スタックスから、イヤースピーカーのフラグシップモデル「SR-X9000」が発表された。定価¥693,000(税込)で、10月8日の発売を予定している。

 SR-X9000は「SR-009S」を超える新しいフラグシップ・イヤースピーカーとして、SR-009Sの多層固定電極「MLER-2」(Multi Layer Electrodes)に、大型の金属メッシュを組み合わせて進化させた4層構造の固定電極「MLER-3」を採用。開口部がきめ細かい金属メッシュは、空気の抵抗や反射の影響が少なく音の透過性に優れており、固定電極の素材として理想的な特性を備えている。

 またサウンドの核となる振動膜は、極薄のスーパーエンプラフィルムによるダイヤフラムを採用。限りなくゼロに近い軽質量化により優れた過渡特性を実現し、低域から広域にわたって音の追従性を向上。振動膜面積はSR-009Sに比して20%の大口径化に成功、ヘッドホンリスニングの限界を打ち破る広大な音場を獲得している。

大型の円形金属メッシュを組み合わせた4層構造の新固定電極MLER-3

 本体部は強靭なアルミ削り出し筐体を採用。ドライバーを強固に固定し、さらに筐体自身の不要共振を徹底的に排除する新設計が用いられている。その結果筐体内の音響特性も向上し、不要な共振の影響を受けないクリアーな音質を獲得した。

 ドライバーを保護するガードメッシュは、発音体に対して平行に設置すると音の聞こえ方に悪影響を及ぼす反射を発生させることもある。SR-X9000では発音体とガードメッシュとの隙間の高さを変えるために前後で高さの違う支柱構造を採用。これによりガードメッシュは発音体に対して平行になることはなく、音の反射角のコントロールに成功している。

 イヤーパッドの素材には通気性と柔軟性に優れた本革(羊皮)を採用。適切な密着感を長時間キープすることができ、質の高い低域表現や鮮度感の高い音質を余すことなく実感できるはずだ。

 ケーブルには低域再生に優れた6N OFC高純度軟銅線(0.14mm×3)を使用し、その外周に高域特性の高い銀メッキ軟銅線(0.08mm×9)を配置。交換可能なリケーブル機構を採用し、試聴スタイルに合わせて交換可能な2.5mと1.5m仕様の2本のケーブルが附属している。

音の反射角をコントロールするチルト・ガードメッシュ構造を採用

「SR-X9000」の主なスペック

●形式:プッシュプル・エレクトロスタティック(静電型)、後方解放型エンクロージャー
●ユニット形状:大型円形
●固定電極:MLER-3
●再生周波数帯域:5Hz〜42kHz
●静電容量:110pF(附属ケーブルを含む)
●インピーダンス:145kΩ(10kHzにて/2.5m附属ケーブルを含む)
●音圧感度:100dB/100Vr.m.s.入力/1kHz
●バイアス電圧:DC580V
●ケーブル導体:6N(99.9999%)OFC+銀メッキ軟銅線
●ケーブル形状:平行6芯、幅広低容量ケーブル、2.5m、1.5m
●イヤーパッド:本革羊皮(肌に触れる部分)、人工皮革(取付部)
●重量:432g(本体のみ)