SVC200はサン・オーディオの管球式ライン入力専用プリアンプであり、キット仕様もあるロングラン製品だ。本機はその発売20周年記念の特別仕様であり、完成品のみで登場した。

 一番大きな特徴は、ライントランスによるバランス入力/出力端子を追加したことだ。バランス入力用はタムラのTD1であり、これは600Ωの1:1、入出力それぞれに2巻線を持つ。出力側はTD2で、こちらは10kΩ:600Ωで入出力それぞれ中点タップ付きだ。また電源部のチョークコイルもタムラの大型特注品に換装。抵抗はA&Bのカーボン抵抗を多用する。出力端のコンデンサーは、錫箔巻きのAudioCap。電源平滑コンデンサーはサン・オーディオの耐圧500Vのメタライズドフィルムコンデンサー。整流管は6X4。回路は英国BRIMARのCV4068による一段増幅にカソードフォロアーを直結するというシンプルなもの。

 バランス接続はSACD/CDプレーヤーからの入力を試した。緻密にして濃淡模様を安定して描くしっとり傾向。しかも堂々の風格がある。音量を上げるとじわりとスケール感が増し、しかも鋭いピッコロの高鳴りでも表情のゆとりがあるのだ。アンバランス入力にすると、中高域の輝きや明敏な応答性が得られて近年の広帯域録音に好適。往年のビッグバンドジャズやクラシックオーケストラもエネルギッシュにして稠密な質感だ。また歌曲の生っぽいタッチなど、どちらの入力でも楽しめる完成度の高い特別仕様。

Preamplifier
サン・オーディオ
SVC200
20th Anniversary version
¥300,000

●入力端子:LINE4系統(RCAアンバランス×3、XLRバランス×1)●出力端子:PRE2系統(RCAアンバランス×1、XLRバランス×1)●利得:22dB ●使用真空管:JAN-6X4WA(GE)、CV4068/6158(BRIMAR)×2 ●寸法/重量:W364×H100×D285mm/9kg ●備考:20台限定生産、完成品のみでキット仕様は無し。
問合せ先:(株)サン・オーディオ TEL. 03(5296)0271

通常モデルはフロントパネルとノブはシャンパンゴールド色なのに対し、本仕様は天板と側板を含めてブラック仕上げとなる。

バランス入出力端子が加えられたリアパネル。伝送は入出力それぞれにタムラ製ライントランスを介して行なわれ、その組合せによる音色の違いも楽しめる。

天板を開けた内部。信号増幅部にはローノイズかつ長寿命の英国BRIMAR製の高信頼管CV4068/6158を採用。電源部と増幅部には自社製ブロック型メタライズドフィルムコンデンサーを各1個使用、チョークには同社パワーアンプにも採用のタムラ製特注品を横向きにして搭載。


ボリュウムを操作する吉田氏。

この記事が読める季刊「管球王国」Vol.100のご購入はコチラ!