北海道は室蘭を舞台に、映像作家・坪川拓史が現地で出会った人々の声をもとに、7本の連作形式にて製作した映画『モルエラニの霧の中』が、現在岩波ホールで上演中だ。

 3月7日(日)には、エンディング曲を担当しているシンガーソングライターの穂高亜希子がサプライズで劇場に登場。ミニライブを披露した。オフィシャルレポートが届いたので、紹介したい。
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 満席の場内、上映が終わると予想外にも拍手が起こり、劇場内から出ていらしたお客様がたを迎えました。映画の余韻が残るなか、ギターチューニング音が流れるロビーにお客様の「え!?」という声。冒頭、坪川拓史監督から「映画の余韻を壊さないようにお届けしたいと思います」と挨拶がありライブスタート。

 最初に本作エンディング曲の「静かな空」が披露されました。穂高さんの澄んだ声がロビーに響き渡り、思いがけないサプライズ演奏にお客様がたも足を止め、じんわりと聞き入っていました。

 2曲目には、大杉漣さんが出演する第2話・春の章で起用されたアイルランド民謡「夏の名残のバラ」(日本では「庭の千草」名で知られる曲)を披露。

 元々、2曲のみ披露する予定のところ、アンコールの声に「小さな空」を披露。この「小さな空」は、坪川監督の前作『ハーメルン』で起用された穂高さんにとっても思い出の楽曲。二胡、アコーディオン、ベース音による演奏が、穂高さんの優しい歌声を盛り上げる贅沢なひと時になりました。
(アコーディオン演奏・坪川拓史監督、二胡演奏・吉田悠樹さん、ベース演奏・村上啓太さん)

映画『モルエラニの霧の中』

岩波ホールにて上映中(3月12日まで)
4月2日(金)より、北海道の上映を皮切りに全国順次ロードショー予定

<作品情報>
本作は実話を元に、その場所で、時にはエピソードに登場する本人も出演しながら撮影された<街の自画像>のような映画。移り変わる時代の中、地方都市に生きる人々の姿が、優しく慈しむような眼差しで紡がれていく。

「ここに生きる人々の息づかいを映画に残したい。そして、この街を知ってほしい」との監督の強い願いに、街の人たちが結集して映画が製作された。

タイトルの“モルエラニ”とは、北海道の先住民族であるアイヌの言葉。[小さな坂道をおりた所]という意味で、「室蘭」の語源のひとつと言われる。

監督・脚本・音楽を務めたのは、2011年に東京から北海道室蘭市へ移住した映画作家、坪川拓史。街で出会った人々から聞いたエピソードを元に“七話連作形式”の脚本を執筆。2014年、市民有志が映画製作応援団を結成し、資金を集め始め、同年、クランクイン。度重なる撮影中断を乗り越え、2018年10月に全編の撮影が終了した。

映画製作には街の人々(のべ1000人)が協力し、5年の年月を経て純度100%の室蘭発の映画として完成を果たした。

メインキャストには、2018年に急逝した大杉漣、香川京子、小松政夫、大塚寧々、水橋研二、菜 葉 菜、中島広稀、 草野康太、久保田紗友、そして独演劇が国内外で高い評価を得る坂本長利など、演技派で多彩な俳優陣が揃った。その他、キャストの半数がオーディションで選ばれたり、街で監督にスカウトされた演技経験の全く無い人々も出演している。

<七話について>
[第1話] 冬の章「青いロウソクと人魚」 水族館のはなし
[第2話] 春の章「名残りの花」 写真館のはなし
[第3話] 夏の章「しずかな空」 港のはなし
[第4話] 晩夏の章「Via Dolorosa」 ピアノのはなし
[第5話] 秋の章「名前のない小さな木」 科学館のはなし
[第6話] 晩秋の章「煙の追憶」 蒸気機関車のはなし
[第7話] 初冬の章「冬の虫と夏の草」 樹木医のはなし

<出演>
大杉漣 大塚寧々 水橋研二 菜 葉 菜 菅田俊 草野康太 久保田紗友 小松政夫 坂本長利 香川京子

<スタッフ>
脚本・監督・音楽:坪川拓史 製作:NPO室蘭映画製作応援団 配給:ティー・アーティスト 配給協力:アークエンタテインメント
2020年 / 日本 / カラー&モノクロ / 214分 / アメリカンビスタ、4:3
(C)室蘭映画製作応援団2020

公式サイト http://www.moruerani.com/
公式Instagram https://www.instagram.com/moruerani_movie/