手軽に大画面が楽しめるプロジェクターが人気だ。10万円前後で購入できる小型プロジェクターから、本格的な4Kプロジェクターまで、多彩な機種が登場していることもあるが、大画面の求心力はまだまだ健在ということだろう。

 ここで忘れてはならないのが、最終的な映像を描き出すスクリーンの存在だ。「白壁投写」という考え方もあるが、一般の住宅では大面積の均一な白壁を確保するのは至難の業。プロジェクター本来の性能を引き出すという意味でも、スクリーン投写が望ましい。

 

手頃で高画質、そして使いやすい掛図スタイルのスクリーンに注目

 ここではスクリーンの老舗メーカー、キクチの個性豊かな2種類のスクリーンを紹介しよう。まずは壁に掛けるだけで手軽に使える掛図タイプのスクリーン「Vシリーズ」だが、本体が軽く、クルクルと巻いて収納可能、携帯性にも優れる。今回は1本足仕様の別売りスタンド(SST-1)を用意して、70インチ16:9の掛図スクリーン(生地はホワイトマットアドバンス)を設置してみたが、これが簡単至極。スタンドを安定した状態に設置して、あとはスクリーン幕を垂らして、下部を固定するだけ。最後にロックハンドルでスクリーンにテンションを与えれば、理想的な平面性が得られる。

 エプソンの小型レーザープロジェクターEF-11で「THE FIRST TAKE」(YouTube)の「My Way/Def Tech」を再生してみたが、Microが羽織る革のブルー・ジャケットとShenのオレンジ・ジャンパーのコントラストが鮮やかだ。平面性に優れて、巻きシワによるノイズも気にならず、画面を囲う黒マスクが映像を引き締めている。暗い空間に大画面で浮かび上がる「THE FIRST TAKE」のインパクトは強烈。見応えがある。

 

スクリーンを巻き上げたところ。シンプルなスタイルだが、幕面の平面性の高さと収納性を両立している点が魅力だ。もちろん適切な場所にフックなどを用意できればスタンドなしで、さらにたやすく大画面が実現できる

SCREEN
KIKUCHI
WAV-70HDC
¥28,000+税(16:9、70インチ掛図式)

● 寸法/質量:W1734×H1020mm/2.0kg
● 生地:ホワイトマットアンドバンス(WA)
● 備考:携帯用ケース付属
● オプション:スタンド(SST-1[¥20,000+税]/60〜100インチ対応/写真)。
● ラインナップ:80インチ(¥30,000+税)、90インチ(¥37,000+税)、100インチ(¥42,000+税)、110インチ(¥85,000+税)、120インチ(¥98,000+税)あり(以上、16:9、ホワイトマットアドバンス生地)
※そのほかに150PROGアドバンス生地仕様、4:3仕様など各種あり
● 問合せ先:(株)キクチ科学研究所 ☎ ︎03(3952)5131

 

 

耐外光スクリーンなら明るい空間でも楽しめる

 続いて「照明を残したまま、プロジェクターの大画面が楽しみたい」という声に応えて登場した耐外光スクリーンSPA-UTシリーズ。幕面に微細なレンズ加工を施し、光の反射に特定の指向性を持たせることで、外光の影響を最小限に抑え込むという魔法のようなスクリーンだ。

 今回は100インチのワイドスクリーンをエプソンの超短焦点プロジェクターEH-LS300との組合せで試してみたが、明るく、色鮮やかな見通しのいい映像は期待していた以上だ。人肌、髪の毛、衣装と自然な色調で描き出され、斜めから見ても暗くなったり、色が薄くなったりせず、安定している。明るい空間で楽しむスクリーン映像。ちょっと不思議な感覚だが、新鮮だ。

SCREEN
SPA-100HDUT
¥260,000+税(16:9、100インチ張り込み式)

● 寸法/質量:W2354×H1385×D40mm/13.7kg
● ラインナップ:120インチ(¥300,000+税)
● 備考:写真のプロジェクター(エプソンEH-LS300)、スタンドは撮影用。製品/価格/仕様には含まれません

こちらは超短焦点プロジェクターとの組合せを前提に開発された特殊加工が施されたスクリーン。照明を残したままでも明るく色鮮やかな映像が楽しめる