TVS REGZAは、2021年の4K有機ELレグザ新製品「X9400Sシリーズ」3モデルを4月30日に発売する。ラインナップと市場想定価格は以下の通り。

65X9400S 市場想定価格¥520,000前後(税込)
55X9400S 市場想定価格¥365,000前後(税込)
48X9400S 市場想定価格¥265,000前後(税込)

「55X9400S」。水平垂直のラインを基調としたデザインで、本体下部のサウンドバー部分もダークメタル仕上げに変更されている

 X9400Sシリーズは、いずれもタイムシフトマシン機能を搭載したモデルで、同社4K有機ELテレビの最高峰ラインナップという位置づけだ。48インチについては「48X9400」が2021年春に登場予定だったが、昨今の社会情勢もあって発売が遅れていた。それもあり同社では48X9400の発売を中止、最新機能を盛り込んだ「48X9400S」としてリリースすることになったそうだ。

 画質面での進化ポイントは、レグザ専用の高コントラスト有機ELパネルを搭載した点だ。有機ELパネル自体は前モデルのX9400シリーズと同じだが、内部のインナープレートを自社開発の専用設計高放熱仕様に変更した。これにより、高輝度(従来比110%ほど)や高コントラスト化が実現できたという。なおインナープレートの変更はパネルメーカーとの協業で実現したそうで、今回は55型と65型に搭載。48型は従来パネルを継承する。

 パネルの進化に合わせて、映像処理回路にも改善が施された。映像エンジンの「ダブルレグザエンジンCloud PRO」は同じだが、処理内容は変化している。

 まずリアルタイムに人肌を検出し、立体感や質感を向上させる「ナチュラル美肌トーン」は、人の心にある肌のイメージまで踏まえて自然で美しい表情を再現するように進化した。

「ナチュラル美肌トーン」機能は、ピークのてかりやシャドウ部の黒ずみ、カラーシフトのある信号(左)も、自然でナチュラルな肌色(右)として再現してくれる

 この点については、埼玉女子短期大学で人の心にある肌のイメージを研究している山田雅子教授の協力を得ている。山田教授によると、人の肌については、各人がそれまでに触れてきた肌のイメージに左右されやすく、美しさの個人差が大きいという。

 今回のレグザではそのイメージの違いをカバーするために、撮影環境や視聴環境の影響で不自然に感じる人肌を補正している。例えば額がてかって本来の階調や色が失われていたり、ノイズで肌の肌理がなくなった場合、あるいは色味が転んでしまっている映像でも、自然な肌として認識されるように再現するわけだ。

 また人気機能の「おまかせAIピクチャー」も「II」に進化した。映画やスポーツなどの視聴コンテンツの種類や室内の照明や色温度を自動判別して最適な画質に調整する機能はそのままに、夜の視聴環境ではブルーライトを約20%カットしている。

 そもそも青の再現については、液晶パネルよりも有機ELパネルの方が色の純度が高いので、余分な青成分が含まれないぶん数字的には低くなる。さらに映画視聴モード(明るさ200ルクス、電球色、映画系のコンテンツ)でよりピュアな色再現、画質向上を追求した結果、ブルーライトも抑えることができたそうだ。

 その他、テレビをネットにつないでクラウド経由で地デジ番組などを高品質に再現する「地デジAIビューティPRO II」や、ネット動画を配信サービスごとの画質特性、圧縮方式や解像度に合わせて最適なパラメーターに切り替える「ネット動画ビューティPRO II」も新しいパネルに合わせて最適化されている模様だ。

55型と65型に搭載された「レグザパワーオーディオX-PRO II」

 音質面では、高遮断フィルターの搭載やユニットの見直しなどを行い、「レグザパワーオーディオX-PRO II」に進化した。もともとX9400シリーズも高度なイコライザーを搭載していたが、今回はそれがなくてもフラットになるような音、透明度の高い音を目指している。

 なおフロント下部両サイドにトゥイーター+フルレンジ×2のスピーカーを各1基と、裏側上部左右にトップトゥイーターを各1基、さらに中央裏側に重低音バズーカユニットを搭載するという構成はX9400を継承(48型はトップトゥイーターとバズーカユニットは未搭載)。別売のスピーカーをつないでより迫力ある音を楽しめる「外部スピーカー端子」も搭載済みだ。

 Netflixやアマゾンプライムビデオ、huluを始めとするネット動画再生機能からタイムシフトマシン、おすすめ番組表示などの機能ももちろん搭載されている。さらにそれらを操作するリモコンは、今回からダークシルバー仕上げとなり、文字コントラストが向上した。この結果、夜間のリビングでの視認性もさらに高まっている。

 3モデルとも9基の地デジチューナーと3基のBS/110度CSデジタルチューナー、さらに2基の4Kチューナーを内蔵。HDMI入力は7系統で、他にビデオ入力1系統や光/同軸デジタル音声出力なども備える。

リモコンはダークシルバーに変更された。今後のレグザ付属リモコンはこの仕上げになっていく予定とのこと

 なお同社では、2月に発表したタイムシフトマシン機能付き4K液晶レグザ「50Z740ZS」について、発売日を5月下旬に変更する。市場想定価格は追って発表される予定だ。