8Kを始めとした高精細映像信号のデータ転送には、メタルコアでなく、光ファイバーを導線に使ったHDMIケーブルの方が確実かつ安定しており、長距離の伝送でもクォリティが担保できることは、改めて言うまでもない。それに準拠したフィバーのPure3は、48Gbps/8K/60㎐伝送の規格をクリアーした現代最先端のHDMIケーブルだ。今回は現有のシステムに「プラスワン」するに相応しいアイテムとして、改めてその画質・音質の品位をチェックすることとなった。
FIBBR
HDMI CABLE
Pure3
¥80,300(10m) 税込
● 帯域幅:48Gbps(8K/60p、4K/120p 4:4:4 36ビット、8K/30p 4:4:4 30ビット)
● シェルサイズ:45×20mm、厚さ12mm
● ラインナップ:1.5m(¥48,400 税込)、2m(¥51,700 税込)、3m(¥55,000 税込)、5m(¥60,500 税込)、10m(¥80,300 税込)、15m(¥96,800 税込)、20m(¥113,300 税込)
● 問合せ先:(株)ナスペック TEL 0120-932-455
光ファイバーは信号の減衰が極小であるうえ、外部からのノイズの影響も受けにくい。ただし、部材が概して高価だ。フィバーは自社内に開発と製造部門を有しており、他社と比べて低価格を実現することができる。特に独自の「Bend Robust」(ベンドロバスト)テクノロジーにより、極小の抵抗成分しかない光ファイバーケーブルの広帯域性能と低減衰性能を維持しながら、ケーブル自体の急激な屈曲にも耐え得る性能を有している。
また、ACカップリングから受けた電力を使用するため、外部から追加の電源を必要としない点も大きなセールスポイントである。
テストにはPure3の10mを用意。比較対象としたのは、同社の先代モデルPure2の画質をチェック。音質チェックに関しては、国内メーカーの一般的なメタルコアの1m品をあえて準備し、長尺でも損失がないことを確認しようと思う。
まずは映像の比較。UHDブルーレイ『ジョーカー』の冒頭から。窓から差し込む光と、そのすぐ下のヒーターや一輪車の様子などにコントラストレンジの拡大を感じる。ここは明らかにPure3が優れている。屋外シーンになり、摩天楼のビル群の奥行感とディテイル、あるいは楽器店のショーウィンドウの中の陳列の様子など、その描写感には予想以上の差があった。
UHDブルーレイ『宮古島〜癒しのビーチ〜』の与那覇前浜ビーチのシーンでも、白いビーチパラソルの骨組みや傘の稜線はPure3の方が明らかに克明。白い砂浜の細かな凹凸、青い空に浮かぶ雲の柔らかさと輪郭、対岸の緑の木々と建物のディテイル感は、従来モデルのPure2では全体にやや甘く感じられたのである。
音声に関しては『ジョーカー』のチャプター4、地下鉄のシーンを観た。すれ違う列車のフレーム外を轟音や、バックの音楽の厚みと重心の低さでは、メタルコアのHDMIケーブルにもよさがあるが、空間や効果音の広がりなどでは、Pure3のよさが如実に表れた。空間情報の豊かさや密度といった点において断然歩があるようだ。イマーシブサウンドへの対応という点を考えれば、トレンドは光ファイバーにありそうだ。
①曲げに強いフィバーオリジナルの「Bend Robust」光ファイバーを使っていることがPure3の特徴。②それをケブラーで保護しており、③映像や音声以外の低速信号はメタル線で伝送する仕組み。④外皮はPVC(ポリ塩化ビニル)製だ