一般社団法人 放送サービス高度化推進協会(A-PAB)は本日、「BSデジタル20周年・新4K8K 2周年記者発表会」を開催した。新型コロナウィルス対策の観点から、参加者も事前登録が必要で、会場内は全席指定、不要な会話も禁止されるなど、充分な配慮を行った上での開催となった。

 放送での現在の話題はやはりBS4K8Kということになるが、今年10月末時点での受信機器出荷状況は、内蔵テレビが累計4,201,000台、単体4Kチューナーが 251,000台、4Kレコーダー660,000台、ケーブルテレビ等のセット・トップ・ボックスが1,155,000台で合計6,270,000台を達成、巣ごもり需要などもあり順調な伸びを示しているという。

一般社団法人 放送サービス高度化推進協会 理事長の相子宏之氏

 今日の記者会見では、まずA-PAB理事長の相子宏之氏が登壇し、開催の挨拶を述べた。相子氏は、この20年でインターネットの進化やスマホの登場などでライフスタイルが大きく変化したことに触れ、そんな中でもBSデジタル放送の認知は進んで、今では全受信世帯の7割を超えていることを紹介した。またBSデジタル放送は、高い信頼性と受信の安定性を備えており、地デジに次いで重要な役割を果たしていると自覚しているそうだ。

武田良太総務大臣はビデオメッセージで登場

 続いて武田良太総務大臣のビデオメッセージが上映された。武田氏はBSデジタル20周年のお祝いと共に、新たに「よしもとBS」「ジャパネットホールディングス」「BS松竹東急」の3社がBSデジタル(2K)に参入することに触れ、これが衛星放送業界の活性につながることを期待すると語った。

 また4K8Kは新しい体験であり、そのさらなる普及に向けて総務省としても告知活動などで4K8Kを盛り上げていくと話していた。

 その一環として12月からスタートするキャンペーンも紹介された。これは、NHKとBS民放5社(BS日テレ、BS朝日、BS-TBS、BSテレ東、BS-TBSフジ)が共同で開催する「新4K8K衛星放送で見ようよ! 月間」というもの。共同で製作した宣伝番組が局の壁を越えて放送され、視聴者の注目を集めるように考えられている。

WOWOW 4Kはドラマ、スポーツ、映画を中心にオンエアする予定

 続いてWOWOWの代表取締役社長 執行役員の田中 晃氏が登壇し、来年3月1日にスタートするWOWOW 4Kについて解説してくれた。

 田中氏によると、WOWOW 4Kの放送開始日がコロナ禍の影響で当初の予定から遅れてしまったが、無事3月1日からスタートできることを発表した。従来同社と契約している方については追加料金はなく、2K放送が3チャンネルと4K放送1チャンネルがセットになるわけだ。

 WOWOW 4Kは、ドラマ、スポーツ、映画の3本柱を考えており、ネイティブ4K作品は30%以上を目指すとのこと。同社では今年3月以降の自主製作ドラマはすべて4Kで行っており、さらに海外サッカーなども4Kで撮影されることが増えているので、4Kの比率は高くなると期待できそうだ。映画については4Kコンテンツ第一弾として『パラサイト 半地下の家族』の放送が決まっているという。

手前右から株式会社ジャパネットホールディングスの高田旭人氏、株式会社WOWOWの田中晃氏、よしもとBS株式会社の稲垣豊氏、BS松竹東急株式会社の橋本元氏。後段右から株式会社ビーエスフジの荒井昭博氏、一般社団法人 放送サービス高度化推進協会の相子宏之氏、司会の小野寺結衣アナウンサー

 最後にA-PAB理事の木村政孝氏が登場し、4K8K放送の受信機について、東京オリンピックまでに1000万台を達成したいと述べた。1000万台という数字は、CMスポンサー獲得のためのひとつの目安であり、民放のビジネスモデルとしては必須になるのだという。この台数をクリアーできれば、4K8K放送が本格的な普及段階に入るとして、なんとしても達成したいのだという。

 現在の台数が627万台なので、残りは373万台。来年7月までと仮定すると月平均で41万台の新規需要が必要となる。現状は月平均35万台とのことなので2割アップが必要となる。木村氏は厳しいがチャレンジすると力説していた。