改めて、さすがボーズである。同社が10月に発売したノイズキャンセリングヘッドホンの最上位モデルを試して、筆者はひたすらそのノイズキャンセリング性能に感心した。

BOSE
QuietComfort 45
¥39,600(税込)

●対応無線規格:Bluetooth 5.1
●寸法/質量:[ヘッドホン]:W152.4×H184×D76.2mmm/240g、
 [キャリングケース]W145×H211×D51mm/180g
●問合せ先:BOSE https://www.bose.co.jp/

 モデル名はQuietComfort45という。デザインはシックで、本体のストイックな美しさが際立っている。ヘッドバンド部やイヤーカップには上質なシンセティックレザーが採用されており、実際に装着してみると適度な側圧が伴ない、耳をすっぽり包み込んでくれて安定感がある。

 またヒンジやハウジングとの回転部に使用されるパーツには鋳造素材が採用され、剛性感も高くスムーズに可動する。ヘッドバンドはガラス繊維を練りこんだナイロン樹脂製で、適度な剛性を確保。落下などによる変形にも強いなど、外に持ち出すことも多いヘッドホンに要求されるポイントにしっかり対応している。

 そして驚いたのは、装着した時点での遮音性の高さだ。いわゆるパッシブイズキャンセリング能力で、この時点ですでに一部のノイズキャンセリングヘッドホンよりも外音が聞こえてこない。

 電源を入れて、MacBook Proとブルートゥース接続した。「BOSE MUSIC」アプリを利用すれば、スマホからヘッドホンの設定がスマートに行なえるのも便利である。本機はノイズキャンセリングを有効化させる「QUIETモード」と、外音取り込みが可能な「AWAREモード」というふたつのモードを搭載する。QUIETモードを有効化してみると、パッシブの時点で遮音性が高かったにも関わらず、さらに大幅に静寂感が増してかなり驚いた。

 この状態でハイレゾファイルからダイアナ・ロスのニュー・アルバム『Thank You』を再生してみる。まるで深夜の闇のような静かな空間に、コンパクトかつシャープな音像のヴォーカルが現れた。彼女の口元はしっかりとセンターに定位し、わずかにブーストされた低域はダンピングが効いていて、グルーヴ感があって音楽性も高い。この低域は独自の低音再生技術「TriPortテクノロジー」の効果が生きているのであろう。躍動的な音楽表現と静寂感を生かすヴォーカルの距離感は、幅広いリスナーが喜ぶ音づくりを狙っているように感じた。

↑QUIETとAWAREのモード切り替えはイヤーカップ左のボタンで操作する。右にはボリュウム調節と、着信の応答や音楽の再生/停止などに対応するマルチファンクションボタンを備える。カップ外側にパワーのオンオフとBluetooth設定ボタンがある

 なおQuietComfort45は、1回の充電で最大24時間、15分のチャージで最大3時間の再生が可能になるクイックチャージ機能を備えている。また、付属の3・5㎜ケーブルを使って有線接続も可能なので、不意のバッテリー切れにも対応できる。

 加えて、合計4つの超小型マイクと外音をフィルタリングするノイズリジェクティングアルゴリズムによって通話品質も高めているなど、音楽再生以外の使い勝手も担保している。この全方位的な完成度、やはりさすがボーズというしかない。

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【本記事の掲載号は HiVi1月号】