeARC仕様となり、もちろん4K/HDR信号も受け付ける。サラウンドフォーマットはドルビーアトモスだけでなく、4K放送等で使われているMPEG-4 AACのビットストリームが入力可能だ。

 サウンドモードは、サラウンドやバーチャルサラウンド処理をバイパスして入力信号に忠実な音を再現する「PURE」モードを筆頭に、入力信号をアップミックスしてアトモスバーチャライザーを使って迫力充分な音場を再現する「MOVIE」モードを搭載。他に音楽用の「MUSIC」モードと夜間に音量を下げても小さな音が聴きにくくならない「NIGHT」モードも準備している。

接続端子の位置や種類、数はDHT-S216(写真上)から変更されていない。DHT-S217(写真下)ではHDMI出力がeARC対応になっている

 今回、DHT-S216とDHT-S217の音の違いを体験することができた。まず女性ヴォーカルのCD(PUREモード)では、DHT-S216も人気モデルだけあって不満のないサウンドを楽しめる。

 ケーブルをDHT-S217につなぎ替えると、音量レベルがアップしたように感じられ(ボリュウムは同等とのこと)、声の質感、ギターの存在感などフォーカスがぴったり合ったイメージに変化する。音場全体に余裕が生まれたかのようだ。

 ドルビーアトモスのトレーラーでは、DHT-S216は当然ながら水平方向への展開となり、上から聞こえるはずの雨音などが物足りない。DHT-S217に交換するとそのあたりの描写が明瞭になり、鳥の移動感、森の中の様々な音に包み込まれる様子が如実に変化した。

 サウンドバーは最近のリビングルームで音楽ソースからテレビ放送、映画、ゲームまで、様々なコンテンツを再生するメインオーディオ機器になっている。DHT-S217はそれらすべてをいい音で楽しませてくれるアイテムとして、要注目だ。