NHKでは現在、渋谷スクランブルスクエア14Fで展開している「NHKプラスクロスSHIBUYA」にて、「テクノロジーでめぐる異世界展」(会期は3月27日まで)を開催中だ。これは、NHKが日々研究を重ねている8Kやフレキシブルディスプレイ、触覚デバイス、22.2ch音響といった最新の放送技術とアーティストの感性を組み合わせ、その相乗効果で、まるで異世界に入り込んだような映像・音響体験を楽しめる、という展示会となっている。

 大きく、「みる」「きく」「ふれる」という分類にて展示が行なわれている。以下、それぞれの展示について見ていきたい。

「Canaria/高精細VR映像」

「Canaria/高精細VR映像」
ディスプレイは、曲面ガラスに有機ELを蒸着したもので、一枚当たりの解像度は4Kという(横置きにした場合)。それを5枚半円状に組み合わせて設置。視野全域(視野角は200度とか)にわたる映像が楽しめる展示。手描きによるアニメーション作品が上映されている。

「Halo on 8K table display」

「Halo on 8K table display」
88インチの有機ELディスプレイをテーブルに見立てて、そこに、ウルトラセブンのオープングのような抽象的な実写映像を映し出し、
見るものを不思議な世界へと誘う仕掛けとなっている。サンドロ・ボッチ氏が主宰するアート集団Julia Set Labの作品。

「Alive Painting for 8K studies」

「Alive Painting for 8K studies」
縦3m、幅9mの309インチのスクリーンに、木星の表面の模様のような映像を映し出す、という展示。さまざまな材料を用い、色材を相互に反応させることで絵を描く「Alive Painting」というパフォーマンスを、8K映像に収録、投写している。実際に映像が表示されている部分は220インチ相当。

「Afterlife:Garden of Bells/フレキシブルディスプレイ」

「Afterlife:Garden of Bells/フレキシブルディスプレイ」

フレキシブルディスプレイは半透明ということで、さまざまな植物をスケルトン化した映像を表示。ミクロの世界を大映ししたかのような不思議な映像が楽しめるようになっている。

「Footprints on the Earth/収音技術」

「Footprints on the Earth/収音技術」
NHKの豊富な番組アーカイブの中から、厳選された音コンテンツを楽しめる展示。昆虫の足音から、南極の果てまで、さまざまな音を5.1chシステムにて聞けるようになっている。昆虫の足音は、NHK開発の、人間には聞こえないような微小な音を収録することができる
「昆虫マイク」を使って集めた。ほか、カタツムリの心臓の音なども聞ける。

「Lenna/22.2ch立体音響」

「Lenna/22.2ch立体音響」

「Lenna/22.2ch立体音響」
8K放送の音響=22.2ch部分のみを取り出して、全身を音に包まれるような立体音響が楽しめる展示。コンテンツは、サウンドアーティスト・細井美裕が制作し、彼女の声のみで構成されているという。映像システムはないが、同ビルの14階という立地を生かし、渋谷のパノラマ風景がそれを補ってくれる。

「つたわる/キューブ型触覚デバイス」

「つたわる/キューブ型触覚デバイス」
ルービックキューブを一回り小さくしたほどのキューブ(正方体)の面が、音に合わせて振動することで、それを手にしたものに振動が“つたわる”=異世界にふれられる、という展示。いわゆるハプティクス。