11月26日(金)より全国ロードショーとなる「EUREKA/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション」。2017年から公開された「交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション」シリーズの完結編だ。タイトルの通り、今回はエウレカの視点から物語が描かれる。エウレカ、そして彼女を支えてきたアネモネのふたりの気持ちに迫るべく、名塚佳織さんと小清水亜美さんの二人にインタビューを行なった。

『交響詩篇エウレカセブン』から始まった、16年の長い旅路

 本作は、2005年にテレビ放送された『交響詩篇エウレカセブン』を新たな構想でリブートした「交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション」シリーズの第3部にして、完結編。2017年の『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1』では、テレビシリーズでも語られていた「サマー・オブ・ラブ」の真相を描き、その後の物語をレントンの視点から再構成した。

 2018年公開の『ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』では、アネモネを主人公とし、エウレカセブンの世界の真の姿が明かされた。そして11月26日公開の『EUREKA/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』では、それから10年後のまだ混乱の続く世界で、大人へと成長したエウレカの最後の旅が描かれる。

 作品を見守ってきたファンにとっても、冒頭から登場する成長したエウレカやアネモネの姿には驚くだろう。それを演じた名塚佳織さんと小清水亜美さんの二人はどうだったのだろうか。

名塚佳織(以下 名塚) 台本の表紙に大人になったエウレカが描いてあって、まずびっくりしましたね。完結ということで台本を読むのが怖かったのですが、読んでみて、エウレカがこういう風に成長したんだなと、納得しました。最後のセリフはこれまでのすべての世界線のエウレカの気持ちが集約されていると思います。

小清水亜美(以下 小清水) 台本の大人のエウレカには驚きましたね。まったく予想外で笑っちゃいました。「ANEMONE」の石井・風花・アネモネはすごくいい子、でテレビシリーズと違って幸せな女の子という印象ですが、実はとても苦労しているんです。その彼女が魅力的な大人の女性になるという展開は思いつきませんでしたね。ムードメーカー的なキャラクターとは思っていませんでしたし、他の人を笑顔にするポジションというか、とても魅力的で改めて大好きになりました。

名塚 アネモネはいい子に育ったよね。育った環境や関わる人の違いで人はこんなに変わるというのは誰にとってもありますし、アネモネにとってもエウレカにとってもいい出会いだったと思います。

小清水 アネモネは部隊を預かるリーダーになっていて、その立場の違いからエウレカとの関係や新キャラクターのアイリスとの接し方にも変化はあると思います。でも、エウレカとは親友だし、アイリスとも親友になりたいと思っているでしょう。アネモネは一番変化の大きいキャラクターですが、根っこの所は変わっていないというか、いい形で成長した姿を見られたことは私自身うれしいです。そんなアネモネを見て、暖かい気持ちになってほしいですね。

感情を表に出す、エウレカやアネモネの気持ちのこもった演技

 本作では、エウレカが失ってしまった能力を持つ少女・アイリスが新キャラクターとして登場する。成長したエウレカとかつての自分と同じ能力を持った少女の関係性も重要な見どころになっている。アイリスとの距離が近づくにつれ、エウレカの行動や感情にも大きな変化が現れる。それをサポートするアネモネも複雑な感情を秘めながら、エウレカの親友として、戦闘のリーダーとしてふるまう。彼女たちの熱の入った演技に注目したい。

名塚 エウレカはテレビシリーズでも戦災孤児の子供たちの親代わりをしていて、あの時も無意識に愛情はあったと思いますけど、母というものはわかっていなかったと思います。自分が原因でもあるため責任をとる気持ちがほとんどだったでしょう。アイリスを護衛するのも任務だから仕方ないという感じで、最初のうちはギクシャクしています。しだいにアイリスとの関係が深まってくると、かつての自分が背負っていた宿命の辛さ、そしてアイリスも同じ宿命を背負って生きていることに気付いて、守りたい気持ち、母性のようなものが生まれていったと思います。ふたりの関係が近づいていくうちに、変わっていくのはエウレカの方なんですね。アイリスを守りたい。希望を持って生きられるように支えたい。それができない自分に対する苛立ちなどもあって、後半になるとエウレカの感情がはっきりと外に出てきます。エウレカにもそんな感情があったんだという気持ちもありますが、人間に近づいたというか、私自身の気持ちにも近づいたと感じています。エウレカとしては大きな変化なのですが、自分としては演じていて違和感はなかったですね。

小清水 エウレカに対する気持ちの変化を見てほしいですね。テレビシリーズでは、エウレカになれないコンプレックスのようなものがあって、憎しみさえ感じていましたが、それがエウレカと直接出会うことで、ほおっておけない気持ちになり、親友のような関係になっている。もはやかけがえのない存在です。エウレカとのやりとりでは、ケンカもするし核心を突いたことを言ってしまうこともあります。でも、エウレカが好きだから、そういうことまで言い合える関係が出来上がっています。それを暖かく感じていますね。

 また、エウレカとデューイとの対決はアネモネ的には悩んだと思います。本作では直接的な関わり合いは薄いのですが、テレビシリーズの影響もあってデューイを嫌いになれない(笑)。それだけに、自分の代わりにエウレカが戦っているような気持ちで見守っていたし、できる限りのことはしました。アネモネにはドミニクがいて、エウレカにもレントンが居ますが、ある意味アネモネとしてはドミニクを超えたか!? というくらい近い存在になっています。

名塚 エウレカにとってのレントンとアネモネは比べることができる存在ではないですが、アネモネに救ってもらえたからこそ、世界を滅ぼさずにすんだわけで、誰よりも大事な存在ですね。とはいえ、お姉さんのように甘えたいのに抵抗がある感じ、でも結局甘えてしまっている。そんなふたりの関係を見てほしいです。

長い旅の終わり。時代に合わせて変わってきた「エウレカセブン」を感じてほしい

 最後に「エウレカセブン」完結に向けての思いを聞かせてもらった。

名塚 最初のテレビシリーズは、全50話の1年におよぶ作品でした。四苦八苦しながらキャラと向き合ってきた作品ですが、まさか16年もの付き合いになるとは。その頃生まれた子は高校生になっているわけだし、当時レントンたちと同じくらいだった人は立派な大人になっています。長く愛されてきた作品だからこそ、ファン層も広いです。そこに関われたことがうれしいです。

小清水 今の少年少女に、「エウレカセブン」はどんなふうに感じるのが気になりますし、リアルタイムで見てくれた人、「ハイエボリューション」から見た人、それぞれの感想が知りたくなります。ほかの作品とはちょっと違った意味で、公開が近づいた今、ワクワクドキドキしています。

名塚 終わりだけど、この世界の人々は今までと同じように生きていく、作品が生き続けていくと感じました。テレビシリーズから見ていただいた人、「ハイエボリューション」から見た人もいると思いますが、ずっと心に残る作品だと感じています。エウレカの最後の旅を、「エウレカセブン」の物語を見届けてほしいです。

 『EUREKA/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』の公開が迫る今、ぜひとも『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1』、『ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』を見直しながら、楽しみに待っていてほしい。

映画『EUREKA/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』

11月26日(金)全国ロードショー

<キャスト>
エウレカ・サーストン:名塚佳織
アイリス・マッケンジー:遠藤璃菜
石井・風花・アネモネ:小清水亜美
ホランド・ノヴァク:森川智之 ほか

<スタッフ>
監督:京田知己 脚本:野村祐一、京田知己 キャラクターデザイン原案:吉田健一 キャラクターデザイン・作画監督:奥村正志 特技監督:村木靖 メインメカニックデザイン:河森正治 コンセプチャルデザイン:宮武一貴 メカニックデザイン:大河原邦男、出渕裕、玉盛順一朗 メインデザイン:上津康義、佐山善則、山根公利、柳瀬敬之、齋藤将嗣、片貝文洋、武半慎吾 銃器設定:金子秀一 メカ作画監督:横屋健太 メインアニメーター:柿田英樹、大塚健、阿部慎吾、長野伸明 美術監督:永井一男、本庄雄志 色彩設計:水田信子 編集:坂本久美子 撮影監督:木村俊也 音響監督:若林和弘 音響効果:倉橋静男 音楽:佐藤直紀
主題歌「Eureka (feat. kojikoji)」変態紳士クラブ(TOY’S FACTORY)
アニメーション制作:ボンズ 製作:バンダイナムコアーツ、バンダイナムコセブンズ、博報堂DYミュージック&ピクチャーズ、ボンズ、サミー、MBS 配給:ショウゲート 約110分/スコープサイズ/カラー/5.1ch・2ch
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