オリジナルはサエクのトーンアームを製作していたオーディオエンジニアリング社製のSS300ソリッドマット。それを最新の素材と加工技術で再現したサエクコマースによる硬質金属製マットである。SS300はジュラルミン(A2017)系のアルミニウム合金製だったが、このマーク2では神戸製鋼所が開発した精密機械加工用のアルハイス(A5052P)というアルミニウム合金が使われている。表面は光沢のある黒色アルマイト仕上げである。オリジナルもアルマイト処理だったが、指先に微細な凹凸を感じさせる黒い艶消し仕上げだった。

サエク
SS300Mk2
¥39,000(税別)

●材質:アルミニウム合金●外径:φ300mm●厚さ:5.5mm●重量:845g●問合せ先:サエクコマース(株) TEL 03(3588)8481

 管球王国リファレンスのテクニクスSL1000Rで音質傾向を確認した。付属の薄いゴム製シートからSS300Mk2に換装すると、音量感が明らかに高まる。音溝の振幅を物理的に拾うフォノカートリッジからするとアナログ盤を柔らかいゴムから硬い金属で支えるので当然の変化といえるが、アンセルメ指揮の「三角帽子」を聴くと、高音域にはアルミニウム素材らしい煌びやかさが感じられる、精密な音という印象。ドナルド・フェイゲン「ザ・ナイトフライ」では、音の立ち上がりが鋭角的になり、全体的に解像感が増してくる。

 オリジナルのSS300では取扱説明書にスタビライザーを使わないようにと記されていたが、この新しいSS300Mk2では300グラムを切る軽量の同社製スタビライザーSRS9の併用を推奨している。

SS300Mk2の裏面。素材は神戸製鋼所が開発した「アルハイス」というアルミニウム合金。表面品質や平坦性、板厚精度が向上している。

SL1000Rのゴム製シートを外してSS300Mk2をセットした。

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【本記事の掲載号は 管球王国 Vol.102】