笠木望監督と武田梨奈がタッグを組んで送るノワールムービー『吾輩は猫である!』が、12月3日より、ヒューマントラストシネマ渋谷にて公開中だ。一匹の猫を巡って、4人の男女の運命が交錯するという、ある意味群像劇的な展開も楽しめる一作。今春には、POV(主観映像)版が先行配信されており、ようやくその全貌が明らかになる。
ここでは、武田演じる美那のバディとなるアンナを演じた芋生悠にインタビュー。初めてのアクション作へ出演した感想を聞いた。
――出演おめでとうございます。前回取材させていただいた際にお聞きした、「武田梨奈さんと戦いたい」が実現しました。
ありがとうございます。やっと戦えました! とっても嬉しかったです。
――今回は初めてのアクションもあります。
初めてのアクション作で、しかも相手役が武田さんなので、すごく楽しいだろうなって、撮影が始まる前から楽しみでした。しかも、自分が目標としていた人でもあるので、これはもうやるしかない! って気合も入りましたね。
――実際にアクションをしてみた感想は?
空手の経験はありましたので、それを活かせる部分もあるかなと考えていましたけど、実際には動き方が全く違うんだなって思いました。アクションでは常にカメラが向けられていて、動き方も、よりかっこよく見えるような振りを考えないといけないのですが、その面では武田さんはプロなので、すごくかっこよく決まって見えるんです。私は、結構やりながら見つけていくという感じで、“見せ方”については、もうちょっと腕を大きく振ったほうがいいよとか、武田さんからたくさんアドバイスをいただきました。「私がちょっと引くから、ここに来て」とか、私が動きやすいように細かいアシストをしてくださっていたので、本当にもう任せきりというか、頼っていました。
さらに、アクションって(動きを)その場で付けていく(変えていく)のが当たり前なんだなって感じました。『ある用務員』の時に見ていた、アクションキャストの皆さんのような動きが、自分でもできるかなと思っていたんですけど、自分が実際にやる段になったら、できなくて……、何度もNGを出してしまいました。監督が映像を見せてくれて、「いい感じですよ」と言ってくださるんですけど、全然できていなくて、ショックを受けながらのアクションでした。
――笠木監督はいかがでした。
静かな佇まいで、淡々としているんですよ。私は、やったことのない役柄で、しかも初めてのアクションという、挑戦が多い作品でしたので不安になることもありましたけど、現場には監督と武田さんの絆みたいなものがあって、それが私には救いでしたね。
――二つの初めての要素へ向けた取り組みは?
アクションの事前稽古はたくさんしていましたけど、それでも全然足りないなという感じでした。なんとか、動きを体に覚えさせたというか、叩き込めたというぐらいのレベルでしたので、不安しかありませんでしたね。役のほうも、武田さんはあまりしゃべらずに、私がずっとしゃべって場をリードしていくという立ち位置でしたので、とにかくたいへんでした。
――演じられたアンナはどんな女性に感じましたか?
頭で考えてというよりは、突発的に動いている、そういう雰囲気を出すようにしました。
――ネタバレにならない範囲でお聞きしますが、美那とアンナが二人きりになるシーンでは、アンナのまた違う一面が見られました。
そこは、私自身の武田さんを好きという気持ちとリスペクトを重ね合わせて自然にできました。ドキドキしましたし、武田さん相手だからできたのだと思います。
――終盤の二人のシーンも記憶に残っています。
二人で一つになる感覚があって、いい感じでできたと思います。あまり自分の内面を出さないアンナですけど、そこだけは穏やかに出していて、二人だけの空間になるように静かにテイクを重ねていきました。
――タイトルに猫とありますが、アンナには猫との絡みはありませんね。
そうなんですよ。猫好きなので残念でした。飼いたいんですけど、友達がみんな飼っていて遊ばせてくれるので、自分で飼わなくてもいいかなと思ったりしています。
――本作のロケ現場は、『ある用務員』と同じです。
『ある用務員』の時はずっとおびえている役でしたけど、本作では、自分から先頭切ってオラーって暴れる役でしたから、面白かったですよ。あの唯(ある用務員で演じた役)が成長したみたいでした。
――本作は、マルチアングルのPOV(主観映像)版が、先行配信されていました。POV撮影はいかがでしたか?
武田さんはおでこにカメラを付けたり、口で咥えたりしていて、たいへんそうでした。しかも、お芝居やアクションだけでなく、カメラ(撮影)の訓練もされていましたから。私は残念ながら、カメラは付けていないんですけど、それでも、カメラに向かって話す練習はしました。武田さん視点の映像では、武田さんがおでこにカメラを付けているので、目ではなくて、そのカメラを見て話さないといけないんです。初めての経験で、どうしても目を見てしまって、NGを出しちゃいました。
あと、一つのシーンでもいろいろな人の視点からの映像を撮る必要があるので、何回か同じことをするんですけど、タイミングを合わせるために、基本の音(セリフ)を流して、それに合わせてお芝居をするんです。音が流れている現場でお芝居をするのも初めてでしたし、タイミングを合わせるのが、とにかくたいへんでした。
――では、最後に来年の抱負をお願いします。
初心に返って、一つひとつの作品を丁寧に作るという気持ちでやっていけたらなと思います。アクションも頑張ります!
映画『吾輩は猫である!』
2021年12月3日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷にて公開中
<キャスト>
武田梨奈、芋生悠、津田寛治、松林慎司、大塩ゴウ、バンダリ亜砂也、CODY、白善哲、森本のぶ、篠田諒、久保田康祐、大迫茂生、真辺照太、望月卓哉、片山享、藤田瞳子、泉ひかり、斉藤波音、MochiBlanc、オフィスワイルド・スタントチーム
<スタッフ>
撮影監督:原俊介 アクション総指揮:柴原孝典 録音:田中秀樹 ヘアメイク:香理 衣装:村上由衣 キャットコーディネーター:野澤くるみ 助監督:東畑渉 ラインプロデューサー:矢加部英達 プロデューサー:カタオカセブン、玉澤成浩 脚本・監督:笠木望 協力:株式会社オフィスワイルド 製作:「吾輩は猫である!」製作委員会
(C)2021「吾輩は猫である!」製作委員会
<STORY>
借金のカタにとられた1匹の白猫。その猫が原因で4人の男女の運命が複雑に絡み合い物語が展開していく。対戦相手を半殺しにして留置場に入れられた女格闘家・美那(ミナ)。出所してきた彼女を待っていたライバルのアンナは美那が記憶喪失に陥っていることに気づくが、美那はすぐさま地下格闘技大会に出場させられることに。闇の仕事にアルバイトに来た男・行方(ナメカタ)。彼はひょんなことから白猫を巡る逃亡劇に巻き込まれてゆく。友達がいないスケボー少女すず。愛する白猫が奪われた彼女は、スケボーとパルクールを駆使して組織に忍び込む。息をつかせぬスリル、キレのある伏線と回収、少し前までは普通だった4人と1匹の織りなすドラマが新鮮なカタルシスへ結実する。
●ヘアメイク:上地久美
●スタイリスト:村上由衣