オーディオ・ノート唯一のフォノカートリッジとなるIO(イオ)は、1979年のデビュー。それ以来、IOは数度の改良が施されて現在に至っている。本機はアルニコ磁石と純鉄による磁気回路を持ち、振動系はラインコンタクト針+アルミ合金製カンチレバーに純銀線をパーマロイ製コアに巻いたもの。出力ピンは純銀にパラジウムをメッキしてある。パドック材を挟んだ新デザインのボディは、接地面の部分を厚くして剛性を高めた。純銀線を手作業で巻いているのは、オーディオ・ノートの代表を務める芦澤雅基氏である。

オーディオ・ノート
IO-X
¥770,000(税込)

●発電方式:MC型●出力電圧:0.12mV●内部インピーダンス:1Ω●適正針圧:1.7g〜2.0g●自重:12g●針交換価格:¥308,000(税込)●問合せ先:(株)オーディオ・ノート TEL 044(520)3150

 管球王国試聴室のリファレンス環境で聴いたIO-Xは、音ヌケの良さが光る鋭敏な表情を魅せた。出力電圧の低さからは俄かに考えられない、実に躍動的で生き生きとした音なのだ。アンセルメ指揮の「三角帽子」では、情報量の豊かさと色彩的な鮮やかさが印象的な、実にエネルギッシュな演奏が愉しめた。ダイレクト盤のデイブ・グルーシンはS/N感に優れたダイナミックな演奏。この凄みを感じさせる音は只者ではないと思った次第。

 ここで昇圧トランスをエアータイトATH3sからオーディオ・ノートSFzに交換して聴くと、音の静寂さがグッと高まって荘厳な雰囲気が醸し出される。この状態で聴いた「三角帽子」は丁寧な音の感触になり、質感の高さが際立ってくる。純銀線ならではの音質効果だと思うのだが、ドナルド・フェイゲン「ザ・ナイトフライ」も、音が生々しく迫ってきた。

IO-Xの針先形状はラインコンタクト、カンチレバーはアルミニウム合金。ボディはアルミニウム削り出しで、天然パドック木を挟み込んで振動対策を行なう。パーマロイ・コアの磁気回路の巻線は純銀製。出力ピンもパラジウムメッキされた純銀製である。

(試聴に使用した昇圧トランス)
オーディオ・ノートSFz ¥887,700(税込)

IO-Xの針を下ろす三浦氏。

【本記事の掲載号は 管球王国 Vol.102】