このLMC5は、ラックスマンとして久々のMCカートリッジ。初代のLMC1は1981年に、L MC2は翌年に登場しているからじつに40年近い時を経た第3弾だ

発電コイルを左右対称に巻いた直巻き十字形コイルで軽量化、チャンネル間の感度差を低減。シバタ針と相性の良いアルミカンチレバーを選択して使用。ピアノ線による1点支持方式を採用し振動系の支点を明確化している

 これは初期モデルとはすっかり異なる設計だ。全体構造はセミオープン型、つまり発電機構がむき出しになっていて、内部空間の音響的な問題を避けている。ガード役の横壁は卵円形状をあしらって反響や共振問題に対策している。ボディはアルミニウム製。ソリッド・ダイヤモンドの針先はシバタ針であり、点接触に近い状態で音溝に接する。発電機構はサマリウム・コバルト磁石による磁気回路が肉眼で見える。十字巻きコイルは4N銅線。

持参のLPレコードに針を下ろす吉田氏
試聴に使用したレコードプレーヤー/テクニクスSL1000R ¥1,600,000(税別)、MC昇圧トランス/エアータイトATH3 s(Lowインピーダンス仕様)¥180,000(税別)

 ヘッドシェルはマイソニックラボのSH1Rhを使用。試聴室リファレンスのフェーズメーションP P2000ほどエネルギッシュではないが、過度な演出がなく、しかしローレベルから緻密で精妙な再現性を示している。ケルテス指揮の「ハーリ・ヤーノシュ」などホールをたっぷり鳴らす響きに土臭い調べが浮き彫りになり、しかも各パートの音像は3次元的に明瞭。モノーラル盤「ザ・ピーナッツ」は、安定した中央定位でありながら、響きが加味された重唱が自然な音像の幅と奥行きを提示し、ナロウなオリジナル音源をよく解きほぐして肉声感が迫ってくる。この音源で調整したのでは、というほどの官能的描写力だ。往年のビッグバンド、ピアソラのタンゴも濃密にして躍動感がよく引き出される。濃い情調の入った調べを、鮮度志向では得がたい体性感覚で再現するカートリッジの秀作だ。

ラックスマン LMC5 ¥230,000(税別)
●発電方式:MC型●出力電圧:0.4mV(1kHz、3.54cm/sec)●内部インピーダンス:4.7Ω(1kHz)●推奨負荷インピーダンス:2.5Ω〜10Ω(昇圧トランス接続時)、40Ω以上(ヘッドアンプ接続時)●適正針圧:2.1g〜2.3g(2.2g標準)●自重:8.5g●針交換価格:¥161,000(本体交換)
問合せ先:ラックスマン(株)☎045(470)6991