外観からして、マッキントッシュMC275の縮小版を思わせるようなヘッドフォンアンプ。その古典名機の看板技術であるユニティカップル方式を、このMHA200にも採用しているというのは驚きだ。単電源の真空管編成でありながら、出力トランス巻き線の対称性を原理的に追求。カソード巻き線も活用して相補的(コンプリメンタリー)なプッシュプル動作を確立した意義は大きい。

 電圧増幅と位相反転は12AT7、電力増幅は12BH7Aで受け持っている。定格出力は500
mW。出力端子は標準フォーンジャック仕様とXLR4ピンステレオ端子、そしてXLR3ピンのLR独立端子の3系統。負荷インピーダンスは32〜100Ω、100〜250Ω、250〜600Ω、600〜1000Ωが選択可能。バランス入力あり。

 まずはオーディオテクニカのオープンエア型、ATH-ADX5000を250Ωの負荷設定で試聴。本体の音量調整ノブは中央がユニティ・ゲインポイントであり音量調整はプリアンプ部で行なう。これは明朗にしてたっぷりと鳴る傾向。出力端子をXLR4ピンにすると鮮度や低域の制動力が向上する。この出力端子にて木製ハウジングの密閉型、同社ATH-AWASを32Ω負荷で試す。これは低域が引き締まりつつ弾力感があり、コンボジャズの分離感と鮮鋭感、変幻自在な音の媚態がよく提示されて相性が良好だ。半導体型とは違う凝縮された音の濃淡模様から音像や響きを作る趣向であり、それがこのブランドならではの感興をもたらしてくれるのが好ましい。

Headphone Amplifier
マッキントッシュ
MHA200
360,000円(税別)

●定格出力:500mW(32/100/250/600Ω)●入力感度:1.0Vrms(アンバランス)、2.0mV(バランス)●入力端子:LINE2系統(RCAアンバランス、XLRバランス)●ヘッドフォン出力端子:6.3mmステレオ標準、4ピンXLRバランス・ステレオ、3ピンXLRバランス×2(L/R)●使用真空管:12AT7(McIntosh銘)×2、12BH7A(McIntosh銘)×2●寸法/重量:W156×H156×D232mm/4.8kg
●問合せ先:(株)エレクトリTEL. 03(5419)1954

MHA200のフロント面。下段にヘッドフォン出力を配置する。左2つが3ピンXLRバランスのLchとRch、次から順に4ピンXLRステレオ、6.3mmステレオ標準フォーンジャック。スラントパネル上は、左から順に負荷インピーダンス切替え、電源スイッチ、音量調整。

リア面の入力端子。ラインのRCAアンバランスとXLRバランスの2系統で同時使用は不可。

底面から見た内部。主要回路は1枚の基板に集約されている。

試聴に使用したヘッドフォン

オープンエア型:
オーディオテクニカ
ATH-ADX5000
238,000円(税別)

オーディオテクニカ
ATH-AWAS
148,000円(税別)

音量調整をする吉田氏。

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