映画『カウンセラー』の全国での劇場公開拡大、そして3月下旬からのユーロスペース渋谷での公開が決定した。
本作は、『あれから』『SHARING』脚本、『おもちゃを解放する』『RIP』監督を手がけ、2019東京フィルメックス新人監督賞・準グランプリ受賞経験を持つ酒井善三監督による短編映画。突如現れた相談者の話を聞くことになった心理カウンセラーが、想像を絶する奇妙な不安感に飲み込まれてゆく様を描いた注目作だ。
主演を務めるのは、繊細な演技で観客に不安を伝播させる鈴木睦海と、鬼気せまる怪演で新しい人物像を体現した西山真来の二人。
また、本作はSKIPシティ国際Dシネマ映画祭にて、短編映画では初のSKIPシティアワード受賞という快挙を達成。さらに2021年10月の下北沢トリウッドでの2週間上映ではその好評からアンコール上映が行なわれ、全国劇場での公開も順次決定されるなど、短編自主映画としては異例の反響を呼び、注目すべきカルト的話題作になりつつある。
この度2022年3月下旬よりユーロスペース渋谷での劇場公開が決定し、さらに劇場公開拡大を記念して、これまでに到着した著名人コメントを改めて紹介したい。
清水崇(映画監督)
かなり久々に“ヤバいもの”を観てしまった……
脚本、構成、場所、キャスト、間合い、画、音響、全てに不安が張り詰め、
薄気味悪い空気が満ち満ちてくる──
かなり久々に“ヤバいもの”を観てしまっ…あれ?
……気がしただけ?……マズい、憑り込まれる。
酒井善三監督、、、、凄い才能だ!ぎっちり憑り組まれた長編が観たい。
万田邦敏(映画監督)
冒頭2分半、その日最後の患者の診察を終えたカウンセラーが洗面所で手を洗っていると、
その背後にとつぜん「やっぱり、予約とかないとだめですよね」と声がする。
びっくりして顔を上げると、鏡には怯えた様子の女性が写っている。
ここから、一気に映画に引き込まれる。
たった40数分の尺にもかかわらず、物語は二転三転四転し、
虚と実が交錯した果てに、ついに長いベロを出した妖怪が登場する!
ホラーでもスプラッターでもない、正々堂々のスリラー映画だ。
乙一(小説家)
すさまじい緊張感と不気味さ!
画面から目が一瞬も離せなかった。
現実と幻想の境目が曖昧になり、自分が何者かもわからなくなっていく
感覚が恐ろしい。カットが切り替わる瞬間、鳥肌が立つような衝撃がある。
怪談話でもあり、ミステリでもあり、純文学でもあり、
あらゆるジャンルを超越した
映画体験としか形容できない42分間だった。
入江 悠(映画監督)
次のカットが予測できない。
あたりまえのようにカットバックしたかと思うと、とてつもないカットが不意打ちしてきたりする。
それが、こんなに映画を面白くするなんて。
最高にスリリングで驚嘆しました。
映画『カウンセラー』
3月下旬、ユーロスペース渋谷にて公開
岡山メルパにて2022年1月21日(金)より1週間上映
名古屋シネマテークにて2022年1月22日(土)より1週間上映
神戸映画資料館にて2022年1月29・30日(土・日)限定上映
ユーロスペース渋谷にて2022年3月下旬より2週間レイトショー上映
金沢シネモンド、別府ブルーバード他、上映日程調整中
<キャスト>
鈴木睦海 西山真来
田中陸 松本高士 平仁 亀田梨紗 蒲池貴範
<スタッフ>
監督/脚本:酒井善三 撮影:川口諒太郎 照明:西山竜弘 録音/音響:鈴木万理 製作:百々保之
PG-12/2021年/日本/42分/カラー/シネスコ/DCP
(C)DrunkenBird 2020
<あらすじ>
ある心理相談室に勤める心理カウンセラー・倉田真美は、妊娠6ヶ月目で産休前最後の出勤日だった。予定していた最後の相談者を見送ったあと、ある一人の女性・吉高アケミが予約なしでやってくる。やむなく「相談内容だけでもお聞きしましょうか」と伝えた倉田に、アケミは「…妖怪が見えるんです」と語り始める。謎めいた彼女の口から語られる暗い物語が、奇妙なことに聞いている倉田を妄想に駆り立て、不安の渦に堕としてゆく……。