平成ガメラ3部作の1作目『ガメラ 大怪獣空中決戦』のドルビーシネマ上映を記念した初日舞台挨拶が11月27日(金)、銀座の丸の内ビカデリーで行なわれた。登壇したのは、鳥類学者・長峰真弓を演じた中山忍、共演の蛍雪次朗、金子修介監督、そして同作の撮影監督で今回のドルビーシネマのカラーグレーディングを監修した木所寛、同録音技師で今回のドルビーアトモスの音響設計を行なった橋本泰夫ら。

 公開から25年、今回はドルビーシネマ(&ドルビーアトモス)という最新設備で再びの上映が決まったことについて、監督・キャストらは「うれしい」と喜びを表現。

 撮影当時21歳だった中山は、「(当時から)おばあちゃんになっても女優を続けたいと思っていましたが、こういう形でこの日を迎えられるとは思ってなかったので、頑張ってきてよかったなって思うし、ご褒美になりました」と笑顔を見せていた。

 一方で、特撮の現場で苦労もあったそうで、「(現場では)ガメラやギャオスを信じる心はもちろんありましたけど、なかなか(そこに存在していると)想像するのは難しかったです」と当時の心境を吐露。しかし、「助監督が物干しざおを持って、先端に黄色いタオルを巻いて、これがギャオスですといって走り回っている姿を見て、(ギャオスは)想像することができました(笑)」。一方、ガメラについては「あまりにも大きすぎて! そのサイズ感を含めて、想像するのが難しかったです」、と述懐していた。

 大迫役を演じた蛍は、「当時、金子監督がガメラを作るというニュースを見て、出たい出たいってアピールしていたら、本当に出演が決まったんです! しかも、脚本を見たらこんなに面白い役をやらせてもらえるなんてと思って、本当にうれしかった記憶があります。平成ガメラの1作目として、その世界観を強く打ち出した本作に参加できたことは、役者として幸せでした」と、本作への出演を嬉しそうに語っていた。

 一方で、金子監督は、ドルビーシネマとして上映できることに「うれしいですね」と淡泊に応えていたが、HDR化(ドルビーシネマ)によって「二人の芝居の熱量が2倍に感じられ、とても熱く映画を観られるようになりました。感無量です」と嬉しそうな表情。同時に、「監督としては(自分の作品を見ると)、ここは直したいという部分を多く感じるものだけど、本作はそれが少なかった」と、自信に満ちたコメントもしていた。

 今回のドルビーシネマ上映にあたって、カラーグレーディング(色調補正)を監修した城所は、「HDR化によって映像のレンジが広がったことで、フィルムでは気にならなかった部分が目立つようになってしまったので、かなり細かい調整を施しました。ただ、ドルビーシネマの特色として暗部の再現性が向上したことで、フィルムではつぶすと何も見えなくなってしまうシーンでも、きちんとディテイルを表現できるので、富士山麓での自衛隊とガメラの戦闘シーンは、思いっきりつぶすことができました」と自信の笑み。それを受けて金子監督も、「夜の戦車がよく見えて、かっこよかった」と太鼓判を押していた。

 また、ドルビーアトモスを監修した橋本は、「アトモスは3次元的な空間の表現が可能になるので、前後左右だけでなく上方にも音を配置しています。監督も気づかないぐらい細かい作業をしていますので、クリアでダイナミックに、そして立体的になった音響を楽しんでほしい」と自信たっぷりにコメントしていた。

 ちなみに、橋本は昭和ガメラを手掛けた監督 湯浅憲明との仕事の経験もあり、そのことを司会に振られると、「目の動きだけでなく、体もガメラそのものみたいな人でしたね(笑)。湯浅監督が手掛けたガメラを、平成の時代になって自分が録音技師として関わることになったのは、とても感慨深かったです」と、懐かしさを含めて語っていた。

 なお、舞台挨拶では藤谷文子からのビデオメッセージも上映。現在はアメリカに在住し、2児の母になっているそうで、「ガメラは、私がスクリーンデビューを飾らせていただいた特別な作品になりました。自分の中では宝物です」と、今回の上映を心から喜んでいるようだった。

 舞台挨拶の締めは、金子監督と中山 両名より行なわれたが、特に中山は、本作で自分を女優として一段引き立ててくれた立役者でもある、先日逝去した東映グループ会長 岡田裕介と、故 徳間康快への感謝を語りつつ、今現在自身が抱く夢を言葉にした。「令和ガメラが観たいです」。その言葉を聞いて、会場に集まったファンからは大きな拍手が送られていた。

映画『ガメラ 大怪獣空中決戦 4K HDR』

全国「ドルビーシネマ」にて上映中
丸の内ピカデリー T・ジョイ横浜 ミッドランドスクエアシネマ 梅田ブルク7 MOVIX京都 T・ジョイ福岡 MOVIXさいたま

配給:KADOKAWA
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