デンマークのヘッドセットブランドJabraから発売されている完全ワイヤレスイヤホン「Jabra Elite 85t」が現在、プライスプロモーションを展開。期間限定(~6月16日まで)で15%オフキャンペーンを実施している(¥29,400 → ¥24,860)。ということで、ここでは日本市場でも人気を集めているJabraブランドのフラッグシップモデルJabra Elite 85tの、音質インプレッションについて簡潔に紹介してみたい。

 Jabra Elite 85tは、昨年9月に発売された製品で、その特長はJabra史上最も強力なノイズキャンセル=ANC性能を持つ点にあるという。フィードフォワード、フィードバック、2種類の方式に対応し、オリジナルのチップセットにより強力にANCを働かせることができるそうだ。ちなみに、ANCの効果は、専用アプリ「Jabra Sound+」によって、テクニクスの完全ワイヤレスイヤホンと同様に、スライダーで効き具合を調整することができる点にも注目だろう。

専用アプリ「Jabra Sound+」では、ANCの効き具合をスライダーで調整できる

・Jabra Elite 85tについてはコチラを参照
https://www.jabra.jp/bluetooth-headsets/jabra-elite-85t##100-99190700-98

 さて、早速、毎日の満員の通勤電車(地下鉄)で使ってみた。コロナへの感染防止策によって、窓が開いていること、強力な送風が行なわれていることもあって、電車内は想像以上に騒音が大きくなり、イヤホンなどを使っていない状態であっても、耳への影響を懸念してしまうほど。

 ノイズキャンセリング機能(ANC)は、左のイヤホンのボタンで、オン/オフ(/外音取り込み)を切り替えることができるので、音楽を聴きながら試してみたが、その効果は謳い文句通りに素晴らしいもの。ゴーという走行音から、送風口のボーという少し高域に属するノイズまで、的確に除去してくれる。ANCの効果も自然で、音楽に没入できる環境を、簡単に提供してくれた。しばらくオンの状態で使ったのち、オフにしてみると、車内はこんなにも騒がしかったのか、と驚いてしまうほどだ。

ユーザーの耳の聴こえ方を測定してくれる機能もあり。1分ほどで測定は完了。プロファイルを作成すると、筆者の場合、高域の聴こえ方が若干改善された

 ANC対応機については各社から発売されているが、その効果はさまざまで、ゴーという低音は消してくれるが、ボーやサーという少し高域寄りの騒音は、少し減衰はするものの聞こえてくるという製品も多い。Jabra Elite 85tはその高域寄りの騒音まで綺麗に除去してくれるので、ANCモデルとしてはかなり快適に使える。しかも、車内アナウンスはしっかりと聞き取れるので、乗り過ごしもない。ただし、最近は駅名のアナウンスをしてくれないことも多いので(Jabra Elite 85tは、ドアの開閉の音もキャンセルしてくれる)、読書などに没頭していると、うっかり乗り過ごしてしまうかもしれない。

 ちなみに屋外でANC機能を使うと、自分が無響室に入ったような感覚になり、慣れるまでにしばらく時間がかかった。会社の前の環八沿いの歩道で使っても、綺麗に車の騒音を消してくれる。ただし、その効果が高い=周囲の音が聞こえなくなることは反面で、周囲の状況が把握できなくなるので、車や自転車が多く通る場所や夜などは、安全のためにも、ANCオフにしたほうがいいだろう。

 音質について紹介しておくと、特に高音質ということはないが、ほどよく躾けられた低域や、歪・こもり感のない高域の再現性は良好。しかも、高域寄りの音の消え際の響きの余韻の再現は美しく、音楽の情感を豊かに伝えてくれる。ただし、ディテイルや音場感といった音質的な部分での再現性はあと2歩。

 今回は、Androidスマートフォンを再生機に使っていたのだが、Bluetoothコーデックを調べてみると、AACが選択されていた。面白かったので、これをSBCにしてみたら、音がガラッと変わった。SBCでは全体的にメリハリ傾向のサウンドで、主にボーカルの帯域が強調されるよう。一方のAACでは、ボーカルはSBCに比べれば少し抑えめになるものの、帯域のバランスが良くなり、聴きやすい音になる。先述の高域の響きの余韻は、こちらの場合となる。メリハリあるサウンドを楽しみたい場合はSBC、音楽を楽しみたい場合はAACを選択するといいだろう。

スマートフォン(Android)の設定でコーデックをSBCとAACで切り替えてみたところ、音質としてはAACが優秀。メリハリではSBCが優勢