スクリーン(あるいは白壁)のすぐ手前に置いて、100インチ級の大画面が楽しめる超短焦点プロジェクターが人気を集めている。等身大の映像が手軽に楽しめるのは大きな魅力だが、テレビに比べると大きなハンディがひとつある。
それは一定の暗さが確保できる視聴環境が求められること。レーザー光源などの実用化によって、プロジェクターの高輝度化が進み、わずかに灯を残した環境ならほとんど問題はないが、テレビと同等とはいかない。
「照明の灯る明るいリビングで100インチの大画面映像を楽しみたい!」。そんな声に応えて登場したのがスクリーン専業メーカー、キクチが手がけた超短焦点広視野角スクリーン、SPA-UTだ(生地名は『ウルトラショートスロー』)。
SCREEN
SPA-100HDUT
¥260,000+税
(16:9、100インチ張り込み式)
● 寸法/質量:W2354×H1385×D40mm/13.7kg
● ラインナップ:120インチ(¥300,000+税)
● 備考:写真のプロジェクター(エプソンEH-LS500)、スタンドは撮影用。製品/価格/仕様には含まれません
● 問合せ先:㈱キクチ科学研究所 ☎ 03(3952)5131
これはスクリーン幕面に微細なレンズ加工を施し、光の反射に特定の指向性を持たせることで、外光を拡散させ、その影響を最小限に抑え込むというもの。分かりやすく言えば、スクリーン面にブラインド機能を持たせたレンズを配置することで、下方向から投写されるプロジェクターからの光だけを正面へ反射。その他の方向から差し込む外光はブラインドで遮り、明るい環境でも鑑賞可能な100インチ映像を描き出すという仕組みだ。
実際にそのスクリーン面を注視しても、当然ながら、ブラインドの機能を持つレンズは確認できず、見た目には平坦で、大きな凹凸は感じない。スクリーン面はグレイに塗装されているが、これは明るい場所でも一定のコントラストを保つための工夫だという。
幕面表面にレンチキューラーと呼ばれる、ノコギリ状の加工を施し、下からの光を正面に反射、外光は吸収させ、明るい環境下の中でも白っぽくならず、メリハリのついたくっきりとした映像を実現する
本スクリーンはフレームに幕面を張り込んだ仕様。フレームごと壁面に固定する設置工事が必要となる。写真は撮影用のスタンド(非売品)を取り付けた状態だ
明るい生活空間に浮かび上がる100インチ映像の迫力は圧巻だ
実際の効果やいかに。一般家庭のリビングルーム相当の明るさのもと、エプソンの超短焦点プロジェクターEH-LS500との組合せで試してみたが、私が思い描いていた明るさを大きく超える、見通しのいい高コントラストの映像が目の前に浮かび上がった。
熱気球を舞台にストーリーが展開するAmazonから配信されている映画『イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり』では、青く澄んだ空、モクモクと沸き上がる雲、そしてほのかにピンクがかった人肌と、自然な発色を確保しつつ、充分な明るさ、コントラストとして自信に満ちた映像を描き出す。自分の目を疑いたくなるほどの明るさ、鮮やかさで、スクリーン中央から左右にはずれても、色再現、明るさとも、大きな変化はなかった。
まさに長年の夢をかなえてくれる魔法のスクリーンの登場。明るい生活空間に浮かび上がる100インチ映像の迫力は圧巻だ。
外光に強い「耐外光スクリーン」は、米国ではポピュラーな存在。その本場で鍛え上げられたのが、「スクリーンイノベーションズ」社の製品。写真のように明るいリビングルームでも、明るくメリハリのついた映像を実現する。こちらは電動昇降が可能な仕様が選べるほか、幕面の種類も8つの生地から選択できる
● 問合せ先:(株)キクチ科学研究所 ☎ 03(3952)5131