ソニーから、ポータブルオーディオプレーヤー“ウォークマン”シリーズのフラッグシップモデルとなる「NW-WM1ZM2」、および「NW-WM1AM2」が、3月25日に発売される。価格はオープンで、それぞれの想定市場価格は、WM1ZM2が¥400,000前後、WM1AM2は¥160,000前後となる。

「NW-WM1ZM2」

「NW-WM1AM2」

 今回の2モデルは、現行「NW-WM1Z」、および「NW-WM1A」の後継となる製品で、実に5年ぶりのフルモデルチェンジとなる。近年では、ポータブルオーディオプレーヤー=DAP(デジタルオーディオプレーヤー)の販売は順調だといい、スマホやタブレットで手軽に音楽を楽しめる反面、ハイレゾコンテンツや、ストリーミングサービスの拡大によって、より高音質を求めるユーザーも増えてきており、そうした層へ向けて、ソニーの持つ技術を存分に投入した本2モデルを開発・発売にこぎつけたという。

 機能面では、ストリーミング対応が大きく謳われており、ウォークマンシリーズとしては、「NW-A100シリーズ」「NW-ZX500シリーズ」の上位に位置する、音質を極めた今回のフラッグシップにまで、そのストリーミング対応モデルが拡大したことになる。

 まずは2モデルの違い(主にパーツ)から紹介したい。

 より究極を目指したWM1ZM2は、前モデルWM1Z同様に、シャーシに無酸素銅を採用しているが、その純度を99.96%から99.99%(つまり4N)へと高め、素材内部に残留する不純物を1/4に減少。切削が困難な素材ではあるが、アルミの約1.5倍の加工時間をかけて総削り出しとし、さらに高純度の金メッキ(純度99.7%)を施して、音質と剛性を両立させているという(無酸素銅金メッキシャーシ)。これによって、シャーシの低抵抗化をより一層深化させている。なお、その金メッキの下地には、非磁性体の三元合金メッキ(=磁気による影響を抑制)を行なうという、念の入れようだ。

 開発者曰く、「伸びのある澄んだ高域、クリアで力強い低音を実現し、さらに空気感、余韻の表現力をアップさせた」ということだ。

 リアカバーについても、アルミ切削シャーシを採用し、剛性感を高めている。音質傾向としては、「透明感、力強さ、音場感、ディテイル」に優れるという。

 一方のWM1AM2は、“A”という型番の通りアルミ切削シャーシを採用。リアカバーについても、本モデルでは全面を一体型構造とすることで、剛性をより高めている。

 電源部分も強化された(2モデル共通)。独自開発によるコンデンサーの搭載で、耐振動性を向上させて音質を向上につなげ、クリアネスや音場感の拡大を図っている。

 はんだの材質も吟味している。金を添加することで音質向上を狙っているが、その添加量については、開発者(マイスター)が試聴を繰り返し、適量を決定しているそうだ。ちなみにWM1ZM2については、内部のバランス出力用の接続ケーブルには、前モデルWM1Z同様キンバーケーブルを採用しているが、そのグレードをアップ。4芯編構造でケーブル径を拡大しており、これは同社「UC-B20SB1」同等品といい(前モデルは「MUC-M12SB1同等品」)、“より力強く滑らかなサウンド”を実現したという。

グレードアップしたキンバーケーブル(NW-WM1ZM2のみ)

 そのほか、クロック(超低位相ノイズ水晶発振器)についても、水晶片の電極を金蒸着にて形成(通常は銀という)することで、楽器の分離感や低域の量感アップの効果も達成しているそうだ。

 機能面でも大幅な進化を果たしている。現行「DMP-Z1」にも搭載されている「DSDリマスタリングエンジン」を、両モデルに適用(有線接続時、W.ミュージックアプリ再生時のみ有効)。これによって、入力されたPCM音源を11.2MHz相当のDSDにアップスケーリングして再生することで、より精細感に優れたサウンドを楽しめるとしている。なお本機能はオン/オフが可能だ。

 また、CDクォリティのコンテンツを、AI技術も活用してハイレゾ相当(最大192kHz/32bit)にアップスケーリングしてくれる「DSEE Ultimate」も進化を果たしており、CD相当のロスレスコーデック(FLAC)コンテンツのアップスケーリング精度が向上しているという。さらに本技術は無線(ワイヤレス)接続時にも適用できるように改良されている(ワイヤレス接続時は、コーデックはLDAC、サンプリングは96kHz/24bitまで)。

 OSは、現行のストリーミング・ウォークマン「A100シリーズ」と同様にAndroid仕様(ver.11)となったことで、各種アプリのインストールが可能となり、「Spotify」「amazon music」などのストリーミングアプリを入れて、Wi-Fi接続を行なえば、フラッグシップモデルクォリティで、各種コンテンツが楽しめるようになる。地味に、AACコーデックへの対応も果たしている。

 液晶ディスプレイも5インチ(前モデルは4インチ)&HD仕様に拡大され、同時に、ユーザーインターフェイス(UI)も改良が行なわれたことで、視認性・操作性も向上している。プラグ(バランス、アンバランス)用のエイジングカウンター(再生時間表示)も実装された。

 内蔵バッテリーの駆動時間は、FLAC(96/24)コンテンツ再生時で、有線接続では最長約40時間、ワイヤレス接続(LDAC)では、約18時間となる。

 接続端子(充電&データ転送)は、従来の専用端子からUSB Type-Cへと変更されており、充電時間やデータ転送の時間が短縮されているほか、他機との接続性も担保されている(ということで、本機をUSB DACとして使えるようになった!)。

専用レザーケース「CKL-NWWM1M2」もラインナップ。同日発売で、実勢¥11,000前後