オンライン動画配信サービスHuluのオリジナルドラマ『息をひそめて』が、現在好評配信中だ。これは、コロナ禍によってまさに自粛・我慢の一年となった昨年2020年の状況を、多摩川の傍で暮らす市井の人々に焦点を当て、全8編のショートストーリーでつないだヒューマンな作品。ここでは、第3話「君が去って、世界は様変わりした」に出演した安達祐実にインタビューを実施。出演の感想から、コロナ禍での過ごし方などを聞いた。

――出演おめでとうございます。まずは、タイトルを見た時の感想をお願いします。

 素敵だと思いました。作品のテーマとしてコロナ禍を扱っていましたので、いまの情勢にぴったりだと感じたし、言葉の響きもなんかこう秘密めいているようでもあり、繊細な印象も受けました。各話にはサブタイトルもついていますけど、全話を現すものとして「息をひそめて」というタイトルは納得がいきましたし、いいなって思いました。

――安達さんは、演じられた琴子をどのように感じましたか?

 (台本に)書かれていることがそれほど多くありませんでしたけど、どこか寂し気でもあるし、何か抱えているものがあるんだろうなと感じました。コロナ禍で、人と接することも避けなければいけないにも関わらず、関わっていこうとしているのは、それなりの理由があるわけですから、そういうところに興味を惹かれましたね。この女性(琴子)には何があったんだろうと、台本を読みながらそそられました。

――人間不信(?)になりながらも、人に興味がある、という雰囲気はどのように表現したのでしょう。

 具体的にこの仕草がそうですというのはありませんけど、その時に初めて会った人に対しては、まあ特別な思い入れはないでしょうし、でも、ないところでその人と出会って、何かを重ねたり、違いを確かめたりしながら、自分が求めているものをちゃんと認識していくというのは、自分の傷を理解して、それを癒していく第一歩にしているのかな、という風に思いました。

――それが太宰なんでしょうか?

 そうですね(笑)。最初に抱きしめられた時も、この人じゃないと分かりつつも、でもそこに自分の寂しさをぶつけてしまうというか、思いが募ったのではなく、計画的でもなく、なし崩し的にそこに流されていく……。それは傷の現れなのかなと思いました。

――細かいことを3つお聞きします。まずは、出会ってすぐ“部屋に行きましょう”と言われて、一瞬ニヤッとしますね。

 えっ、してましたか?(笑)。まあ、でも結局は、そういうことを含めた目的で会っているので、というところでしょうか。

――彼の家に行った際、彼から言われた言葉に対して、どのように感じましたか?

 それは、自分でも未知の世界で(笑)、なかなかどういう反応をしたらいいのかというのは理解が難しいんですけど、ただ、ものすごく好きな人から言われたら抵抗がありますが、そうじゃないからこそ、“えっ”とは感じつつも、別にいいか、ということなんでしょうね。

――終盤、ふとした瞬間に、彼にキスをします。その時の女性としての心理は理解できるものですか?

 周囲の情景が、ふと童心を呼び起こすものだったので、それを共有した彼と、悲しいとか寂しいという感情を忘れて、かわいいというか愛おしく感じて、そうしたのかな、と。ただそれだけだと思っています。その瞬間、心が近づいたのかな、と。

――ところで、中川監督の印象はいかがでしたか?

 すごく熱くて、情熱的な方ですね。ただ、表面的にはすごく静かなんです。4話に出演されている光石さんから、昔監督と一緒にお仕事をした時に「僕は将来、黒澤明監督みたいな監督になります」と仰っていたと聞いていたので、会う前から情熱的な方なんだろうなとは思っていました。そうして今回、実際にお会いしたら、繊細だけど内にはすごく熱いものを秘めているんだな、自分の作品を愛しているんだなということが伝わってきました。演出もとても細やかでしたし、一緒にお仕事ができて、うれしかったです。

――中川監督は、長回しを多用して、その場の雰囲気や時間を映像に取り込むような手法をよく使います。何か現場で感じたものはありますか?

 結構、最初から最後までそれ(長回し)に近い感覚はありましたけど、長いなーとは特に感じませんでしたね(笑)。ただ、空気感を作るのは大事にされているなと思いました。

 一方で、それ(空気感)にものすごくこだわっているという姿勢・雰囲気は、見せないんですよ。俳優としては、現場での(俳優の)心の流れを大切にしてくれているな、という部分は強く感じました。

 監督の指示も、感情をぶつけるというよりは、分かりやすい言葉で示してくれるので、ご自身の思いと違う部分は丁寧に説明してくださるし、いいと思ったら「よかった」と言ってくれるし、それほど多くの言葉を交わしてはいませんが、私は(監督と)通じるものがあったなと思っています。

――本作では、コロナ禍を舞台に、変わってしまったもの、変わらないものを描いていますが、安達さんの生活の中でそれらはありましたか?

 両方ありますね。もともと、そんなに外に出るタイプではないので、その部分での変化は少ないんですけど、こうして現場に来ると、目の前にアクリル板があったり、リハではフェイスシールドを着けていたりという変化は感じます。最初はとまどいもありましたけど、ある程度(コロナの)ガイドラインも分かってきたので、今では慣れてきた面はありますね。

 プライベートでは、子供と一緒にいる時間が増えました。まだ小さいので、一日中戦っている感じですけど(笑)、それだけ長い時間子供と一緒にいることはなかったので、とても大切な時間になったなと感じています。(一緒にいる)その時間が、より強い絆を作ってくれるんだなと思えてきて、充実した時間を過ごせています。

――ちなみに、安達さんが好きなシーンはどこでしょう。

 終盤で雪が降ってくるところです。情景的にもすごく綺麗だし、二人の距離が縮まるところでもあるので、感動的でした。撮影の緊張も少し和らぎましたね。

――ところで、ホームシアターには興味はありますか?

 ありますよー。家にいる時間が長くなったので、そういうシステムが欲しいなって思います。ただ、子供がまだ小さくて、見るにしても寝静まってからになるので、今はなかなか難しいです。

――ホームシアター用のヘッドホンもいろいろ出ていますよ。

 なるほど、そういうものがあるのですね。研究してみます。

――どんなジャンルの作品をご覧になるのですか?

 動物ものとか、ドキュメンタリーはよく見ますね。最近は子供が韓流アイドルにハマっているので、一緒に見ることもあります。

――では、最後に見どころをお願いします。

 劇中のセリフにもあるように、いまは人と交わることが制限されているけど、しかし心のどこかでは、手段はどうあれ、それを求めていて……。やはり人間にはそういう部分があるんだということを本作では描いていて、見ていて、笑ってしまったり、呆れてしまったりすることもあるけど、それこそが生きることのおかしさ、かわいさなのかなっていうのが、このストーリーの中にはあると思うんです。世の中がどういう状況でも、自分がどういう状況でも世界は続いていく。第3話を見ていただいた方には、自分もその世界の一員なんだなって、共感してもらえたらいいですね。

Huluオリジナル「息をひそめて」

4月23日(金)より一挙独占配信中<全8話>

【各話タイトル】
第1話「人も場所も全ては無くなる」  夏帆、斎藤工
第2話「帰りたい場所が、ずっとなかった」  石井杏奈、萩原利久、長澤樹
第3話「君が去って、世界は様変わりした」  村上虹郎、安達祐実、横田真悠
第4話「この町のことが好きじゃなかった」  蒔田彩珠、光石研
第5話「たまに遠く感じる、君のことが」 三浦貴大、瀧内公美
第6話「あなたの速さについていけないことがある」瀧内公美、三浦貴大
第7話「誰のために歌うの?」  小川未祐、斎藤工
第8話「この窓から見える景色が、僕の世界だ」  斎藤工、夏帆

【監督】中川龍太郎
【脚本】中川龍太郎、高田亮
【音楽】haruka nakamura
【撮影監督】上野千蔵
【エグゼクティブプロデューサー】長澤一史(HJホールディングス)
【チーフプロデューサー】茶ノ前香(HJホールディングス)
【プロデューサー】中村好佑(HJホールディングス)
【プロデューサー】佐野大(SPOON)
【制作プロダクション】SPOON
【製作著作】HJホールディングス

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安達祐実
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