昨今、お洒落で、手軽に設置できる一体型のスピーカーシステムが人気を集めているが、オーディオ機器としてのクォリティ、つまり音質という部分では、どうしても物足りなさを感じてしまうケースが少なくない。

「音のいい一体型スピーカーが欲しい!」という声に応えて、デンマークのディナウディオが満を持して開発したのが「Music」シリーズだ。同社はスピーカーユニットの開発から手がけるハイファイ志向の強いスピーカー専用メーカーだが、アンプ、DSP回路の開発にも意欲的で、独自のワイヤレススピーカー、Xeo(シオ)は世界的も高い評価を得ている。

「Music」シリーズは手持ちのスマホとBluetooth、AirPlayで接続し、手軽に音楽を楽しめるワイヤレススピーカーシステム。さらにWi-Fiを利用すれば、インターネットラジオやDLNA/UPnPを利用したネットワーク再生も楽しめるという優れものだ。

 今回取り上げるMusic 7は96kHz/24ビット対応の光デジタル入力、ARC対応のHDMI端子を装備しているため、テレビと組み合わせて高音質サウンドバーとしても活用できる。専用リモコンを付属しているが、iOS/Android向けのコントロールアプリ「Dynaudio Music」からの操作も可能だ。

 

BLUETOOTH SPEAKER SYSTEM
DYNAUDIO MUSIC 7
¥160,000+税
● 型式:ワイヤレス再生対応アンプ内蔵スピーカー、3ウェイ3スピーカー×2、バスレフ型
● 使用ユニット:25mmドーム型トゥイーター×2、76mmコーン型ミッドレンジ×2、127mmコーン型ウーファー×2
● アンプ出力:50W×6
● 接続端子:HDMI ARC1系統、デジタル音声入力1系統(光)、アナログ音声入力1系統(3.5mmミニフォーン)、USBタイプA(iOSデバイス専用)
● 寸法/質量:W819×H201×D185mm/7.7kg
● 備考:リモコン付属
● 問合せ先:DYNAUDIO JAPAN(株) ☎ 03(5542)3545

 

端子は底板の中央に備わる。テレビとの連携で便利なARC(オーディオ・リターン・チャンネル)対応のHDMI端子を装備している

 

 

 手始めに音楽配信サービスSpotifyでノラ・ジョーンズの「Don't Know Why」を聴いてみたが、骨格のしっかりとした落ち着いたトーンが特徴的だ。どちらかと言えば、抑えた感じの大人っぽい音調だが、ヴォーカルが肉感的。彼女の息づかいが感じとれるほど、生々しい。同社のハイファイスピーカーに通じる一体感のある重厚な響きが印象に残った。

 続いてパナソニックの有機ELテレビTH-55HZ1800とHDMI接続でNetflix映画『アイリッシュマン』の視聴。本機の場合、特別なサラウンド再生機能を持たないため、リニアPCM変換のステレオ再生となるが、これが思いのほか、いい。

 

本機は純正アプリ「Dynaudio Music」が用意されているので、それをスマホにインストールして使う仕組み。アプリのガイダンスに沿って本機をWi-Fiにつなぐことで、さまざまな機能、設定が活用できる

 

 馴染みがよく、聴きやすいセリフを中心に、その外側に効果音、音楽がキレイに拡がり、場面、場面の空間の違いを淡々と描き上げていく感じ。派手なサラウンド感はないが、デ・ニーロの男臭い声と、屋外の自然音が無理なく溶け合って、格調の高さを感じさせる。聴き手の心を鷲掴みにするような実在感に富んだセリフは聴き応え充分。高級オーディオ世界で培った技術力をしっかりと感じさせてくれるパフォーマンスだった。

 

専用壁掛けブラケット(¥12,000+税)を活用して、壁掛けテレビのサウンドシステムとして使っているイメージ。ファブリックのカラーはグレイ、ダークグレイ、ブルー、レッドの4色から選べる

 

ファブリックカバーを外すと、片チャンネルあたり3基のユニットが現れる。本機はいわゆる「ブルートゥーススピーカー」としてカテゴライズされる製品だが、異例なほどの本格的なユニット構成だ。

 

 

本格無線スピーカーXeoに注目

本機を作るディナウディオ(DYNAUDIO)は、デンマークに本拠を構える本格スピーカーメーカーで、世界各国で高い人気を誇る。高級スピーカーメーカーとしては異例ともいえる、先進的なワイヤレススピーカーも積極的に手掛けている。写真はその最新の製品群、Xeo(シオ)シリーズのトップモデル、Xeo30(実勢価格50万円ペア)。テレビとも光デジタル接続で連携可能だ