その差歴然。生々しさが違う！ スマホ＋イヤホンでいい音を楽しむ。Astell & Kern『PEE51 AK USB-C Dual DAC Amplifier Cable』

　音楽ストリーミング配信の再生機としては、常時、インターネットに接続しているスマホはもってこいだが、音質重視のヘッドホン出力を備えた機種はほとんどなく、最近はiPhoneのようにヘッドホンジャックを装備しない機種も珍しくない。

　「音楽ストリーミング配信を、もっといい音で楽しみたい」。そんな声に応えて開発されたのが、ここで取り上げるアステル＆ケルンのPEE51 AK USB-C Dual DAC Amplifier Cable（以下PEE51）だ。準備はスマホのUSB TypeC端子に本機のケーブルを接続するだけ。基本的な使い勝手はスマホに装備されたヘッドホンジャックとまったく一緒だ。

　AcoustuneのHS1300SS AzulイヤホンとAndroidスマホとの組合せで、SpotifyやAmazon Music HDをPEE51の有無で聴き比べてみたが、その差は歴然。声の明瞭度や音の静けさ（S/N感）など、ダイレクト接続でも特に不満を感じることはなかったが、PEE51を加えると、にわかに微小信号が浮き上がり、その場の気配、空気感がより鮮明に描き出される。

　Amazon Music HDで聴く今井美樹の「青春のリグレット」冒頭部、アコースティックギターの響きが繊細で、空間にしみこむように拡がる。今井美樹のヴォーカルはほんのりと温かく、手を伸ばせば届きそうなほど生々しい。

　宇多田ヒカルの「花束を君に」でもPEE51が入ると、声の質感がより緻密になり、ニュアンスが豊かになる。独特のビブラートもざらつくことなく、絶妙な揺れ感を保ちながら、優雅に拡がっていく様子が実にいい。「プラスワンアイテム」の威力は絶大だった。