松本零士の名作「銀河鉄道999」の劇場版『銀河鉄道999』と『さよなら銀河鉄道999-アンドロメダ終着駅-』の2本が、既報の通り、来年1月14日(金)よりドルビーシネマで上映される。ドルビーシネマであることから、上映フォーマットはもちろん、HDR対応のドルビービジョンと、立体音響のドルビーアトモスの仕様となり、公開から40有余年、当時の感動を超える新たな体験ができるようになるだろう。ここでは、上映に先駆けて行なわれたマスコミ向けの試写会で観た、ドルビーシネマ版『銀河鉄道999』のインプレッションを簡潔に紹介したい。

 試写会場は、イマジカの新たな拠点となる竹芝ビル内に設置された、新世代のドルビーシネマ対応試写室だ。五反田試写室に比べて、椅子が豪華になり(笑)、スクリーン位置は若干高くなっているようだ(首が疲れる)。

 冒頭、多くの星が煌めく星雲の描写から、さすがドルビーシネマという完成度を見せる。宇宙は漆黒の闇として存在し、右側に瞬く光が段々と大きくなり、999号のヘッドライトへと変わるさまは、高輝度・高色彩な映像にも支えられ、素晴らしい仕上がりとなっている。今回のHDRリマスターは、35mmのマスターポジフイルムを使い、それを5K解像度でスキャニングし、4K解像度にてリマスター&HDR作業が行なわれているそうで、その威力は、映像に遺憾なく発揮されていることが分かった。

 序盤には、機械化した人間たちが生きる陽の世界と、生身の体のまま無為に過ごす人間たちの陰の世界が対比されるが、ここでも暗闇の世界はどこまでも沈んでいくような漆黒さを湛え、その陰の世界に生きる鉄郎の着ているジャケットは、(鉄郎の)生きる希望を表すように、鮮やかに描かれている。

 999号の客車の色(茶)もクリアに再現されているが、その中には長い年月を旅しているという、寂れ感というか、年季をも感じさせる仕上がり。メーテルの黒の衣装や黄色の髪も色鮮やかで彩度も高くなり、松本零士の描く美女がより一段と美麗になった印象。メイドのクレアの体の透明感はさらに抜けがよくなり、迷いの星・冥王星の氷の墓標は、その寒々しさがより感じられるようになっていた。

 音(サウンド)も見事な仕上がりとなっていた。音の粒はとても細かく繊細に再現されており、新録したといっても頷けそうなほど。移動感はほどほどながら、要所要所、たとえば999号が宇宙へ向かって離惑するシーンでは、水平方向の動きと高さ方向への動きの2軸がきちんと再現され、本当に999号が宇宙へ向かって飛び立っているさまがリアルに感じられるほど。鉄郎やメーテル、車掌のセリフも素晴らしくクリアで、40年以上昔の作品とは思えないクォリティとなっていた。

 また、特に音場感の構築が素晴らしく、自分の位置を起点に、スクリーン方向へ向かって半球状のサウンドステージが表出し、¥自分が常に音の中に組み込まれているような感覚を覚えるほど。響きや余韻が美しく、細やかに再現されている。ただし、繊細な反面、全体的に少し整音されすぎている(平板)のかなと感じてしまうこともあり、欲を言えばもう少しメリハリをつけてほしい、と思うシーンもあった。

 5月には4Kリマスター版による4Kパッケージ(4K UHD Blu-ray)の発売も予定されている。ドルビーシネマで新たな999を体験し、パッケージで思う存分その世界観を味わってほしい。

劇場版『銀河鉄道999』ドルビーシネマ版

2022年1月14日(金)より、全国7館で順次公開

『さよなら銀河鉄道999-アンドロメダ終着駅-』ドルビーシネマ版

2022年1月21日(金)より、全国7館で順次公開

上映館:丸の内ピカデリー、T・ジョイ横浜、MOVIXさいたま、ミッドランドスクエアシネマ、MOVIX京都、梅田ブルク7、T・ジョイ博多
(C)松本零士・東映アニメーション

「銀河鉄道999 4Kリマスター版」(4K Ultra HD Blu-ray&Blu-ray Disc2枚組)
2022年5月11日発売
¥9,999(税込)

「さよなら銀河鉄道999-アンドロメダ終着駅- 4Kリマスター版」(4K Ultra HD Blu-ray&Blu-ray Disc2枚組)
2022年5月11日発売
¥9,999(税込)

「【初回限定】銀河鉄道999 THE MOVIE 4KリマスターBOX」(4K Ultra HD Blu-ray&Blu-ray Disc 4枚組)
2022年5月11日発売
¥35,200(税込)

発売:東映ビデオ
販売:東映