ヤマハは、完全ワイヤレスイヤホンの新製品「TW-E5B」を発表した。市場想定価格￥16,500（税込）で、3月中旬の発売予定。ブルー、ブラウン、ブラック、グレーの4色をラインナップする。
同社は一昨年、完全ワイヤレスイヤホン市場に参入した。今回のTW-E5Bは人気モデル「TW-E5A」（生産終了）の後継機で、従来モデルと同じく、楽器メーカーであり、音楽制作現場（スタジオ）の音を熟知しているヤマハの製品として、楽器の音を素直に再現できることを目指したという。
イヤホン表面と充電ケース外側には、TW-E5Bのために作成されたシボ仕上げを採用
さらにTRUE SOUNDというコンセプトの下、アーティストの意図した音を伝えるクォリティ、音を逃がさない高い装着感、元の音楽を損なわず、リスナーの好みに寄り添うEQ（イコライザー）機能といった特長を備えている。
そもそも昨今のコロナ禍により、イヤホンを取り巻く環境は変わっている。ゲームや映画・音楽鑑賞といった家庭内エンタテインメントの需要が伸びており、自宅でもイヤホンを使ってこれらを楽しむケースも多いようだ。また2021年で顕著だったのが、リモート会議などのビジネス用途が急増したことだという。
こうした環境の変化を受けて、ヤマハではTW-E5Bを “仕事でもプライベートでも1台のイヤホンで楽しみたい” という層に向けた製品として企画した。イヤホンユーザーの多い都市圏の住人で、通勤中や在宅勤務、プライベートでもイヤホンが欠かせない20代といったイメージだろうか。
TW-E5Bの内部構造。写真右側イヤーチップの横にあるのが6mmドライバーで、鼓膜に対してまっすぐに来るように配置されている
その手法として6mm径ダイナミックドライバーを搭載し、躍動感のある音質を実現した。またユニットが鼓膜に対して直線的な位置に来るように構造を工夫し、直進性のある高音域の伝送を狙っている。
さらに本体内部の不要な突起物を削減し、空気孔による内部圧力調整も行うことで空気の流れをスムーズにしているそうだ。BluetoothのコーデックはSBCやAACの他に、aptX Adaptiveに対応済み。
装着感については、耳に挿し込む部分を楕円形状とし、TW-E5Bの向きを調整することで、どんな耳の穴の形にもフィットするように配慮した。また本体にくぼみを設けており、TW-E5Bと耳が隙間なくフィットし、低音のヌケが発生しないようになっている。イヤーピースはSS/S/M/L/LLが付属。
音質調整機能では、専用アプリの「HEADPHONE CONTROL」に5バンドのイコライザー機能を追加。好みに応じた音の調整ができるのと同時に、各帯域を最大まで変更しても、不要な干渉や歪みが出ないように設定されているそうだ。
イヤホン本体側面にはくぼみが付けられ、ここを耳にぴったりはめることで低音の漏れを防ぐことができる（写真左）。周囲の音を聴きやすくするアンビエントモード（外音取込）も搭載済み
またワイヤレスイヤホンで通話をする機会が増えていることを踏まえ、集音マイクからチップに信号を伝える部分にシリコン製導管を採用、クアルコムcVc（Clera Voice Capture）技術との組み合わせで、自身の発言を正しく伝送できるようになった。
スマホ等の再生機との接続では、低遅延のゲーミングモードを搭載した。通常のBluetooth通信の場合、ヘッドホン側がデータを受け取って内容を確認、その旨を再生機に伝えてから次のデータが送られるので、どうしても時間がかかっていた。
これに対しゲーミングミードでは、イヤホン側が受け取ったデータをそのまま再生するので、遅延量は大きく減っている。厳密には音質がスポイルされる可能性もあるようだが、ゲームコンテンツを楽しむ場合に最適だろう（アプリでオン/オフが可能）。
専用アプリ「HEADPHONE CONTROL」は、TW-E5Bとの組み合わせで5バンドのEQ機能が使えるようになる
その他の接続機能では、True Wireless Mirroringにも対応している。本機能はクアルコムのSoCを採用したことで実現したもので、左右のイヤホンに直接音声データを伝送し、低遅延と通信安定性を同時に獲得するものだ。再生機を問わない方式なので、ユーザーには嬉しいだろう。
TW-E5Bは1回の充電で約8.5時間、充電ケースとの併用で最長約30時間の再生が可能。イヤホン本体はIPX5相当の生活防水に対応している。