マッキントッシュから、モノーラル真空管パワーアンプ「MC3500」(¥4,840,000、ペア、税込)が発売された。

 マッキントッシュのファンであれば、MC3500の型番を覚えている方もいらっしゃるかもしれない。1968〜71年に発売され、1969年に開催されたウッドストック・ミュージック&アート・フェア専用のサウンドシステムで使用された製品でもある。今回の新製品は、そんな歴史的真空管アンプを現代の技術で甦らせたモデルとなる。

 マッキントッシュ社 社長のチャールス・ランドル氏が、MC3500の歴史的重要性を認識し再生産を夢見たのは、2019年のウッドストック50周年記念イベントの時だったそうだ。しかし、オリジナルモデルが50年以上前に設計されたことを考えると、簡単なことではなかった。今回2年以上の開発期間を経て、その夢が現実のものとなったわけだ。

左がオリジナルの「MC3500」(1968〜71年)で、右が新製品の「MC3500」

 新しいMC3500の主な特長は以下の通り。

●1968〜71年にかけて発売されたオリジナルのMC3500からインスピレーションを得て、1960年代以降の真空管アンプの設計において、マッキントッシュが学んだことをすべて盛り込んだ。

●最新の部品を使用して、レガシーとも言えるモデルナンバーを受け継ぐにふさわしいパフォーマンスを実現。

●出力トランスにはユニティ・カップルド回路を採用し、2/4/8Ωのいずれのインピーダンスのスピーカーにも350Wの出力を安全に安定して供給できる。

●オリジナルMC3500に搭載されていた「6LQ6」スイープチューブ(水平偏向出力管)と同様の品質と特性を持っている、高出力真空管「EL509S」を8本使用。

●出力トランスの巻線はマルチファイラー巻を採用。ユニティ・カップルド回路の一部で3つのトライファイラー巻のプライマリーがあり、カソード用、プレート用、スクリーン用にそれぞれ1つずつ巻かれている。2次巻線は1次巻線と一緒に巻かれており、1次〜2次間の結合がひじょうに緊密になっている。

●オリジナルMC3500と同様に、12AX7A×3本、12AT7×1本の真空管を使用したフルバランスのドライバー段。

●真空管ソケットは、接点に金メッキを施したセラミックベース構造で、汚れと接触不良を防ぐ。出力管ソケットは、長期間の使用を可能にするため、ベース部にエアパイプによる冷却機能を備えている。

●Power Guard Screen Grid Sensor(SGS)は、出力管のスクリーングリッド電流を監視することで、真空管の早期故障を防いでいる。電流が高くなるとリアルタイムで入力信号をダイナミックに減衰させ、真空管を安全なレベルで動作させる。

●Sentry Monitorは、出力電流を監視し、安全な範囲を超えた場合はアンプをシャットダウンする。

●Dual View Power Output Meterは、上段にワット数(W)とデシベル(dB)、下段にアンプのウォームアップレベル(%)を表示。

●フロントパネルはアルミ削り出しで、ビードブラスト仕上げとゴールドアルマイトを施し、オリジナルのMC3500の外観と仕上げを再現。メーターは透明なガラスで覆われており、下部の黒いガラスパネルにはふたつのノブを配置している。

●マッキントッシュ伝統の鏡面仕上げのステンレス・スティール・シャーシは、簡単な手入れで新品同様の輝きを保つことができる。

「MC3500」の主なスペック

●定格出力:350W(2/4/8Ω)
●出力インピーダンス:2/4/8Ω
●使用真空管:12AX7A x 3、12AT7 x 1、EL509S x 8
●定格周波数帯域:20Hz〜20kHz
●全高調波率:0.3%以下(250mW-350W)
●ダイナミック・ヘッドルーム:2.4dB
●周波数レスポンス:+0dB/-0.5dB(20Hz〜20kHz)、+0dB/-3.0dB(10Hz〜70kHz)
●入力感度:3.8V(バランス)、1.9V(アンバランス)
●S/N(A-Weighted):120dB
●混変調歪率:0.3%
●ワイドバンド・ダンピングファクター:25以上
●入力インピーダンス:22kΩ(バランス)、22kΩ(アンバランス)
●寸法/質量:W457×H300×D549mm(突起物含む)/54.9kg