今冬の各社注目製品

残念ながら2020年度の開催が中止となった「東京インターナショナルオーディオショウ」。
しかしながら、今年も各社から魅力的な製品の数々がリリース予定。そこで、Stereo Sound 217号(12月10日発売)では、楽しみにしていたオーディオファイルの方々に向け、「誌上TIAS2020」と題して、メーカー/輸入商社ごとに各社の《この冬の注目製品》をご紹介する特集企画を用意。今回は誌面に先立ち、WEB上でその内容を一部、先行公開する。

エソテリック株式会社編

 

 

アッテネーター、アンプ回路を一新したプリアンプ

 ティアック(株)のハイグレードブランドとして1987年に誕生したエソテリック。オープンリール型テープデッキの名門である同社の高度な回転機器の設計技術、ノウハウを活かしたVRDSメカ搭載セパレート型CDプレーヤー「P1」+「D1」が、世に送り出された最初の製品である。2004年にティアックの100%子会社、(株)ティアック・エソテリック・カンパニーとして独立し、2008年に現在のエソテリック(株)となった。

 物量的な制限を設けず、各カテゴリーで最高の製品を目指すフラグシップシリーズのGrandioso(グランディオーソ)が立ち上げられたのは2013年。その最新モデルが電源別筐体のプリアンプ「Grandioso C1X」となる。外観は先代モデルの「Grandioso C1」をほぼ踏襲しているが、内容的には大きく2つの変更が加えられている。

 

プリアンプ Grandioso C1X ¥3,500,000・税別

 

 

 ひとつは新たなアッテネーター回路「ウルトラ・フィデリティー・アッテネーター・システム」の採用。「固定抵抗切替式アッテネーター回路の音のよさと、可変抵抗ボリュウム回路の無段階の音量調整を両立させることが目標でした」(能村氏)という言葉の通り、接点の削減と配線距離の短縮化を徹底させることで無段階に迫る0.1dB/1,120ステップの音量調整を実現しているという。

 もうひとつは入力段と出力段に搭載された新開発ディスクリートアンプモジュール「IDM 01(Integrated Discrete-Amplifier Module)」。「回路構成パーツを自由に選べるディスクリートアンプのメリットと、最短距離で回路を構成できるモジュールのメリットを併せ持つIDM 01は、今後のエソテリックのアンプの中核になる」(新妻氏)という。他にもマルチレイヤーシャーシによる基板とトランスの分離による制振対策、操作シーン別にボタンを配置した斬新な両面リモコンなど、細部にわたって刷新点が多い。

 「これからも、好きな時に好きな曲を何度でも聴けるというオーディオの素晴らしさを具現化する製品企画を続けていきたい」(加藤氏)とのことで、2021年には本機と独自の電流伝送が可能となるパワーアンプの発売が予定されている。

 

エソテリック株式会社
取締役 開発・企画本部長
加藤徹也 氏

 

 
開発・企画本部
開発グループ 機構設計グループ
マネージャー 新妻知幸 氏

 

開発・企画本部
開発グループ 電気設計グループ
能村出穂 氏

 

 

 

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