コペックジャパンでは、2022年から、Cayin(カイン)社製DAP(デジタルオーディオプレーヤー)「N8ii」の販売を開始した。価格は¥439,890(税込)。同社のフラッグシップDAPとしては、4年ぶりの新製品となる。

 N8iiのデジタルオーディオ回路は、ROHM社製「BD34301EKV」チップセット2基を中心に設計されている。このチップセットはポータブルプレーヤーに初めて搭載されたもので、それぞれのチップはモノーラルモードで動作し、その性能を最大限に発揮する。

 加えてコルグの「Nutube 6P1」を2本使用したフルバランス真空管回路を内蔵、2本のNutubeは装着前に厳密なテストとマッチングが行われている。負帰還ゼロゲイン回路により、ドライブするのが難しい環境でも強力な電流を実現。ソリッドステート回路に匹敵する透明感や伸びやかさを持ちながら、暖かくまろやかなサウンドを実現するという。

 Nutubeのマイクロフォニックノイズを除去するために、機械的な衝撃や振動を最小限に抑える専用設計のシステムを採用。CNCアルミシャーシにより絶縁されたダンピングチャンバーを可能にし、Nutubeの搭載を実現。フレキシブルプリント基板を使用し、メイン基板との間の衝撃伝達を最小限に抑えている。

 出力モードとしては、ヘッドホンアンプ回路の動作電圧を調整することで「P(標準)」と「P+(高出力)」を搭載。P+は出力と処理能力を向上させている。

 またデュアルアンプ動作モードにより、「Class A」と「Class AB」モードをメニューから切り替えることができる。音、音楽ジャンル、そして異なるIEM/ヘッドホンとのマッチングなど、自分の好みに合わせてサウンドシグネチャーを選択できるわけだ(出力モードでP+を選んでいる場合は、Class Aモードは使用できない)。

 ヘッドホンアンプはフルディスクリート構成で、低ノイズオーディオ用JFET(Junction gate Field-Effect Transistor)とBJT(Bipolar Junction Transistor)を用いた4チャンネルディスクリート回路。ディスクリート化することで、サウンドシグネチャーの微調整が可能になり、より大きな余裕が生まれたという。

 この他、ハイエンドオーディオ用プリアンプによく使われている低ノイズ、低歪みの電子制御JRC製の抵抗ラダーアナログボリュウムコントロールを採用。4チャンネルをひとつのコントローラーに統合することで、ふたつのステレオボリュウムコントローラーを使用するよりも高精度、チャンネルインバランスを防ぎ、低消費電力も実現した。専用のPVD金メッキ真鍮製ボリュウムノブには、十二芒星が刻まれている。

 出力端子は3.5mmシングルエンドと4.4mmバランスを採用。この他、USB Audioトランスポート(USB Type-C、出力)、USB Audio DAC(USB Type-C、入力)、I2S(MiniHDMI、出力)、S/PDIF同軸(USB Type-C経由、出力)としての使用も可能。Bluetoothはv5.0対応で、LDAC/AAC/UAT/UATTWS/SBCコーデックの送受信ができる。

「Cayin N8ii」の主なスペック

●MCU:Snapdragon660
●システム:Customized Android 9.0
●メモリー:6GバイトLPDDR4X
●ストレージ:内蔵メモリー128Gバイト、eMMC+MicroSD(最大1Tバイト)
●ディスプレイ:5インチ(水平1280×垂直720画素)OLED、マルチポイントタッチスクリーン
●真空管:KORG社製Nutube 6P1×2
●DAC:ROHM社製 BD34301×2
●接続端子:3.5mmシングルエンド、4.4mmバランス(フォーンアウトと切り替え式)、USB Type-C、I2S、SPDIF同軸(USB Type-C経由)
●物理ボタン:ボリュウムノブ、電源ボタン、再生/停止ボタン、前曲/巻き戻しボタン、次曲/巻き戻しボタン
●筐体:サンドブラストCNCアルミニウム
●寸法/質量:W147×H77.5×D25mm/約442g
※付属プレーヤー:Cayin Music、HiBy Music ※HiByリンクをサポート