ソニーから、Crystal LED(クリスタルLED)ディスプレイの新製品が発表された。高コントラストモデルの「Cシリーズ」と、より高輝度の「Bシリーズ」の2ラインナップで、それぞれピッチサイズ違いを準備している。

Crystal LEDの製品ラインナップ

・Cシリーズディスプレイキャビネット 「ZRD-C12A」「ZRD-C15A」
・Bシリーズディスプレイキャビネット 「ZRD-B12A」「ZRD-B15A」

・ディスプレイコントローラー 「ZRCT-300」

 Crystal LEDは、展示会やサイネージ等で使われる大型ディスプレイで、ひとつのLEDが映像の1画素を構成している。基準となるディスプレイキャビネットを複数組み合わせることで画面サイズやアスペクト比を自由に組み替えることが出来る。

 もちろん4Kや8Kといった解像度も選択可能で、実際に既発売のCrystal LEDはNHKの8K体験イベント等で使われているので、その映像を体験したことがある読者諸氏もいるだろう。

 今回の新シリーズは先述の通り高コントラスト(1,000,000:1)と高輝度(1,800cd/平方メートル)といった特長を持たせている点がポイントだ。さらに映像処理回路として「X1 for Crystal LED」も搭載した。

 これは同社「X1」プロセッサーをベースに新開発されたもので、リアリティクリエーションやモーションフロー、22ビットスーパービットマッピングといった家庭用テレビ、ブラビアシリーズでも採用されている高画質化技術を盛り込むことで、より高精細で動きボケ等のない映像を再現出来るようになっている。この他HDR(ハイ・ダイナミックレンジ)や120pのハイフレームレート、3D信号などの入力にも対応済みだ。

 ディスプレイキャビネットはC/Bシリーズとも27.5インチ/16:9のキャビネットで構成され、これを組み合わせることで先述の通り4Kや8K画面も構成できる。LEDピッチが1.26mmのモデルの場合の画素数は水平480×垂直270で、4K画面は220インチ、8Kは440インチの大きさになる。1.58mmは水平384×垂直216画素で、4K画面が275インチ、8Kは550インチだ。さらに制御システムを変更したことでバックヤードも不要になり、壁掛けやカーブ形状での設置も可能になっている。

 Crystal LEDの主な用途としては、Cシリーズは企業のロビーや会議室、ショウルームなどを、Bシリーズはエントランスやサイネージ、バーチャルプロダクションなどを想定している。

 バーチャルプロダクションとは、映画の背景をCrystal LEDで再生し、その前で演技をすることでロケに出かけたような効果を得られるというもの。従来のグリーンバック撮影に比べてカメラの撮影範囲が広く、演者への制約が少ないなどのメリットがあるという。Bシリーズの開発にはソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)も協力しているとかで、現場からの声もフィードバックされているのだろう。

 また現在現行品の「ZRD-2」はNetflixのロサンゼルスキャンパス内ラボに導入済みで、さらにサウスカロライナ・チャールストンに2022年1月にオープン予定の InternationalAfricanAmericanMuseum に、新製品のCrystal LEDディスプレイが設置される予定とのことだ。

 今回発表されたCrystal LED C/Bシリーズはオープン価格で、設置・保守費用等も画面サイズによって異なる。新製品はP1.26mm の4kサイズで本体価格6,600万円前後(設置・金具費用などは除く)で現行製品より安くなる見込みとのことだ。